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2023年11月21日

糖尿病の人が「減塩」すると合併症リスクが低下 塩分を減らして血圧を下げる 「減塩」に成功する秘訣は?

 食事をするときに、食塩を加えて食べている人は、2型糖尿病のリスクが最大で39%上昇することが、40万人以上の成人を対象とした大規模な研究で明らかになった。

 塩分制限により高血圧を改善すれば、心臓病や脳卒中、腎臓病などのリスクを軽減できる。減塩することで、ほとんどの人は血圧を下げられることも分かった。

 上手に減塩するために、ハーブやスパイスを活用する方法も提案されている。

 ハーブやスパイスによる「香りづけ」「辛みづけ」は、塩分を控えて物足りなくなった料理の味を引き締めたり、風味を引き立てたりするのに効果的だとしている。

塩分制限により糖尿病リスクが減少

 食事をするときに、食塩を加えて食べている人は、2型糖尿病を発症するリスクが最大で39%上昇することが、米国のチューレーン大学が40万人以上の成人を対象とした大規模な研究で明らかになった。

 「2型糖尿病のリスクのある人は、糖質をとりすぎるのを避けた方が良いことは知っていても、塩分も減らした方が良いことには気が付かないことが多いのです」と、同大学公衆衛学部のルー チー教授は言う。

 英国で実施されているコホート研究である英国バイオバンクに参加した成人40万人以上を対象に、食事の塩分摂取量と2型糖尿病の発症の関連について、11.8年(中央値)追跡して調査した。

 その結果、2型糖尿病の発症リスクは、食塩を加える頻度が「たまに」という人で13%、「しょっちゅう」という人で20%、「毎回」という人で39%、それぞれ高くなっていた。

 「塩分制限により高血圧を改善することで、心臓病や脳卒中、腎臓病などのリスクを軽減できることはよく知られていますが、テーブルから塩入れを外すことは、2型糖尿病の予防・改善にも役立つことがはじめて示されました」と、チー教授は言う。

 なぜ塩分摂取量が多いと、2型糖尿病のリスクが上昇するのかを解明するには、さらなる研究が必要としながらも、「塩分のとりすぎは、食欲を高めて食べすぎを促し、肥満や内臓脂肪、炎症などのリスクを上昇させている可能性があります」と指摘している。

ほとんどの人は減塩により血圧を下げられる

 減塩することで、ほとんどの人は血圧を下げることができことが、米国のノースウェスタン大学などによる別の研究で明らかになった。研究は、米国国立衛生研究所(NIH)の支援を得て行われた。

 「食事に含まれる塩分を減らすことで、70〜75%の人が血圧値を下げられることが分かりました。血圧を下げる薬を服用している人にとっても、減塩は効果があります」と、同大学予防医学部のノリーナ アレン教授は言う。

 1日に食事でとる塩を、小さじ1杯(6g)減らすことを目標にすると、薬による効果と同等の血圧低下を期待できるとしている。

 研究グループは、米国に住む50代~70代の213人の中年者や高齢者を対象に、通常の食事をとるグループと、減塩食を中心とした食事をとるグループに分け比べた。

 1週間後に、減塩食をとったグループは収縮期(最高)血圧の値が平均して7~8mmHg低下し、通常の食事をとったグループに比べて6mmHgより改善していた。

 さらに、減塩食をとったグループでは、通常の食事をとったグループに比べて、血圧値が低下した人が72%多かった。

減塩をはじめると、わずか1週間で効果があらわれる

 「すでに血圧を下げる薬を服用している人も、減塩によってさらに血圧値を下げられることが示されました。減塩をはじめて、わずか1週間という短い期間でも効果があらわれます」と、アレン教授は言う。

 高血圧は、世界中で心臓病や脳卒中、腎臓病などの罹患率と死亡率を高めている主な原因になっており、このことは重要だ。

 「ほとんどの人にとって、どのような運動であっても、何もしないでいるよりは取り組んだ方が良いのと同じように、食事の減塩についても、何もしないでいるのは危険です」と、アレン教授は指摘する。

 「最近は塩分を減らした食品も入手しやすくなっています。食事を変えることで、血圧を下げられ、健康をより改善することができます」としている。

ハーブやスパイスを活用して上手に減塩

ハーブやスパイスを使い料理の味を引き締める

 上手に減塩するために、ハーブやスパイスを活用する方法が提案されている。

 ハーブやスパイスによる「香りづけ」「辛みづけ」は、塩分を控えて物足りなくなった料理の味を引き締めたり、風味を引き立てたりするのに効果的だという。

 コショウ・タイム・バジル・ガーリック・クミン・オニオン・グリーンペパー・レモンペパー・マスタードシード・ローズマリーなどのハーブやスパイス、日本では七味唐辛子やカレー粉なども効果的に使うと、食事の塩分や脂肪を減らすのに役立つとしている。

 「多くの人は、健康的な食物を食べたいと思っていますが、同時に味の良いものも求めています」と、ペンシルバニア州立大学栄養科学部のクリスティーナ ピーターセン氏は言う。

 「そんなときに、ハーブやスパイスを活用したレシピは非常に効果的です」としている。

ハーブやスパイスを活用したレシピはおいしい

 研究グループは、米国国民健康栄養調査(NHANES)の、9,812人の24時間の食事記録などが含まれるデータを解析し、脂肪・塩分・糖質が多く含まれ、同時に米国人に人気のある食品10品目を特定した。

 さらに、料理の専門家に協力してもらい、脂肪・塩分・糖質を減らし、さらにハーブやスパイスを活用したレシピなどを作成し、85~107人の一般人を対象に、ブラインドの味覚テストを実施した。

 その結果、ハーブやスパイスを活用したレシピは、脂肪・塩分・糖質が多く含まれるレシピに比べ、味や満足感などは引けを取らず、おいしいと感じる人が多いことが分かった。

 「ハーブやスパイスを活用することで、健康に良くない栄養を過剰に摂取するのを大幅に減らせることが実証されました。しかも、こうした変更は多くの消費者に受け入れられるものです」と、ピーターセン氏は指摘している。

New research links high salt consumption to risk of Type 2 diabetes (チューレーン大学 2023年11月1日)
Dietary Sodium Intake and Risk of Incident Type 2 Diabetes (Mayo Clinic Proceedings 2023年11月)
Cut Salt, Cut Blood Pressure: Most everyone can lower blood pressure by reducing salt, even those on blood-pressure reducing drugs (ノースウェスタン大学 2023年11月13日)
Effect of Dietary Sodium on Blood Pressure: A Crossover Trial (JAMA 2023年11月11日)
Herbs and spices tout taste and health as saturated fat, salt replacements (ペンシルバニア州立大学 2023年8月29日)
Using Herbs/Spices to Enhance the Flavor of Commonly Consumed Foods Reformulated to Be Lower in Overconsumed Dietary Components Is an Acceptable Strategy and Has the Potential to Lower Intake of Saturated Fat and Sodium: A National Health and Nutrition Examination Survey Analysis and Blind Tasting (Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics 2023年7月31日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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