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2023年10月23日

日光を浴びると2型糖尿病の人の血糖管理が良くなる 自然光を浴びるとメンタルヘルスも改善

 昼間に、屋外で日光を浴びることで、血糖管理が改善し、2型糖尿病の治療や予防に役立つ可能性があるという研究が発表された。

 日光を浴びることは、メンタルヘルスにも良いことが、大規模な研究でも確かめられている。

 日光を浴びることは、「体内時計」の乱れを整えるのに効果的とみられている。

日光を浴びることが糖尿病の管理に影響

 昼間に、屋外で日光を浴びることで、血糖管理が改善し、2型糖尿病の治療や予防に役立つ可能性があることが、オランダのマーストリヒト大学の研究で示された。

 研究は、10月にドイツのハンブルクで開催された欧州糖尿病学会(EASD)の年次総会で発表されたもの。

 ヒトの体には、およそ24時間周期のリズムをつくりだす「体内時計」のメカニズムが備わっている。

 体内時計は、体温やホルモン分泌など体の基本的な機能のコントロールや、さらには睡眠・覚醒のリズム、食欲や消化の調整に加えて、血糖値を下げるインスリンの分泌にも影響し、糖尿病にも関わると考えられている。

 「体に備わっている体内時計と、日常の生活や仕事などで求められる生活リズムのあいだにずれがあると、2型糖尿病を含む代謝性疾患に悪い影響が出てくるおそれがあります」と、同大学糖尿病・代謝研究グループのイボ ハベッツ氏は言う。

 日光を浴びることは、「起床時間を一定にする」「朝食を毎日食べる」「運動を習慣として行う」「夜は強い光を浴びすぎない」といったことと同じように、体内時計の乱れを整えるのに効果的とみられている。

太陽の光を浴びて体内時計を調整

 これまでの研究で、夜に明るすぎる人工照明を浴び続けると、体内時計に悪影響があらわれ、血糖値の上昇や、インスリンの作用が悪くなるインスリン抵抗性、糖尿病の有病率の上昇と関連していることが示されている。

 「今回の研究で、日中に自然光を浴びることが、2型糖尿病の方の血糖管理に影響するか、また内分泌代謝や食事で摂取した栄養の利用などにどのような影響があらわれるかを調べました」と、ハベッツ氏は言う。

 体内時計をリセットし、同調させるためにもっとも効果があるのは、屋外で太陽の光を浴びることだと考えられている。

自然光を浴びると血糖管理が改善

 研究グループは今回、2型糖尿病の治療を受けている13人の参加者を対象に、自然光を浴びたときと人工光を浴びたときに代謝検査を実施し、結果を比べた。

 参加者は平均して、年齢は70歳、BMI(体格指数)は30.1、HbA1cは6.1%、空腹時血糖値は146mg/dLだった。

 午前8時~午後5時の勤務時間に、窓から入ってくる自然光とLED照明による人工光という2つの照明環境で、ランダムに4.5日以上を過ごしてもらった。自然光の強さの平均は2,453ルクスで、人工光は300ルクスだった。

 その結果、自然光を浴びているときは、血糖値が79~140mg/dLの正常範囲におさまっている時間が59%になり、人工光のときの51%よりも多かった。

 呼吸交換率の測定から、自然光を浴びているときは、体が炭水化物(糖質)をエネルギー源として利用しやすくなることも示された。

 体内時計の調整に役立つ遺伝子であるPer1とCry1も、自然光を浴びているときの方が、活性が高まることが分かった。

日中はなるべく日光を浴びることが大切

 このように、昼間に日光を浴びることは、体の代謝を高め、血糖管理の改善につながりやすく、2型糖尿病や肥満などの代謝疾患の治療・予防に役立つ可能性が示された。

 「通常は、24時間の概日リズムの働きにより、体はエネルギー源として、昼間は炭水化物を利用しやすくなり、夜間は脂肪が体にたまりやすくなりますが、糖尿病のリスクのある方は、この切り替えが苦手である傾向がみられます」と、ハベッツ氏は指摘する。

 「自然光がほとんど入ってこないオフィスなどで働いている方は、血糖管理や代謝が悪くなりやすいと考えられます。日中はなるべく日光を浴びるようにして、可能であれば屋外に出て体を動かすと理想的です」。

 「人工光が代謝にどの程度影響をもたらすのか、またそれを補うために自然光を浴びたり、屋外で過ごす時間をどれだけ設けると効果的かを、今後の研究で確かめる必要があります」としている。

日光を浴びることはメンタルヘルスにも良い

 昼間に日光を浴びることは、メンタルヘルスにも良いことが、約8万7,000人を対象とした大規模な研究で確かめられた。

 逆に、夜間に強い人工光を浴びすぎると、うつ病や不安症のリスクが高まり、睡眠の質も低下しやすいという。

 オーストラリアのモナシュ大学などの研究グループは、英国バイオバンクに参加した8万6,772人を対象に、生活での光への曝露、睡眠、身体活動、メンタルヘルスなどについて調査した。

 その結果、昼間に日光を浴びた人は、うつ病のリスクが20%減少したが、夜間に長時間、強い人工光にさらされた人は、逆にうつ病のリスクが30%上昇した。

 「日中になるべく自然な光を浴びるようにして、夜間は強い人工光は避けるようにするというシンプルな工夫が、メンタルヘルスを改善するのに役立つ可能性があります」と、同大学脳・メンタルヘルス研究所のショーン ケイン氏は言う。

 ケイン氏によると、日中に明るい光を浴び、夜はなるべく室内を暗くすることは、睡眠と覚醒のリズムを調整する体内時計を整え、概日リズムを健康にするのに効果的だという。

 「しかし、今日では多くの人が日中は薄暗い屋内で過ごし、夜は強い照明をつけて明るくした室内で過ごし、運動不足も増えています。そうした生活スタイルは、私たちの体を混乱させ、調子を悪くする原因になります」としている。

Exposure to daylight rather than artificial light improves blood sugar control and nutrient use in individuals with type 2 diabetes, small Dutch study finds (Diabetologia 2023年10月1日)
Largest ever study on light exposure proves its impact on mental health (モナシュ大学 2023年10月10日)
Day and night light exposure are associated with psychiatric disorders: an objective light study in >85,000 people (Nature Mental Health 2023年10月9日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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