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2023年10月19日

心臓・腎臓・糖尿病の3つは相互に関連 「心腎代謝連関」に注目 検査で異常が出たら放っておかないで治療を

 健康診断や人間ドックを受診し、心臓病・腎臓病・糖尿病にいずれかで異常所見がみつかった人のうち、3人に1人以上が二次検査を受診していないことが全国調査で示された。

 「とくに糖尿病など自覚症状が出にくい疾患は、本人に実感できる症状がなければ、検査値異常が指摘されたとしても"たいしたことがない"と判断され、先送りにしてしまいがちです」と、識者はコメントしている。

 「心臓病・腎臓病・糖尿病のどれか1つでも発症し、治療を受けずにそのままにしていると、その疾患が悪化するだけでなく、他の疾患も併発してしまう可能性があります。だからこそ、検査を受診することは非常に重要です」としている。

心臓・腎臓・糖尿病の3つの領域は相互に関連 「心腎代謝連関」に注目

 近年、心臓と腎臓の病気が相互に影響しあっているという「心腎連関」という考え方が注目されている。最近では、2型糖尿病に代表される代謝疾患も、これらに連関しており、相互に影響しあう「心腎代謝連関」があることも分かってきた。

 この心臓・腎臓・代謝の3つの領域の疾患は、いずれも日本でも患者数が多い。厚生労働省が発表した「2020度 国民医療費の概況」によると、3つの領域の疾患だけでも、かかる医科診療費の合計は6兆円を超えているという。

 これらの慢性的な疾患は、QOL(生活の質)を下げる可能性が高い。その連関を防ぐためには、早期に発見し治療を開始することが大切になる。

心臓病・腎臓病・糖尿病を放置していると将来に深刻な合併症が

 健康診断や人間ドックを受診し、心臓病・腎臓病・糖尿病にいずれかで異常所見がみつかった人のうち、3人に1人以上が二次検査を受診していないことが全国調査で示された。

 さらに、心臓病・腎臓病・糖尿病のうち、1つでも適切な治療を受けずに放置していると、将来に合併症を引き起こすおそれがあることを、4割の人が認知していないことも分かった。

 二次検査とは、健康診断などで異常がみつかり、再検査や精密検査が必要となった場合に、医療機関を受診して検査を受けるもの。

 二次検査は、病気の予防と早期発見を目的としており、健診結果が必ずしも重大な病気にかかっていることを示すわけではない。しかし、企業・従業員などでは義務にはなっておらず、「自覚症状がない」などの理由で受診しない人が多い。

 これは日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーが、全国の47都道府県に在住する40歳~69歳の人のうち、2022年4月~2023年3月に健康診断あるいは人間ドックを受診し、心臓病・腎臓病・糖尿病のいずれかに関わる項目で異常所見がみられた人を対象に、二次検査に関する調査を行ったもの。

医療機関で検査を受けたことが治療開始のきっかけに

 調査では、心臓病・腎臓病・糖尿病に関わる項目で異常所見があった人のうち、「心臓・腎臓・代謝の各機能は相互に関連しあっていて、1つの機能障害が他の臓器に悪影響を及ぼすこと」について知っていた人は、6割に上った。

 健診で異常がみつかっても、二次検査を受けないで放置している人の4割は、「心臓病・腎臓病・糖尿病を放置すると将来的に合併症を引き起こすリスクがあることを知っていれば、二次検査を受診する」と回答した。

 実際に、すでに心臓病・腎臓病・糖尿病といった心腎代謝にかかわる疾患で通院中の人のうち、9割以上は「二次検査が治療のきっかけになった」と回答している。

「再検査や精密検査を受けたことが、治療を開始するきっかけになった」という人が9割以上に上った

出典:日本イーライリリー、2023年

検査で異常値が出たら放っておかない 早期の治療や生活改善で病気の進行を抑制

 今回の調査について、横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学の寺内康夫教授は、「とくに糖尿病など自覚症状が出にくい疾患は、本人に実感できる症状がなければ、検査値異常が指摘されたとしても"たいしたことがない"と判断され、先送りにしてしまいがちです」とコメントしている。

 「実際に、異常値を示されてもそのままにしてしまう方が多く、いつの間にか病気が進行、気付いた時には合併症を発症しQOL(生活の質)が低下、患者さん1人での自立した生活が困難になるといったケースも生じえます」。

 「そうならないために、二次検査を受診して自分の状態を知り、早期の段階から適切な治療を受けておくことが非常に重要です」としている。

 横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学 主任教授の田村功一先生は、「心臓と腎臓のいずれか一方に機能低下が起こると、影響して他方にもトラブルが起こる『心腎連関』に加え、糖尿病がある方においては、さらに代謝疾患が加わり、心臓・腎臓・代謝疾患がより複雑に影響を及ぼしあいます」とコメント。

 「これを『心腎代謝連関』と言います。2型糖尿病のある方の約40%が慢性腎臓病を併発するとの報告や、また糖尿病では正常血糖と比較して心不全発症リスクが58%増加するとの報告があります」。

 「つまり、どれか1つでも発症しそのままにしていると、その疾患が悪化するだけでなく、他の疾患も併発してしまう可能性があるということです。だからこそ、二次検査を受診することは非常に重要です」としている。

二次検査(ニジケン)の受診を促進する「ニジケン Project」を発足

 調査は、日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーが依頼し、2023年7月にインターネットで実施したもので、全国から6万857件の有効回答があった。

 健康診断または人間ドックでの「異常所見あり」とは、各項目で正常所見以外のチェックが入っている、または総合評価で「要再検査」「要精密検査」「要治療」「要医療」などが記載されている状態。

 心臓病や腎臓病、糖尿病に関わる検査項目としては、「糖代謝検査(血糖値)」「腎尿路系検査(腎機能、尿検査)」「心電図検査」「呼吸器系検査(胸部X線)」などがある。

 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、健康診断の異常所見に対する二次検査(ニジケン)の受診促進、および心臓病・高血圧系疾患・腎臓病・糖尿病の早期の発見・治療を促進する取組みとして、健診結果で異常所見を指摘されてもその後のアクションを起こさない、いわゆる既読スルーの防止を促す、「ニジケン Project」を発足した。

Interconnection between cardiovascular, renal and metabolic disorders: A narrative review with a focus on Japan (Diabetes, Obesity and Metabolism 2022年8月5日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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