ニュース
2023年10月11日
食事や運動を見直して糖尿病リスクを低下 成功した人が共通して行っていることとは? 8項目の健康習慣
- キーワード
- 糖尿病と肥満 糖尿病の検査(HbA1c 他) 運動療法 食事療法
食事や運動などの生活スタイルを健康的に変えていくことで、糖尿病リスクが低下し、健康に長生きできる可能性が高まる、大規模な研究で明らかになった。
体重減少や体重管理に成功した人は、共通して行っていることがあることが、2万人以上を対象とした別の調査で明らかになった。
米国心臓学会(AHA)は、健康的な生活スタイルを8項目にまとめた「ライフ エッセンシャル 8」を提唱している。食事や運動、体重管理など、8項目の生活スタイルが、すぐに取り組める生活改善の指南になる。
健康的な生活スタイルを実行すれば元気に長生きできる
食事や運動などの生活スタイルを健康的に変えていくことで、糖尿病リスクが低下し、健康に長生きできる可能性が高まる、大規模な研究で明らかになった。研究は、米国心臓学会(AHA)の年次学術集会で発表された。 「高血糖や脂質異常、高血圧のリスクのある人も、健康的な生活スタイルを実行すれば、元気に長生きできる可能性が高まります」と、マイアミ大学ヘルスシステムの内分泌代謝科専門医であるロナルド ゴールドバーグ氏は言う。 2型糖尿病の人の多くは、ある日突然、血糖値が高くなるわけではない。多くの場合、何年もかかってゆっくりと血糖値が高くなり、糖尿病と診断されるようになる。 血糖値が高めの状態が続くと、全身の血管にダメージがもたらされる。血管の老化である動脈硬化は、糖尿病予備群の段階からすでに生じているという。糖尿病を予防・改善するために毎日の生活改善が重要
研究グループは、米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の支援を受けて実施された大規模研究である「糖尿病予防プログラム(DPP)」に参加した成人3,234人を対象に、21年間追跡して調査した。参加者の研究開始時の平均年齢は51歳だった。 参加した人は、体格指数(BMI)が24以上と肥満気味で、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の負荷後2時間の血糖値が140~199mg/dLで、糖尿病と診断されるほどではないものの食後に血糖値が上がりやすく、さらに空腹時血糖値が95〜125mg/dLでやはり血糖値が高めの人だった。 その結果、食事や運動などの生活スタイルを改善し、体重を7%減少することを目標とした群は、2型糖尿病の発症リスクが58%減少した。 「食事や運動、減量などをきちんと行った人は、行わなかった人に比べて、2型糖尿病のリスクが大幅に減ることが示されました。糖尿病を予防・改善するために、毎日の生活改善がとても重要です」と、ゴールドバーグ氏は言う。薬による治療を受けている人も食事や運動は必要
体重減少に成功した人が共通して行っていること
体重減少や体重管理に成功した人は、共通して行っていることがあることが、2万人以上を対象とした別の調査で明らかになった。 体重減少や体重管理に成功した人に共通してみられることとして、▼食事の質が高い(良質なタンパク質をとっていて、血糖値を早く上げやすい精製された穀類や糖質の摂取は少ない)、▼運動を習慣として行っている、体を活発に動かしている、▼悪玉のLDLコレステロールの値が低い――といったことが挙げられた。 一方、体重管理が難しく肥満を解消できない人では、▼1~2ヵ月の血糖値の平均を反映するHbA1c値が高め、▼睡眠時間が短いことなどが、とくに障害になっていることが示された。体重を5%減らして心筋梗塞や脳卒中などを予防
高度の肥満のある人は、肥満症の治療薬による薬物療法などが必要になることもあるものの、肥満やメタボのある人の多くは、食事療法や運動療法に取り組み、体重を5%減らすことで、2型糖尿病や高血圧を予防・改善でき、心筋梗塞や脳卒中などの予防することが可能としている。 たとえば体重80kgの人では、体重の5%は4kg。わずかな減量で達成可能な目標であり、その効果は大きい。 「体重をわずか5%減らしただけでも、臨床的に有意な改善効果を期待できます。このことは、多くの人に希望をもたらします。5%の減量は、やる気をもって取り組めば、ほとんどの人は達成可能です」と、米オハイオ州立大学で臨床栄養学を研究しているコリーン スピース氏は言う。 研究グループは、米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した2万305人の米国成人のデータを分析した。 健診で血圧・コレステロール・血糖値などを測定するとともに、食事内容、身体活動、毎日の体重、睡眠時間、喫煙習慣、体重の変化についても調査した。すぐに取り組める8項目の健康的な生活スタイル
1 健康的な食事
2 運動と身体活動
3 健康的な体重
体格指数(BMI)は、簡単に計算でき、広く利用できる利点があるものの、それだけでは十分ではない。内臓脂肪(へその高さで計る腰回りの大きさ)を減らすことも含めて対策する必要がある。
4 血中脂質の管理
5 血圧の管理
6 血糖の管理
7 喫煙と受動喫煙の害を避ける
8 睡眠の改善
ライフ エッセンシャル 8
米国心臓学会(AHA)が公開しているビデオ
Lifestyle changes, meds effective to prevent or delay Type 2 diabetes; no change in CVD (米国心臓学会 2022年5月23日)米国心臓学会(AHA)が公開しているビデオ
Effects of Long-term Metformin and Lifestyle Interventions on Cardiovascular Events in the Diabetes Prevention Program and Its Outcome Study (Circulation 2022年5月23日)
Behavior patterns of people who achieve clinically significant weight loss (オハイオ州立大学 2023年5月2日)
Differences in Adherence to American Heart Association's Life's Essential 8, Diet Quality, and Weight Loss Strategies Between Those With and Without Recent Clinically Significant Weight Loss in a Nationally Representative Sample of US Adults (Journal of the American Heart Association 2023年4月7日)
ライフ エッセンシャル 8 (米国心臓学会)
マイ ライフ チェック (米国心臓学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病の検査(HbA1c 他)の関連記事
- 夕方から夜のウォーキングが血糖値を下げる 糖尿病や肥満のある人に運動がおすすめ 睡眠も改善
- 糖尿病の治療を続けて生涯にわたり健康生活 40年後も合併症リスクが大幅減少 最長の糖尿病研究「UKPDS」で明らかに
- 糖尿病の人は胃がんのリスクが高い どうすれば対策できる? 胃がんを予防するための6つの方法
- 「糖尿病網膜症」は見逃しやすい 失明の原因に 手遅れになる前に発見し治療 国際糖尿病連合などが声明を発表
- なぜ男性は女性よりも糖尿病リスクが高い? メカニズムを解明 男性はインスリンの働きを高める対策が必要
- 糖尿病の人は細切れ時間に運動を 階段の上り下りが心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下 エレベーターは寿命を短くする
- 「超加工食品」の添加物が糖尿病リスクを上昇 ジャンクフードの食べすぎはやはり健康に良くない
- 「玄米」が糖尿病を改善 白米から置き換えて血糖上昇を抑制 「米ぬか」の健康機能を解明
- 「卵を1日に1個」は健康的 卵を毎日食べても糖尿病や心臓病のリスクは上昇しない
- 塩分のとりすぎは糖尿病リスクを高める 減塩すれば高血圧も改善 減塩食品は身近で買える