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2023年06月23日
世界の糖尿病人口は5億2900万人に増加 今後30年間で2倍以上の13億人に 糖尿病は世界的な課題
世界の糖尿病人口は、2021年時点で5億2,900万人に上り、糖尿病有病率は6.1%であることが、もっとも最新の包括的な調査で明らかになった。
糖尿病人口は、どの国でも増加しており、今後30年間で2倍以上の13億人に達すると予測している。糖尿病の有病率は、65歳以上の人でとくに高く20%以上、75歳~79歳の人では24.4%となっている。
研究は、米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)によるもので、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援をえて行われた。研究成果は、「ランセット」に掲載された。
世界で糖尿病とともに生きる人は5億2,900万人
今後30年間で2倍以上の13億人に
世界で糖尿病とともに生きる人の数は、2021年時点で5億2,900万人に上ることが、もっとも最新の包括的な調査で明らかになった。
研究は、米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)によるもので、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援をえて行われた。研究成果は、「ランセット」に掲載された。
世界の糖尿病の有病率は6.1%。糖尿病はどの国でも、あらゆる年齢の人にみられ、男性も女性も、大人も子供も、多くの人が糖尿病とともに生きている。
糖尿病は死亡および障害の主な原因のトップ10のひとつになっている。糖尿病の有病率は、どの国でも65歳以上の人でとくに高く20%以上になっており、75歳~79歳の人では24.4%ともっとも高い。
研究グループは、効果的な対策をしないでいると、糖尿病有病者の数は今後30年間で、2倍以上の13億人に増えると予測している。
世界の糖尿病の96%は2型糖尿病
糖尿病は、大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分けられる。1型糖尿病は、膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が、なんらかの理由で壊されてしまい発症する。若い人を中心に幅広い年齢で発症し、生活スタイルが関わる2型糖尿病とは、原因や治療が大きく異なる。 一方、2型糖尿病は、もって生まれた遺伝的要因と、生活スタイルなどの環境的要因があわさり発症するもので、肥満や、座りっぱなしの時間が長く運動不足になっていることなども影響し、一般的に年齢を重ねると有病率が上昇していく。 世界の糖尿病の症例の96%は2型糖尿病で、▼体格指数(BMI)が高い肥満が、主要なリスクになっており、死亡年齢や障害度をあらわす保健指標であるDALY(障害調整生存年)の上昇の原因の52.2%を占めている。 さらには、▼不健康な食事、▼環境や職業によるリスク、▼喫煙習慣、▼運動不足、▼身体活動の低下、▼アルコールの飲み過ぎなど、16の危険因子が世界の2型糖尿病の増加に影響している。 「糖尿病は、虚血性心疾患や脳卒中、腎臓病などの合併症のリスクを上昇させます。糖尿病の急速な増加は、憂慮すべきことであり、世界中のあらゆる医療制度にとって深刻な課題になっています」と、ワシントン大学医学部およびIHMEの主任研究員であるリアン オング氏は言う。 「糖尿病のタイプにより、予防と治療・管理のアプローチは異なりますが、糖尿病の多くを占める2型糖尿病では、生活スタイルなどの危険因子を減らすなどなど、疾患の負担を軽減するための十分に確立された戦略があります」としている。糖尿病は複雑な病気 誤解している人も多い
「多くの人は、2型糖尿病は肥満や不健康な食事、運動不足に関連していると単純に思いがちですが、糖尿病の予防と管理には多くの要因が関連しており、その病態はとても複雑です」と、オング氏は説明する。 「両親や親戚などに2型糖尿病をもっている人がいると、そうでない人よりも糖尿病を発症する可能性が高いという遺伝的要因もありますが、食べすぎや運動不足、ストレスといった環境的要因も関わっています」としている。 さらには、低所得国や中所得国では医療システムに構造的な課題があることや、その国の社会や財政上の障壁も影響しているという。 地域別にデータをみると、世界で糖尿病の有病率がもっとも高い地域は北アフリカと中東の9.3%で、2050年までに16.8%に跳ね上がると予測されている。また、ラテンアメリカとカリブ海地域では、糖尿病有病率は11.3%に上昇すると予測されている。 2型糖尿病の有病率は、すべての国で65歳以上の人でとくに高く、75歳~79歳の人でもっとも高い率を示す。この年齢層では、北アフリカと中東では有病率が39.4%ともっとも高く、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中央アジアは19.8%ともっと低い。世界中で格差が拡大していることも糖尿病に影響
「多くの人は糖尿病について、ひとつだけ、あるいはいくつかの危険因子のみに注目していますが、そのアプローチでは、世界中で格差が拡大していることや、生活の質を上げるのが困難な人もいることについては、あまり考慮されていません」と、同研究所のフェローのローリン スタッフォード氏は言う。 国によって社会的背景が異なり、不均衡があることが、糖尿病の検査や治療へのアクセスを妨げ、医療サービスを利用するのを困難にしているとしている。 とくに世界の糖尿病の80%が集中している低所得国・中所得国(LMIC)では、糖尿病に対する十分な負担が行われていない現状がある。そうした国は、医療体制は資金と準備が不足しており、栄養不足、貧困、運動不足などの社会経済的課題に悩まされているとしている。 研究グループは今回、世界の疾病負担研究「GBD2021)」のデータを利用し、204の国と地域の1990年~2021年の年齢・性別階層別の糖尿病の有病率・罹患率・死亡率を調査し、2050年までの糖尿病有病率を予測した。1型糖尿病と2型糖尿病の比較や、16の危険因子に起因する2型糖尿病による負担についても定量化した。 Global diabetes cases to soar from 529 million to 1.3 billion by 2050 (ワシントン大学 保健指標評価研究所 2023年6月22日)Global, regional, and national burden of diabetes from 1990 to 2021, with projections of prevalence to 2050: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021 (Lancet 2023年6月22日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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