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2021年03月15日
認知症リスクは糖尿病予備群の段階で上昇 こうして認知症を予防「ライフズ シンプル 7」
糖尿病は認知症の危険因子だが、血糖値が正常よりも高い糖尿病予備群の段階でも、脳の健康状態は悪化しやすくなっていることが、約50万人を対象とした大規模な研究で明らかになった。
「2型糖尿病や肥満、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を長期にわたり予防・改善することは、認知症の予防にもつながります」と、研究者は呼びかけている。
「2型糖尿病や肥満、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を長期にわたり予防・改善することは、認知症の予防にもつながります」と、研究者は呼びかけている。
糖尿病予備群の段階で、脳の健康状態は悪化
ロンドン大学の新しい研究で、糖尿病は認知症の危険因子だが、血糖値が正常よりも高い糖尿病予備群の段階でも、脳の健康状態は悪化しやすくなっていることが明らかになった。
平均58歳の約50万人の英国人のデータを分析した結果、血糖値が正常より高い人は、平均4年間で認知機能の低下を経験する割合が42%高く、平均8年間で脳血管性認知症を発症する割合が54%高いことが示された。
研究者グループは、血糖値や1~2ヵ月の血糖値を反映するHbA1cと、認知テスト、認知症の診断、脳のMRIスキャンによる測定の結果がどう関連するかを調査した。
脳のMRIスキャンを受けた3万5,418人については、高血糖が脳の海馬と縮小や脳白質病変と関連していることが示された。高血糖と高血圧が重なると、脳のダメージはさらに大きくなるという。
血糖値が高いと「軽度認知障害」にもなりやすい
「糖尿病と認知機能の低下は関連があることは、これまでの研究でも示されています」と、英ユニバーシティ カレッジ ロンドン(UCL)心臓血管科学研究所のビクトリア ガーフィールド氏は言う。
「今回の研究では、糖尿病と診断されるほどではなくとも、血糖値が高くなっている糖尿病予備群の段階で、脳の健康に悪い影響があらわれることが示されました」。
「軽度認知障害」(MCI)は、認知症と正常の中間にある状態。物忘れが主な症状で、日常生活への影響は多くないが、放っておくと認知症に進行しやすいので注意が必要となる。軽度認知障害をもつ人が高血圧や糖尿病を併発していると、認知症を発症する危険性が高まることが過去の研究でも明らかになっている。
「糖尿病予備群の人は、健康的でバランスのとれた食事をとり、運動不足を解消し、より活発に体を動かし、健康的な体重を維持することで、2型糖尿病のリスクを減らすことができます」と、ガーフィールド氏は指摘している。
糖尿病や肥満を改善する「ライフズ シンプル 7」
ライフズ シンプル 7
(1) 血圧を管理する
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高血圧があると、血液の流れが悪化しやすくなり、十分な酸素と栄養を心臓や脳に供給するのが難しくなる。脳の血流の不足は認知機能の低下も引き起こす。 高血圧は自覚症状が乏しく自分では分からないので、定期的に血圧を測ることが重要となる。健康な体重を維持すること、塩分の摂取量を減らすこと、医師に処方してもらった薬をきちんと飲むことも大切だ。 |
(2) コレステロールを管理する
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コレステロールの異常は、動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞などの心臓病や、脳出血や脳梗塞などの脳卒中の原因になる。 動脈硬化を起こした血管では、血管壁の内側にプラークと呼ばれるふくらみができる。ここにはコレステロールがたまっていて、プラークが大きくなると、血液の通り道が狭くなってしまう。 プラークが破れると、そこに血液のかたまりができ、血管が詰まってしまう。これが冠動脈で起きれば心筋梗塞になり、脳の動脈なら脳梗塞になる。 悪玉のLDLコレステロールを減らすために、動物性食品の摂り過ぎを抑えて、野菜、果物、魚などをバランスよく食べることが必要だ。 |
(3) 血糖値をコントロールする
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糖尿病のある人が、血糖値が高い状態を放置していると、心臓病や脳卒中の危険性が2~4倍に高まる。血糖値をコントロールすれば、これらの合併症を防ぐことができる。 インスリンは血糖を下げる働きのあるホルモン。過食や運動不足により肥満になると、インスリンの作用が悪くなり、糖が筋肉などに取り込まれにくくなるインスリン抵抗性になりやすい。食後に上がった血糖値も下がりにくくなってしまう。 糖尿病のある人は血糖コントロールをしっかり行うことが大切。糖尿病は食事や運動の影響を受けやすいので、生活スタイルを少しずつでも改善していき、医師から処方された薬をしっかり服用することが重要。 |
(4) 健康的な食事を続ける
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健康的な食事を続ければ、体重、血圧値、血糖値、コレステロール値を改善できる。カロリーの摂り過ぎを防ぎながら、必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切だ。そのために、1日3食をしっかりと食べ、野菜や果物、海藻、大豆食品、魚類などを十分に摂ることが勧められる。 塩分の摂り過ぎも脳の血管の老化を促す。塩分は1日6g以下を目指そう。清涼飲料や缶コーヒーを飲むときは、糖分の摂り過ぎにも注意する。コップ1杯(200g)のコーラのカロリーは90kcalぐらいだ。 |
(5) 運動を習慣として行う
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運動を習慣として続ければ、血糖値・血圧値が下がり、悪玉のLDLコレステロールが減り、善玉のHDLコレステロールが増える。骨が丈夫になり骨粗鬆症の予防につながり、がんの発症リスクも下げられる。運動はストレス解消に役立ち、夜はよく眠れるようになる。 運動を行うと、酸素を体内に取り入れられ、脳の血液量が増える。認知症を予防するためにも、運動は効果的だ。 長時間座ったまま過ごすことが健康に悪影響をもたらす。立ち上がってウォーキングをすれば、どんな薬よりも費用対効果の優れる治療法になる。 1日30分のウォーキングなどの運動を週に5日以上続けて、週に合計150分行うのが目標。1回10分の運動を3回に分けて行っても効果がある。 |
(6) 標準体重を維持する
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肥満を抑制し、標準体重を維持することが大切だ。肥満は体にとって異常な状態で、とくに内臓脂肪が一定以上に多くなる内臓脂肪型肥満は、2型糖尿病や高血圧のリスクも高める。 肥満に脂質異常や、高血圧、高血糖などが重なると、血管がさらにいたみやすくなり、血流が悪くなり、血液が固まりやすい状態になり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる。 肥満の人は体重を減しただけでも、これらの検査値が改善することが多い。3~6ヵ月かけて現在の体重を3%減らすだけでも、さまざまな検査値が改善する。 1日の食事で必要なカロリーを確かめて、それを超えて食べ過ぎないようにし、ウォーキングなどの運動を続ければ、体重を減らすことができる。食べ過ぎを防ぐには、体重を朝晩はかることが効果的だ。 体重が大きく変化した場合は、食生活に何か問題点がないか、点検をして改善しよう。 |
(7) たばこを吸わない
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たばこに含まれるニコチン・タール、一酸化炭素には血管を収縮させる作用がある。たばこを吸う人は禁煙をするだけで、心臓病や脳卒中、がんや、慢性肺疾患、呼吸器疾患などの発症リスクを減少できる。 たばこを吸う人はいますぐ禁煙しよう。そうすれば、数年で心臓病や脳卒中の発症リスクを、非喫煙者と同程度に下げることができる。 火を使わない電子たばこなども、健康への悪影響が少ないことが医学的に証明されているわけではないので、注意が必要だ。 |
Brain health across the entire glycaemic spectrum: the UK Biobank(Diabetes, Obesity and Metabolism 2021年1月19日)
U.S. burden of Alzheimer's disease, related dementias to double by 2060(米疾病対策センター 2018年9月20日)
Self-Reported Increased Confusion or Memory Loss and Associated Functional Difficulties Among Adults Aged ≥60 Years -- 21 States, 2011(米疾病対策センター 2013年5月10日
My Life Check | Life's Simple 7(米国心臓学会 2018年5月2日)
Association of Cardiovascular Health Level in Older Age With Cognitive Decline and Incident Dementia(JAMA 2018年8月21日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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