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2021年03月11日

「心房細動週間」 糖尿病の人は心房細動・不整脈に注意 脈の自己チェックの方法を解説

 3月9日は「脈の日」、3月9日~15日は「心房細動週間」だ。心房細動があると脳梗塞になりやすい。
 糖尿病の人は、心房細動を合併することが多いく、とくに注意が必要になる。
 しかし治療は大きく進歩している。心房細動を早期に発見し、それから起こる脳梗塞を予防することが大切だ。
心房細動は健康寿命を脅かす重大な疾患
 日本脳卒中協会は、日本不整脈心電学会とともに、毎年3月9日を「脈の日」、3月9日~15日を「心房細動週間」と定め、心房細動から起こる脳梗塞を予防するための啓発活動を展開している。

 心房細動の患者数は、2050年に約103万人、心不全の患者数は2030年に130万人にそれぞれ増加すると推計されており、いずれも健康寿命を脅かす重大な疾患とされている。

脈の自己チェック
不整脈、心房細動に注意しましょう。
心房細動があると脳梗塞になりやすいのです。でも薬で予防できます。

心房細動週間ウェブサイト(日本脳卒中協会・日本不整脈心電学会)
心房細動があると脳梗塞のリスクが上昇する
 正常な心臓のリズムは、安静時に規則的に1分間で60回~100回拍動するが、心臓が速く不規則に拍動してしまい、心房がけいれんした状態なる不整脈が心房細動だ。

 心房細動の多くは、それ自体が命に関わるような重症な不整脈ではないが、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状があらわれ、また脳梗塞や心不全の発生率が高くなるため、適切な治療が必要となる。

 心房細動になると、心臓の内部で血液がよどむようになり、血の固まり(血栓)ができやすくなる。

 脳梗塞は、血栓が脳の血管に詰まって起こる病気。心房細動により心房の中にできた血栓が、はがれて脳動脈に流れ込み、脳梗塞が起こる危険性が高くなる(心原性脳塞栓症)。

 このため心房細動や動脈硬化のある人は、脳梗塞にも注意が必要となる。
糖尿病の人は心房細動を合併しやすい
 高齢の人、高血圧や糖尿病がある人、心不全を起こしたことがある人、脳梗塞や脳虚血発作を起こしたことがある人、腎臓機能が悪い人などは、脳梗塞を起こす危険が高い。

 とくに糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べ、心房細動を合併することが多いことが知られている。

 2型糖尿病の人が血糖コントロールが不良の状態が続くと、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性や、耐糖能異常、炎症や酸化ストレス、血をかためる成分である血小板の亢進、心臓組織の線維化などが起こりやすくなり、これらが心房細動の発症につながりやすい。

 さらに、糖尿病は心筋梗塞や心不全の危険因子だが、2型糖尿病と心房細動を合併すると、その危険性がさらに高まることも知られている。良好な血糖コントロールを維持し、これらの病気をきちんと管理することが重要になる。

日本脳卒中協会が公開しているポスター
あなたの脈、大丈夫ですか? もし不規則だったら、お医者さんに相談しましょう!

「脈の日」に心房細動・心不全の啓発ビデオを開始
 日本心臓財団とバイエル薬品は、3月9日の「脈の日」に合わせ、心房細動および心不全に関する一般・患者向けの啓発ビデオの公開を開始した。

 心房細動について、▼病気のしくみとその原因、▼放っておくと大変なことになる、▼治療にあたって心がけたいことなどを、専門医が分かりやすく解説している。

 藤生克仁・東京大学特任准教授が心房細動について、網谷英介・東京大学特任講師が心不全についてそれぞれ解説。リーフレット「心不全に負けず健康長寿を目指そう」も公開している。

 「心房細動は、脳卒中の原因となる不整脈で、加齢や飲酒、喫煙などがリスクとなります。また心不全は高血圧や弁膜症、心房細動が原因で心臓の動きが悪くなり、息切れやむくみが起きて生命を縮める病気です。心房細動と心不全はお互いに悪い影響を与える病気なので、予防や治療の正しい知識を得てください」と、日本心臓財団理事長の矢﨑義雄先生は述べている。

公益財団法人 日本心臓財団
心房細動に負けずにエベレスト登頂に成功
 ジョンソン・エンド・ジョンソンも、「脈の日」と「心房細動週間」に合わせて、すでに公開済みの不整脈・心房細動に関するコンテンツに加え、新たにプロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんを起用した啓発動画の公開を始めた。

 三浦さんは、2003年に当時70歳でエベレストの登頂を達成した。しかし、日常生活で心臓がけいれんするような動悸症状を感じ、病院で検査を受け心房細動と診断された。

 三浦さんはあきらめずに治療を受けた。そして2013年に、80歳で3回目のエベレスト登頂を達成。それは史上最高齢の記録更新となった。

 同社のウェブサイトで、心房細動が起こる原因や、見付け方、治療の基礎知識を解説しているほか、循環器専門医、不整脈専門医による不整脈・心房細動の早期発見や治療に関する動画メッセージも公開している。

 コロナ禍の影響で、医療機関への受診控えが懸念されている。同社の調査によると、心疾患が疑われる症状のひとつである「動悸、息切れや脈の乱れ」について、症状を感じた人は少ないものの、約2割の人が医療機関の受診を控える行動をとっていたという。

 同社では、心房細動の早期診断をサポートできるよう、コロナ禍での受診の参考にしてもらえるような情報も、ウェブサイトで公開している。

不整脈/心房細動について(ジョンソン・エンド・ジョンソン)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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