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2015年08月18日
プロバイオティクスで腸内環境を整える 善玉菌を増やして腸を健康に
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ヨーグルトなどの「プロバイオティクス」の健康機能が注目されている。腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすために、ヨーグルトを毎日食べ続けると効果的であることが最新の研究で明らかになった。
ヨーグルトを食べると善玉菌が増えやすくなる
「プロバイオティクス」とは、腸内細菌のバランスを整え、健康に有益な働きをする微生物およびそれを含む食品のこと。乳酸菌やビフィズス菌が代表的なプロバイオティクスだ。
人間の腸内にはさまざまな腸内細菌が生息しており、その種類は数百種類にもおよぶ。腸内細菌の中で、体によい働きをするのが「善玉菌」、体に悪い働きをするのが「悪玉菌」、そしてこの2つの勢力によって働きを変えるのが「日和見菌」だ。
プロバイオティクスは整腸作用や免疫の働きを促すなど、機能面で優れた力があることが最近の研究で分かってきた。プロバイオティクスを摂取することで、腸内細菌のバランスが安定し、善玉菌が増えやすい環境になる。
ビフィズス菌が産生する酢酸という成分に強力な殺菌作用があり、腸内で悪玉菌の繁殖を抑制することで、善玉菌が優勢である状態にし、腸内環境を整える。
また、乳酸菌はビフィズス菌のサポート役となり、ビフィズス菌が生息しやすい環境をつくる役割を担っている。
腸に届いた乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作りだす。この乳酸が腸内を酸性に変え、ビフィズス菌が繁殖しやすい環境を作りだす。
プロバイオティクスの効果を高める方法
プロバイオティクスの摂取の仕方にはコツがある。カリフォルニア大学食品科学・技術学部のマリア マーコ氏は、プロバイオティクスの上手な摂り方として、次のことをアドバイスしている。
・ 自分に合った菌を見つけると効果的
プロバイオティクスには多くの種類がある。腸内細菌のバランスは人によって異なるため、効果があると聞いて試したプロバイオティクスが、自分には効果のない場合もある。せっかく摂取したプロバイオティクスも、体に合っていなければ体外に排出されてしまう。
自分に合う菌がみつかるまで、いろいろと試してみると効果的だ。2週間程度、同じヨーグルトを継続的に摂取し、2週間後に便の質や便通が改善されたと感じられれば、それが自分に合った菌だと分かる。
・ 毎日コツコツと食べ続けることが大切
プロバイオティクスには、便秘や下痢を改善する整腸作用がある。乳酸菌を摂取すると、大腸で乳糖などをエサにして大量の乳酸を作りだす。この乳酸が腸壁を刺激して腸の蠕動運動を活発にし、排便をスムーズに促してくれる。
便がきちんと出るということは腸の環境が良くなったことであり、食欲アップや健康増進、免疫力向上にもつながる。
ただし、外部から取り入れた乳酸菌は、それほど長くは滞在せず、排出されていってしまうため、毎日食べ続けることが大切だ。
・ オリゴ糖や食物繊維もいっしょに摂る
オリゴ糖や食物繊維には、プロバイオティクスのエサになり、その働きを助ける役目があるので、いっしょに摂るようにすると効果的だ。オリゴ糖は、納豆や豆腐などの大豆食品や、ネギ、ゴボウ、アスパラガスなどの野菜にも含まれている。
「ヨーグルトを食べているのに便秘がよくならない」という人は、水溶性食物繊維が不足している可能性がある。野菜や果物、海藻類に含まれる水溶性食物繊維は、腸内で溶けることで便通を改善させる。水溶性食物繊維が含まれる食品の多くはオリゴ糖も含まれている。
ヨーグルトとサプリメントのどちらが効果的?

Dairy Products Boost Effectiveness of Probiotics(米国微生物学会 2015年7月17日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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