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2015年03月27日
玄米を食べると糖尿病リスクが低下 血糖値を下げる食物繊維の実力
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- 食事療法
研究チームは、2005〜2010年の米国健康栄養調査(NHANES)に登録された1万4,386人の米国人のデータを解析した。研究は、米国農務省や米国ライス連合会などの資金提供を受けて行われた。
「米を食べている人は、野菜や果物、豆類などの摂取量が多く、飽和脂肪酸や塩分、糖分の摂取量が少ない傾向があることが分かりました。一方で、食物繊維、カリウム、マグネシウム、鉄分、葉酸などの体に良い栄養素の摂取量は多かったのです」と、同大学のテリーザ ニクラス教授(栄養学)は言う。
また、精白されていない玄米は、白米に比べ、食物繊維、ミネラル、ビタミンB群、マグネシウムなどが多く含まれる。玄米を効果的に利用すると、栄養バランスは改善するという。
米が精白される過程で、外皮、内皮、胚芽など、ビタミンやミネラルを多く含む部分が削りとられる。同時に食物繊維も失われる。食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑えるので、2型糖尿病を抑制するのに有用だ。
「米を主食とするのはアジア系の人々です。アジア系米国人は増えており、米の消費が10年間で増えています。 利用されている米の多くは精白された白米です。体に良い玄米は十分に認知されていません」と、ニクラス教授は言う。
歯ごたえがあり消化吸収の遅い玄米は精白米に比べGI値が低く、相対的に食後高血糖になりにくい。GI値は2型糖尿病のなりやすさとも関連している。
最近の研究では、玄米に含まれる「γ-オリザノール」という成分が、インスリンを分泌するβ細胞の新生や再生を促し血糖値を下げることが明らかになり、注目されている。
・ 小腸で吸収されず大腸で働く食物繊維 |
(1)水溶性食物繊維 果物などに含まれるペクチン、昆布やワカメなど海藻類に豊富なアルギン酸、大麦に含まれるβグルカンなど。善玉菌を増やし腸内環境を改善する。小腸内の糖質の消化・吸収をゆるやかにし、急激な血糖値の上昇を抑える。血中コレステロール値を正常化し、動脈硬化を予防する効果もある。 |
(2)不溶性食物繊維 植物の細胞壁の構成成分であるセルロース、ヘミセルロースなど。穀類、野菜、いも、豆、果物、きのこなどに豊富に含まれる。腸で水を吸って膨らみ、便の量を増やす。大腸を通過する時間が短縮され、便秘を予防できる。大腸がんの予防効果も期待できる。 |
・ 食物繊維と同じ働きをもつ成分 |
(3)難消化性デンプン 玄米、雑穀米、全粒穀類などに含まれ、食物繊維と同様の働きをする。胃や小腸では消化されずに大腸にまで届き、大腸に住む善玉菌のエサとなり、便のかさ増しなど腸内の健康を促進する。 |
研究チームは、米国で実施された看護師健康調査(NHS)のIとIIと、医療従事者追跡研究(HPFS)に参加した女性15万7,463人と男性3万9,765人を対象に、白米と玄米の摂取と2型糖尿病との関連を調べた。
NHSのIでは22年の追跡期間中に5,500人が2型糖尿病を発症し、NHSのIIでは14年間に2,359人が発症し、HPFSでは20年間に2,648人が発症した。
調査の結果、玄米をよく食べる人では2型糖尿病の危険性が低下していることが分かった。1日の摂取量の3分の1に相当する50gの自米を、同じ量の玄米にかえると、2型糖尿病の危険性は16%低下するという。さらに、ふすまを多く含む小麦や大麦の全粒粉をとるようにすると、危険性は36%も低下する。
米国政府が策定した「米国人のための食生活ガイドイラン」では、炭水化物を多く含む穀物のうち、少なくとも半分を全粒粒からとることを勧めている。
今回の調査は、健康に対する意識が高い医療従事者を対象にしたもので、全粒粉に糖尿病などの生活習慣病を予防・ 改善する効果があることはよく知られていた。結果として、玄米を食べない人の中には、ふすまを多く含む小麦や大麦などの全粒粉を食べている人が多かった。
全粒粉に比べ、玄米に認知度は低いことも明らかになった。「精製された穀物をとるかわりに、玄米や全粒粉をとることで、2型糖尿病の危険が低下するのは明白です。このことは、米を主食としているアジアの人々にとって、特に大きな意味合いをもちます」と、研究者は指摘している。
Replacing white rice with brown rice or other whole grains may reduce diabetes risk(ハーバード大学 2010年6月14日)
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