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2015年03月31日

慢性腎臓病(CKD)を防ぐための7ヵ条 腎機能チェックし早期発見

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糖尿病合併症
 日本人の8人に1人が発症する「慢性腎臓病」(CKD)は、高血圧や糖尿病を適正に治療し、生活スタイルを見直すことで、予防・改善が可能な病気だ。「世界腎臓デー」では、CKDの早期発見の大切さが世界規模で呼びかけられた。
慢性腎臓病(CKD)は心筋梗塞や脳卒中の原因になる
 毎年3月の第2木曜日の「世界腎臓デー」は、国際腎臓学会などが腎臓病の早期発見・治療を訴えるために2006年に開始した。今年の世界腎臓デーは3月12日。中高年で発症が増えている「慢性腎臓病」(CKD)の早期発見・治療への注意喚起が呼びかけられた。

 CKDは、血液中の老廃物を取り除く働きをもつ腎臓の働きが、健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった異常が続く状態をいう。現在、日本には約1,330万人のCKD患者がいるとされ、これは成人の約8人に1人にあたる数だ。

 腎機能が低下してしまうと、それをもとの状態に戻すのは困難だ。腎臓の機能が10%にまで低下すると、人工透析や腎移植を受けなければ生きられなくなる。さらにCKDは、透析になるだけではなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になる。腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにつながる。

慢性腎臓病(CKD)を防ぐために 自分で検査値をチェック
 慢性腎臓病(CKD)は、重度になるまで自覚症状はほとんどない。気づかないまま放置し、病気が進んでしまう例が多い。貧血、疲労感、むくみなどの症状があらわれたときには、病気がかなり進行している可能性がある。

 早期発見し治療を開始するために、尿中のタンパク質を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査を定期的に受けることが必要だ。

 クレアチニンとは血液中の老廃物のひとつで、通常であれば腎臓でろ過され、ほとんどが尿中に排出される。しかし、腎機能が低下していると、尿中に排出されずに血液中に蓄積される。この血液中のクレアチニンが「血清クレアチニン値」だ。

 CKDの診断の指標となる検査値が「GFR値(糸球体ろ過量)」で、1分間に腎臓の糸球体をろ過してできる原尿の量を示す。90以上が正常。50未満になると腎臓機能が低下していると診断され、専門医の治療が必要となる。

 GFR値を正確に測定するには厳密な検査が必要だが、定期健康診断の血液検査の項目でもある血清クレアチニン値がわかれば、推定GFR値を計算することができる。

 検査結果の項目に推定GFR値が書かれていない場合は、日本慢性腎臓病対策協議会のホームページに自動で換算できるページが設けられている。検査結果をもとに血清クレアチニン値、年齢、性別を入力すると、推定GFR値を自分で知ることができる。
腎機能をチェックしましょう(GFR値の自動換算)(日本慢性腎臓病対策協議会)

微量アルブミン検査で腎症を早期発見できる
 糖尿病の治療を受けている人は医療機関で、より精度の高い検査も受けられるので、主治医や医療スタッフに聞いてみよう。腎症を発見するためには、微量アルブミン検査が有効だ。この検査は、微量の蛋白(アルブミン)を、感度のよい方法で尿から調べる検査方法。検査を受ける人にとっては、一般の尿検査の方法と変わらない。

 一般に糖尿病腎症は血糖コントロールが悪いと、糖尿病の発病から10年以上たつと発症するといわれているが、2型糖尿病の人では、いつ頃発病したのかを正確に知るのは難しい場合が多い。腎機能が低下していないか血液検査をあわせて行って、少なくとも年1回以上、微量アルブミン尿検査を受けることが推奨されている。

慢性腎臓病(CKD)を防ぐための7ヵ条
 慢性腎臓病(CKD)と診断されたら、まず重要なことは、慢性腎臓病の原因を知ることだ。早期であれば、原因に対処することで進行を抑えたり改善することが可能だ。

 高血圧、糖尿病、脂質異常症などを発症すると、動脈硬化が進行し、慢性腎臓病を発症しやすくなる。また、CKDがあると動脈硬化が進み、高血圧など生活習慣病を悪化させるという悪循環に陥りやすい。その状態を放置すると、さらにCKDを悪化させたり、脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすくなる。

1血圧値をチェック

 高血圧が続き血管が障害されると、動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞が起きやすくなるだけでなく、CKDも悪化しやすくなる。また、高血圧がある場合には、動脈硬化が進んで腎臓の血圧を調整する機能が低下するため、さらに血圧が上がり、腎臓の機能がより低下する。高血圧を指摘されたら、血圧をコントロールすることが必要だ。

2血糖値をチェック

 糖尿病のある人は治療を受け、良好な血糖コントロールを維持することが大切。糖尿病は腎臓にさまざまな影響を及ぼす。透析療法を始めた患者を原因別にみると、糖尿病が原因となる糖尿病性腎症がもっとも多い。
 腎臓で血液をろ過する糸球体は毛細血管の集まりで、血糖値が高い状態が続くと、糸球体などの腎臓の血管も傷ついてしまう。糖尿病のある人は、血圧コントロールを続けると同時に、血糖コントロールにも取り組むことが必要となる。

3運動を習慣化し毎日をアクティブに過ごす

 CKDの進行を抑えるために、ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分程度行うと効果的だ。適切な運動強度による有酸素運動を行うことによって、尿タンパクが減少し、高血圧、身体機能、脂質代謝などの改善が認められ、その有効性が報告されている。腎臓病が進行している患者では、運動が制限される場合もあるので、主治医の指導を受けることも必要となる。

4塩分摂取量を減らす

 食生活の改善で特に重要なのが減塩だ。塩味の濃い食品をたくさんとると、のどが渇くので水分を多くとる。体内の水分量が増えて、血液の量も多くなるので、心臓から送り出される血液も増加し、血管にかかる圧力が増大して血圧が上がる。高血圧がある人は、1日の食塩摂取量6g未満を目指そう。
 みそ、しょうゆなどの調味料を減らしても、塩分は麺類、バター、ハムやかまぼこなどの加工食品、インスタント食品などにも含まれている。味付けや調理法を工夫して、減塩に努めよう。

5体重をコントロールする

 肥満は、食塩のとり過ぎに並ぶ、高血圧の大きな原因だ。減量をすれば、血圧が下がることも分かっている。
 肥満を防ぐには、食事などからとる1日の摂取エネルギー量が消費エネルギーを超えないようにすることが必要。すでに肥満がある人は、摂取エネルギー量を消費エネルギー量より少なくする。肥満対策には、食事の改善に併せて運動も大切だ。

6たばこを吸わない

 喫煙は血管を障害するため、喫煙している人は禁煙しよう。たばこの本数が増えれば増えるほど腎機能障害は進行しやすくなる。たばこを全く吸わないようにするのが最善の策だ。

7病気ごとに目標値を目指す

 糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病がCKDの原因になっている場合は、それぞれの病気に対する薬物療法が行われる。
 糖尿病がある場合は、HbA1c(過去1〜2か月間の平均的な血糖値を反映する数値)を7.0%未満を目標にコントロールする。
 高血圧がある場合は、収縮期血圧130mmHg以下、拡張期血圧80mmHg以下を目標にする。
 脂質異常症がある場合は、LDLコレステロール値120mg/dL未満、可能なら100mg/dL未満を目指す。

世界腎臓デー(World Kidney Day)
日本慢性腎臓病対策協議会(J-CKDI)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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