ニュース
2012年11月28日
糖尿病はアジア全域に拡大 2030年に2億人弱に増加
- キーワード
- 世界糖尿病デー
第9回国際糖尿病連合西太平洋地区会議(会長:清野裕氏)は11月24日〜27日の4日間、第4回アジア糖尿病学会学術集会(会長:堀田饒氏)と共同で、国立京都国際会館で学術集会を開催した。
今回の合同学会は「西太平洋地区における糖尿病の多様性の探求;科学的根拠に基づく糖尿病の教育とケア」をテーマとして掲げた。国際糖尿病連合西太平洋地区会議は第1回会議が1987年東京で開催されて以来、日本での開催は25年ぶりとなった。アジア糖尿病学会学術集会は2010年の岡山での開催以来となる。 11月24日には市民参加型のイベント「糖尿病に立ち向かう-京都ではじまるアジアの輪-」を開催した。稲垣暢也・京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学教授が、「アジアで激増する糖尿病-その問題と対策-」と題し講演した。
糖尿病有病者の3分の1はアジアに集中
国際糖尿病連合(IDF)の発表によると、日本を含む西太平洋地区には約1億3,200万人(成人の有病率は8.0%)の糖尿病有病者がいる。糖尿病は世界のどこよりも急速にアジア地域で広がっており、世界の糖尿病有病者の3分の1はこの地域に集中している。中国とインドネシアと日本の糖尿病患者は合わせて1億700万人となり、今後も増加していくと予測されている。
なぜアジア系の人は糖尿病になりやすいのか? 「米国白人と日本人のインスリン分泌能力を比較したデータによると、日本人を含むアジア人は米国白人に比べるとインスリン分泌が半分程度であることが分かりました。アジア人のインスリン分泌能力はきわめて弱いのが特徴です」と稲垣教授は説明する。
治療の95%は自己管理 糖尿病教育を世界に拡大
日本を含む西太平洋地区の糖尿病人口は、2012年には1億3,200万人に上る。2030年には1億8,790万人に増加すると予測されている。アジアや西太平洋地区といっても、日本、中国、韓国、インド、東南アジア諸国、オーストラリアと人種も生活習慣も多様であり、インスリン分泌能も同じアジア人でも異なる。
いくつかの大規模な研究により、血糖値を目標値に保つことで、合併症の進展の危険性を低減できることが分かっている。そのため、糖尿病ケアを行う医師や看護師、栄養士らは、血糖値をできるだけ目標値に保つために、食事指導や運動指導を行ったり、薬の正しい服用や定期的な血糖値測定による血糖コントロールを促している。
多くの人の場合、HbA1cが6.9%(NGSP値)未満で、空腹時血糖値が130mg/dL未満、食後2時間値が180mg/dL未満であれば、コントロールは良い状態といえる。重要なのは、ときどきの高血糖値は長期的にはそれほど健康に影響を及ぼさないが、慢性的に高血糖状態が続くことで、糖尿病の合併症を引き起こすということを理解しておくことだ。
糖尿病は、患者自身による自己管理が治療の95%を占める病気とされる。患者や家族は、糖尿病を管理するために適正な知識を知っておく必要があり、そのために糖尿病教育を受けられる機会を設けることが不可欠となる。
IDF Western Pacific Region(International Diabetes Federation)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
世界糖尿病デーの関連記事
- 【世界糖尿病デー】糖尿病とともに生きる10億人が明るい未来に向けて行動 糖尿病ケアへのアクセス
- 【世界糖尿病デー】インスリン50年賞を発表 バーチャルウォークラリー・市民講座・セミナーなどを開催
- 糖尿病とともに生きる人々の命を守る WHOが糖尿病の5つのグローバル目標を策定 世界中で急増する糖尿病に対策
- 【世界糖尿病デー】十分な教育を受けていない患者が多い 支援とサポートの充実が必要 国際糖尿病連合
- 【世界糖尿病デー】インスリン治療を続けて50年 第20回「リリー インスリン50年賞」受賞者発表
- 【世界糖尿病デー】糖尿病とともに生きるスポーツ選手が世界で活躍 糖尿病の壁を打ち破る
- 【世界糖尿病デー】運動不足が原因で糖尿病が増加 WHOが警告「ソファに寝転ぶのをやめて立ち上がろう」
- 「歩いて学ぶ糖尿病バーチャルウォークラリー」を11月19日にオンライン開催 日本糖尿病協会など
- 【世界糖尿病デー】糖尿病とともに生きる人は世界に5.4億人 「明日を守るための糖尿病教育」がテーマ
- 世界の糖尿病人口は5.4億人に増加 10人に1人が糖尿病 糖尿病のパンデミックが脅威に