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2012年03月21日
甘い飲料で心臓病リスクが高まる 低カロリー甘味料なら大丈夫
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糖質を加えた清涼飲料をとりすぎると、心筋梗塞などの心臓病の指標となる血清脂質、炎症反応、レプチンなどが悪化するという米国の研究が発表された。一方、低カロリー甘味料入りの飲料であれば、心筋梗塞の危険性は上昇しないという。「清涼飲料やお菓子などで糖質をとりすぎるは良くないことが確かめられた。加工食品を利用する場合は、栄養成分表に目を通した方がよい」と研究者は注意を促している。
低カロリー甘味料は心臓病の危険性を上昇させない
糖質は大きく「単純糖質」と「複合糖質」という2つの種類に分かれる。単純糖質は消化吸収が早く食後血糖が上昇しやすいが、複合糖質は消化吸収がゆるやかなタイプの糖質だ。清涼飲料や加工食品に含まれる砂糖や果糖などは、分子量が小さく、吸収の早い単純糖質だ。
一方で、穀類や野菜などに含まれるデンプンなどは複合糖質とよばれ、アミラーゼなどで消化されてから吸収されるため、吸収が遅く胃の中に長くとどまり腹もちがよいという特徴がある。
清涼飲料や菓子類の中には少量でもカロリーや炭水化物が多いものがあるのは、単純糖質であるショ糖、ブドウ糖、コーンシロップなどが大量に使われているからだ。これらは安価に生産・加工でき液状で扱いやすいので、多くの加工食品に使われている。
コーラやジュースなど市販されている缶入りの清涼炭酸飲料の容量は350mL(約12オンス)には大量の糖質が含まれる。1缶の清涼飲料に含まれる糖質130kcalを換算すると、ティースプーンでは8杯分、角砂糖では(1個3〜4g)8〜11個分に相当するという。
「自分で考えている以上に糖質を多く摂取してしまっている人が多い」と米ハーバード大学公衆衛生大学院のFrank B. Hu氏は説明する。米国人は甘味を好むので「飲み物などに砂糖を追加して加えてしまう人がたくさんいる」という。米国人は平均的に、砂糖を1日に男性では150kcal(スプーン9杯分)、女性では100kcal(6杯分)を余計に摂取している。
甘い清涼飲料のとりすぎで心臓病が増える
Hu氏ら研究チームは、医療従事者を対象とした大規模研究に参加した男性4万2,883人(40〜75歳)を対象に、加糖飲料(カフェイン入りコーラ、カフェインなしのコーラ、コーラ以外の加糖炭酸飲料、炭酸が入っていない加糖飲料)および人工甘味料入り飲料(カフェイン入り低カロリー炭酸入り飲料、炭酸が入っていない低カロリー飲料)の摂取量が、冠動脈疾患に及ぼす影響を検討した。
研究チームは対象を、清涼飲料の摂取量と利用頻度によって、全く飲まないグループから、もっとも多く摂取しているグループまで4つに分類した。1986〜2008年の22年間の追跡期間で、心臓病を発症したのは3,683人だった。
その結果、清涼飲料などで単純糖質を多くとっていたグループでは、全く飲まないグループに比べ、心臓病の危険性が20%上昇していた。喫煙、運動習慣、飲酒習慣、心臓病の家族歴などの危険因子の影響を取り除き解析しても、糖質を多くとる人で心臓病が増える傾向があることは変わらなかった。
低カロリー甘味料入りの飲料を飲んでいたグループでは中性脂肪、C反応性蛋白(CRP)や、HDL(善玉)コレステロール、レプチンなどの増加がみられなかった。これらは心筋梗塞などの心臓病の発症を予測するバイオマーカーとなる。
「糖質の多い甘い清涼飲料が心臓の健康にとって害があることが示された。糖質のとりすぎを減らすことが、糖尿病などの疾患のある人だけでなく、広く社会にとって有益であることがあらためて示された。一方で、低カロリーの甘味料をとっている人では、心臓病の危険性は上昇しなかった」とHu氏は話す。
低カロリーの甘味料は、甘味に対する欲求を充足するために使われている。低カロリー甘味料は消化管では消化・吸収されないので、食後血糖に影響を与えない。「低カロリー」や「ノンカロリー」と表示した食品では、低エネルギー甘味料を上手に組合せることで、カロリーを増やすことなく味覚を満足させるよう工夫されている。
心臓病を予防するために、高カロリーの糖質を低カロリー甘味料に代えることも効果的な方法になりそうだ。この研究は、米医学誌「Circulation」(電子版)に3月12日付で報告された。
Sugar-sweetened drinks linked to increased risk of heart disease in men(米国心臓学会 2012年3月12日)Sweetened Beverage Consumption, Incident Coronary Heart Disease and Biomarkers of Risk in Men
Circulationaha, 111.067017, March 12, 2012
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日本医療・健康情報研究所
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