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2010年11月22日
白米をとりすぎると糖尿病発症のリスクが上昇
米飯を多く食べる女性で糖尿病の危険性が上昇することが、多目的コホート(JPHC)研究の大規模調査で分かった。炭水化物の摂取量が多い人で糖尿病発症の危険性が高くなることが知られているが、米を主食とする日本人でも、女性では米飯をとりすぎていると危険性が上昇することが示された。
「バランスが大切」という結果に
国立国際医療研究センター、国立がん研究センターなどの研究チームは、1990年と1993年に、それぞれ、岩手、秋田、長野、沖縄県、および茨城、新潟、高知、長崎、沖縄県の9保健所管内に在住していた、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患を発症していなかった45〜74歳の男女約6万人を、5年間追跡して調査した。
期間中に男性625人、女性478人が糖尿病を発症したと申告した。エネルギー摂取量や栄養バランスの個人差を調整して解析したところ、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症の危険性が上昇する傾向が認められた。
米飯の1日あたりの量が1杯強(165グラム)でもっとも少ないグループに比べ、1日3杯(420グラム)のグループでは糖尿病の危険性が1.48倍に、1日4杯(560グラム)以上のグループでは1.65倍に、それぞれ上昇していた。
米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない白米だけの米飯をとっていた人で、糖尿病の危険性はより高くなっていた。男性でも同様の傾向が示されたが、米飯の摂取量による明確な差はみられなかった。
さらに、筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、男女ともにそうした活動をしない人では糖尿病の危険性は高くなった。しかし、運動や身体活動を1日1時間以上している人では、危険性が低く抑えられることが分かった。
研究班では「白米では、精白の過程で食物繊維やマグネシウムが失われる。そうした栄養素が糖尿病に予防的に働く可能性がある。白米は食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスも高い」と指摘。
さらに「身体活動量が高い人では、米飯の摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれているのだろう」と述べている。
糖尿病予防の観点から「特に女性では、日常の身体活動量を増やすとともに、食事に雑穀をとりいれるなど、米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切だ」としている。
今回の研究成果は、医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された(2010年11月にウェブサイトで先行公開)。
この研究について、詳しくは下記をご覧ください:
多目的コホート研究(JPHC Study)
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部
2010/11/12米飯摂取と糖尿病との関連について
米飯摂取と糖尿病との関連について
American Journal of Clinical Nutrition 2010年11月
多目的コホート研究(JPHC Study)
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部
2010/11/12米飯摂取と糖尿病との関連について
米飯摂取と糖尿病との関連について
American Journal of Clinical Nutrition 2010年11月
アルコールと糖尿病発症の関連は?
お酒はひかえめに
今回発表された研究は、全国の保健所や国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などで共同研究として実施されている「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。
がん・心筋梗塞・脳卒中などの発症には、食習慣・運動・喫煙・飲酒などの生活習慣が深く関わっており、生活習慣の改善によって、これらの病気をある程度、予防できると考えられている。
JPHC研究では、飲酒などの生活習慣と2型糖尿病の発症の危険性との関連も調べており、飲酒量が多かったり喫煙習慣があると、糖尿病が増えることも分かっている(この研究は2004年10月に公表された)。
それによると、体格指数(BMI)が22以下の標準体重の男性では、飲酒量が増えるにつれて糖尿病リスクも高くなった。お酒を飲まないグループにくらべ、1日当りのエタノール摂取が23グラム(日本酒に換算すると1合程度)を超えると、糖尿病リスクが優位に上昇した。エタノール摂取が1日23.1〜46.0グラムのグループで1.9倍、46.1グラム以上のグループでは2.9倍まで高くなった。
欧米で報告された研究では、適度な飲酒が2型糖尿病に予防的にはたらくというものもあるが、日本人を対象とした研究では「過度の飲酒により危険性は増す」という結果になった。お酒を長期間飲みすぎていると、インスリンの分泌量が低下するという報告もある。
研究班では「日本酒にして1日1合を超える飲酒は控えるようにしたほうがよい」と述べている。日本酒1合は、ワインでは2杯強、ビールでは中瓶1本に相当する。
この研究について、詳しくは下記をご覧ください:
多目的コホート研究(JPHC Study)
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部
2004/10/25飲酒と2型糖尿病の発症について
多目的コホート研究(JPHC Study)
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部
2004/10/25飲酒と2型糖尿病の発症について
2010年11月22日更新
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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