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2008年06月22日

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糖尿病の予防

「STOP-NIDDM」試験
α-グルコシダーゼ阻害剤が糖尿病と心血管疾患を予防

 アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)による治療は、2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制すると発表された。

 今年6月にヘルシンキで「第5回糖尿病とその合併症予防に関する世界会議」(WCPD)が開催された。バイエル・シエーリング・ファーマ社のキャンペーン「糖尿病、心に留めて(We Take Diabetes To Heart)」の一環として行われた「糖尿病と心血管疾患(CVD)の予防アカルボースと迎える新時代」と題したシンポジウムで、欧州と北米で実施された「STOP-NIDDM」試験の結果が発表された。

 3年間行われたこの試験では、アカルボースによる治療で2型糖尿病へ進展するリスクが36%有意に減少し、心筋梗塞などの心血管疾患の発症は49%減ったという。アカルボースは前糖尿病(Pre-Diabetes)と2型糖尿病の治療薬として、主要なガイドラインで推奨されている。

 現在、国際的な研究グループが、「アカルボース」(製品名:グルコバイ)の脳血管疾患・心血管疾患の予防効果を調べる大規模な臨床研究「ACE試験」を準備している。アカルボースなどのα-グルコシダーゼ阻害薬は、食物に含まれている糖質の分解・吸収を遅らせ、食後高血糖を抑制する作用がある。

 ACE試験は、多施設二重盲験無作為化治験で、アカルボースとプラセボ投与の比較が行われる。すでに中国と香港で、心血管疾患があり前糖尿病と診断された患者7500人以上が登録しているという。

 試験の結果は2014年に出る見込み。ルーリー・ホルマン・英オックスフォード大学糖尿病試験課教授は、「この結果は、前糖尿病と心血管疾患という『死の二重奏』に対し、早期介入とリスク管理面での総合的手法を確立する基礎となるでしょう。また、患者さん個人と社会全体の医療負担を減らす一助となるでしょう」と述べている。

バイエル薬品(株)

IDFの新ガイドラインに「食後高血糖」

 糖尿病の合併症は、これまでは糖尿病腎症や網膜症、神経障害などが注目されてきた。しかし最近は、糖尿病は心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患、脳卒中などにも大きく影響していることがわかってきた。そのため、「食後高血糖」の改善が注目されている。食後高血糖のみられる人では、空腹時の血糖値はそれほど高くなくとも、食後に急激に高くなるパターンが多い。

 食後血糖値が高いと、糖尿病が進展するだけでなく、さまざまな合併症のリスクも高くなる。食事後の血糖値の急な変動が食事のたびに繰り返され、血管がダメージを受けやすくなる。最近の研究では、血糖の変動幅が大きいと、酸化ストレスが血管に与える悪影響がさらに増すことも分かってきた。

 2型糖尿病と糖尿病合併症の増加は、日本など先進国だけで起きているのではなく、途上国でも事情は同じで、糖尿病と関連の深い心血管系の合併症で亡くなる人は、世界中で年間380万人に上るという。そこで国際糖尿病連合(IDF)は昨年9月、新しい糖尿病の治療指針(ガイドライン)を発表した。予防と早期発見を重要視し、早い時期から治療を開始し食事2時間血糖値を140mg/dL以下にコントロールすることを推奨している。


関連情報
炭水化物消化阻害薬
 α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)は糖尿病治療薬として汎用されているが、はじめアカルボースはドイツのバイエル社からは何に有効な薬か分からないまま導入された。
私の糖尿病50年 糖尿病医療の歩み
[ Terahata ]

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