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2007年03月19日

「ぐっすり眠る」と糖尿病にも良い 睡眠と糖尿病

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糖尿病予備群
 高血圧や2型糖尿病などの生活習慣病と睡眠は関わりが深い。特に無呼吸をともなう睡眠障害のある人では、そうでない人と比べ、血糖を適切に維持する能力(耐糖能)が低くなる割合が高まることが国内外の調査研究でわかっている。
睡眠時間が6時間だと糖尿病が1.7倍
 睡眠と生活習慣病の関わりについて調べた多くの研究で、発症予防や治療において睡眠障害を視野に入れる必要が示されている。糖尿病では、睡眠障害とインスリン抵抗性が関係があることがあきらかになっている。米国で、睡眠時間が糖尿病と耐糖能異常に与える影響について調査した大規模研究「The Sleep Heart Health Study : SHHS」では、睡眠時間が7〜8時間の人と比べ、睡眠時間が6時間以下の人は糖尿病が約1.7倍、耐糖能異常が1.6倍に増えることが示された。
睡眠の質を高める工夫
 からだには1日の間に起床・活動・睡眠のリズムを作りだす「体内時計」が備わっている。体内時計がつくりだす生体のリズムは、昼間はすっきり目覚め、夜はぐっすり眠るという昼夜のメリハリをつけることが大切だ。規則的な生活を送っていれば自然に夜は眠くなり、朝は目が覚めるようになる。

 なんらかの理由で生活のリズムが乱れると、夜眠れない、朝起きられないといった不調が現れる。生活のリズムを速やかに規則的な状態に戻すことが大切となる。

 日本看護協会は、睡眠に関する保健事業のあり方を開発、普及することを目的にモデル事業に取り組んでおり、その成果を「睡眠に関する地域保健活動実践ガイドブック」にまとめた。そこでは、質の高い睡眠を得るための工夫が紹介されている。

起床時間を一定にし、目覚めたら日光を浴びるなどして、しっかりと目を覚ます
 日光を浴びることで、「いまが朝」と体内時計の時刻合わせが行われる。およそ15〜16時間後に自然な眠気が現れることが多い。 睡眠障害と糖尿病
食事の時間を毎日一定にし、朝食を必ずとる
 食事は生体リズムを整える重要な因子となる。朝食をとることは、こころとからだの目覚めさせ1日を始める上で重要。夜は軽めに食事をとるのがよい。
日中に適度な運動やストレッチを行う
 自然に眠りにつくことのできる時刻は、日中の活動量などによって変化する。定期的な運動習慣は熟睡を促進する。
アルコールに睡眠効果を期待するのは間違い
 適度な飲酒は緊張をほぐし、眠気をもたらすといわれるが、アルコールによって得られる催眠作用は一時的なもので、むしろ弊害の方が多い。飲酒によってレム睡眠が減り、睡眠の後半で眠りが浅くなり、睡眠の質を落とすことになる。
 また、アルコールの睡眠作用には耐性があり、効果が次第になくなる。睡眠効果を期待すると飲酒量が増えるおそれがある。糖尿病の食事療法の観点からも飲酒は勧められない。
休日の朝寝坊は避けたほうがよい
 以下のことは、睡眠の質が下がったり生活リズムが乱れる原因になるので、なるべく避けたい。
  • 夜中に明るい光を長時間浴びる。
  • 寝る前にカフェインの含まれるコーヒーやお茶を飲む。
  • 食後すぐに寝る。あるいはひどい空腹のまま寝る。
  • 寝る前に激しい運動をする。
  • 休日に遅くまで寝る。
関連サイト
睡眠に関する地域保健活動実践ガイドブック((社)日本看護協会/PDF)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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