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2006年12月05日

雑穀を見直そう アワやヒエは健康食

キーワード
食事療法
 以前は「貧しい食事をイメージさせる」、「マイナー、おいしくない」と敬遠されることも多かった玄米や雑穀が、優れた機能をもつからだに良い食品として見直されている。入手しやすくなり、消費も伸びているという\\\
糖尿病患者にとってもメリットが多い
 玄米は稲の外側のもみ殻だけを取り除き、ぬか層と胚芽部分を残したもの。ぬか層だけを取り除き胚芽部分を残して精米したものは胚芽米となる。

 アワ、ヒエ、キビなどの雑穀は古来より日本でよく食べられていた。近代化や戦後の経済成長を経て国民の食習慣が変化し、主食は白米がにとって変わり、しばらく消費量が低下していた。最近では栄養機能に優れた食品として見直されてきている

 玄米や胚芽米は精白米に比べて、食物繊維が多く含まれる。ビタミンB1、鉄分、マグネシウムなども多く含んでいるので、これらの供給源としても有用な食品だ。

 玄米や雑穀は、白米に比べると硬く、よく噛まないと飲み込めないので、食感や味覚の点で躊躇する人も少なくない。しかし、ゆっくりとよく噛むことで食べすぎを抑えることができ、また食物繊維が豊富に含まれるので食後の高血糖の改善が期待できるなど、糖尿病患者にとってメリットが多い。

 白米に玄米や、アワやヒエなどの雑穀を混ぜて食べると、それだけで多種類の栄養素も摂取でき、食感や味覚などの不都合もなく食べられる。玄米や雑穀は最近はスーパーの米売り場などに置かれている。

米の種類

米の種類栄養成分(100g当り)
白米 精米してぬか層と胚芽部分を取り除き、胚乳のみにした米。炭水化物が主な成分で、蛋白質も含まれる。脂質やビタミン類、食物繊維の含有は少ない。 エネルギー 356kcal
炭水化物 77.1g
蛋白質 6.1g
ビタミンB1 0.08mg
食物繊維 0.5g
胚芽米 ぬか層だけを取り除き胚芽部分を残して精米した米。白米に比べ胚芽部分に食物繊維やビタミンB群が多く含まれる。 エネルギー 354kcal
炭水化物 75.3g
蛋白質 6.5g
ビタミンB1 0.23mg
食物繊維 1.3g
玄米 稲の外側のもみ殻だけを取り除き、ぬか層と胚芽部分を残した米。白米に比べ、ぬか層に食物繊維が豊富に含まれ、胚芽部分にビタミンB群が多く含まれている。 エネルギー 350kcal
炭水化物 73.8g
蛋白質 6.8g
ビタミンB1 0.41mg
食物繊維 3.0g

雑穀の種類
穀類の種類栄養成分(100g当り)
大麦 水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含有し、ビタミンB群、ミネラル類も含む。夏に飲用される麦茶が一般的。常食されるのは六条種を精麦した押麦が多く、白米に混ぜて炊くことができる。成分の組織が粗く粘りが少ない特徴がある。 (押麦)
エネルギー 340kcal
炭水化物 77.8g
蛋白質 6.2g
ビタミンB1 0.06mg
食物繊維 9.6g
ハトムギ 蛋白質、ミネラル、ビタミンB群を多く含む。アミノ酸もバランス良く含んでいる。生では消化が悪いので加熱調理をする。白米に混ぜて炊くことができる。 エネルギー 360kcal
炭水化物 72.2g
蛋白質 13.3g
ビタミンB1 0.02mg
食物繊維 0.6g
アワ(粟) 生育期間が3-5カ月と短く、温暖で乾燥した土地で栽培できる。日本では米より早く伝来したと言われ、かつては粟だけを炊いたり、粥にして食べていた。ミネラル類、ビタミンB1が多く、食物繊維も多く含有している。白米に混ぜて炊くことができる。 エネルギー 364kcal
炭水化物 73.1g
蛋白質 10.5g
ビタミンB1 0.20mg
食物繊維 3.4g
ヒエ(稗) 日本ではかつてはよく食べられていたが、米の増産とともに消費が減った。小鳥の餌など飼料用としての利用が多いが、優れた栄養成分をもつことから食品として見直されつつある。ミネラルや食物繊維をバランス良く含んでいる。 エネルギー 367kcal
炭水化物 72.4g
蛋白質 9.7g
ビタミンB1 0.05mg
食物繊維 4.3g
参考:日本食品標準成分表(五訂)
雑穀を使いやすくするための試み
岩手県ホームページ

 雑穀は最近はからだに良い食品として見直されてきており、雑穀を取り巻く市場も徐々に拡大傾向にある。

 岩手県は全国でも有数の雑穀の生産地で、国内生産量の半分以上をもつ。ヒエ、アワ、キビ、アマランサス、タカキビの栽培面積は全国一だ。

 同県では、雑穀の新しい品種開発や加工食品や料理などの広報活動、より消費者のニーズに合わせた製品の開発支援なども行われている。

 数種類の雑穀を小袋に詰め、そのままご飯にまぜて炊ける商品を家庭やレストラン向けに開発したり、コンビニエンスストアや外食業界に売り込んでいる。

 流通量が増えると、異物の混入など品質低下が起こりやすくなる。そこで、品質を保証するために、雑穀の小袋パッケージに生産グループの写真を印刷するなどの試みも始められている。こうした商品が首都圏の百貨店などの店頭に並びはじめた。

詳しくは岩手県ホームページ「雑穀王国いわてから」へ

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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