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2006年11月14日

インスリン治療50年を讃えて 第4回「リリー インスリン50年賞」表彰式

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世界糖尿病デー
 日本イーライリリーは、世界糖尿病デーである11月14日に、第4回「リリー インスリン50年賞」の表彰式を開催した。

 インスリン療法を開始して50年以上になる糖尿病患者を表彰する同賞は、1974年に設立されたもので、これまでに世界で約1,500名が受賞している。日本では2003年から応募が開始され、今回の受賞者の方を含め12名が受賞している。
受賞者は3名 受賞メダルプレゼンターに小倉智昭氏
 今回受賞したのは、神奈川県在住の馬場裕子さん(1939年生)と千葉県在住の井野元富士江さん(1919年)など3名の方。*


受賞者の馬場裕子さん
 馬場裕子さんは、1954年(当時15歳)に糖尿病を発症しインスリン療法を開始。また、長期にわたり入退院を繰り返し、病院から学校や職場に通っていた。血糖コントロールに気をつけながら会社員として勤め、結婚後は医師に“難しい”と言われるなか、2児を出産した。一方で、大好きな音楽の勉強を続け、30年前からはプロの声楽家として海外演奏やCDリリースなど、幅広く活躍している。「糖尿病で、日常生活のさまざまなことが制限されましたが、そんな中で音楽一筋にやってこられたのは、糖尿病だったからかもしれません」と受賞コメントで語った。


受賞者の井野元富士江さん
 井野元富士江さんは、結核療養中であった1953年(当時34歳)に糖尿病を発症し、インスリン療法を開始。当時は、インスリンの自己注射が認められていなかったため、インスリン注射のため毎日近くの助産院へ通ったという。血糖コントロールを行いながら、5人の子供の育児と家事に加え、約20年間2人の親の看護を続けた。表彰式当日は、自宅療養のため欠席したが、書面で「周りに支えられてきたおかげで、糖尿病だからといって辛い思いをしたことはありません。病気で表彰されるなんて驚きました。私をずっと支えてくれている家族に、とても感謝しています」とコメント寄せた。


小倉智昭氏と馬場裕子さん
 また表彰式では、キャスターの小倉智昭氏が受賞メダルのプレゼンターを務め、自身糖尿病患者としてインスリン治療をしている経験から、「糖尿病と闘うという気持ちはありません。友達だと思って付き合っています。私も、受賞者の方々に負けないようインスリン治療を続けたいと思います。本日は、おめでとうございました」と、受賞者にお祝いの言葉を述べた。
バイタリティ溢れる生き方が、糖尿病治療の原動力
 今回の受賞者は全員女性で、10〜30代に糖尿病を発症した。しかし、3名全員が現在でも好きなことに打ち込んでおり、馬場裕子さんの主治医である金城瑞樹医師(かねしろ内科クリニック)も、「バイタリティ溢れる生き方が、長い糖尿病治療の原動力となっているのではないかと思います」と、受賞者の前向きな生き方を讃えた。

 50年前のインスリン治療は、困難なことも多かった。現在使われているヒトインスリン製剤は開発されておらず、動物インスリン製剤が使われていた。また、インスリン注入のための注射器は大きく注射針も太かったため、患者への負担も大きかった。

 現在では、患者の病態に合わせさまざまなタイプのインスリン製剤が治療に使われるようになり、より細い痛みの少ない注射針や、一見して注射器と分かりにくいペン型注射器なども出てきた。インスリン療法を続ける上で、またこれからインスリン療法を始めるにあたり、治療に伴う不便や苦痛は軽減されている。

インスリンの歴史
 インスリンは1921年にフレデリック・バンティングとチャールズ・ベストによって発見された。動物の膵臓から抽出したインスリンで、糖尿病の動物の血糖が降下することが確認された。その翌年に、牛から抽出したインスリンを糖尿病の子供に投与し、血糖が降下することが確かめられた。

 さらに翌年の1922年5月にイーライリリー社がインスリンの製剤化に成功し、1923年に世界で初めてインスリン製剤を発売した。当時インスリンはミラクル(奇蹟の薬)といわれる程、貴重な薬だった。

 受賞式では、その当時の様子を伝える資料なども公開された。

 (日本イーライリリーの資料から)

イーライリリー社が1923年に発売した世界初のインスリン製剤「アイレチン」

「アイレチン」の注入器」

2005年に発売を開始したペン型注入器「ヒューマン ラグジュラ」
* もう1名の方については、ご本人の希望でお名前などは非公開。
●詳しくは日本イーライリリー(株)のサイトへ
 第4回「リリー インスリン50年賞」受賞者発表(プレスリリース)
 Diabetes.co.jp
「リリーインスリン50年賞」の過去の開催については下記で公開されている。
リリーインスリン50年賞
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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