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2024年09月30日

【お酒を減らす3つの方法】アルコールの飲みすぎは糖尿病リスクを高める 仕事のストレスも原因に

 アルコールの飲みすぎは、糖尿病などのリスクを高める。

 アルコールを飲みすぎてしまう原因はさまざまだが、仕事のストレスもそのひとつ。嫌な気持ちを忘れるための飲酒は、量や頻度が少しずつ増え、危険な飲み方につながりやすい。

 アルコールの飲みすぎを防ぐ、効果的な3つの方法をご紹介する。

アルコールの飲みすぎは糖尿病などのリスクを高める

 アルコールの飲みすぎは、肝障害、2型糖尿病、高血圧、心疾患、胃腸障害、がん、メンタルヘルス不調などのリスクを高める。

 アルコールの過剰摂取は、日本を含む世界的な課題となっており、国連の持続可能な達成目標(SDGs)にも含まれている。

 糖尿病とともに生きる成人の半数は、飲酒する習慣がある。米国のペンシルバニア大学看護学部の研究によると、糖尿病の治療を受けていて肥満もある人が、アルコールの摂取量を減らすと、体重を減らすことができる。

 お酒を控えて健康的な体重を維持することで、血糖値と1~2ヵ月の血糖値の平均を示すHbA1cを改善できる可能性がある。

 日本では、飲酒にともなうリスクに関する知識の普及を推進するために、厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を策定した。

 ガイドラインでは、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、1日あたりの純アルコール量で、男性は40g以上、女性は20g以上を摂取した場合としている。

 過剰なアルコール摂取を防ぐため、▼自らの飲酒状況などを把握する、▼あらかじめ量を決めて飲酒をする、▼1週間のうち飲酒をしない日を設けるなど、健康に配慮した飲酒をすることを勧めている。

 純アルコール量20gの目安は、ビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、焼酎は0.6合(110mL)、ワインは1/4本(180mL)となっている。

仕事のストレスはアルコールの飲みすぎを増やす

 アルコールの飲みすぎが増える原因はさまざまだが、仕事のストレスもそのひとつ。嫌な気持ちを忘れるための飲酒は、量や頻度が少しずつ増え、危険な飲み方につながりやすい。

 なかでも長時間労働は、危険なアルコール摂取の増加につながりやすいことが、東フィンランド大学やスウェーデンのカロリンスカ研究所の研究で明らかになっている。

 とくに週48時間以上働いている従業員は、アルコールの飲みすぎになりやすいことが示された。

 研究グループは、14ヵ国の33万3,693人を対象に横断的調査を実施した。その結果、労働時間が長すぎると、アルコール摂取量が増加する可能性が11%増加することが分かった。

 9ヵ国の10万602人を対象とした前向き調査でも、長時間労働は危険なアルコール摂取のリスクの12%増加と関連していた。

 「長時間労働と危険なアルコール摂取の関連が示されました。成人のほとんどが就労しており、働いている人のアルコール乱用は重要な課題になっています」と、同大学教育心理学部のマリアンナ ヴィルタネン教授は述べている。

アルコールの飲みすぎを減らす方法 1
ノンアルコール飲料を上手に活用する

 それでは、過剰なアルコール摂取を防ぐために、どんな方法が効果的だろうか?

 ノンアルコール飲料を利用することで、飲酒量が減少し、その効果は提供の終了後も8週間持続することが、筑波大学が123人の成人を対象に実施した研究で明らかになった。

 研究グループは、アルコール依存症などのない参加者を介入群と対照群に分け、介入群にはノンアルコール飲料を12週間提供した。

 その結果、介入群の飲酒量は12週目の時点で、介入前に比べて1日あたり純アルコール換算で平均11.5g減少していた。

 また、介入群のノンアルコール飲料の摂取量の増加と、飲酒量の減少とに相関がみられ、ノンアルコール飲料がアルコール飲料に置き換わって飲まれていた可能性が示された。

 「過剰なアルコール摂取を減らすための対策として、ノンアルコール飲料の利用は有用であり、ノンアルコール飲料が減酒のきっかけになる可能性あります」と、研究者は述べている。

アルコールの飲みすぎを減らす方法 2
アルコールのカロリー表示を見る 飲酒量を減らすのに効果的

 販売されているアルコール飲料にカロリーが分かりやすく表示してあれば、多量飲酒をしている人の54%は「飲酒習慣を変える」と考えていることが、英国のユニバーシティ カレッジ ロンドンが4,683人を対象に実施したアンケート調査で示された。

 アルコール飲料のカロリー表示により、多量飲酒をしている人の4分の1以上(27%)が「低カロリーの飲料を選ぶ」と答え、6人に1人が「飲酒頻度を減らす」(18%)、「飲酒量を減らす」(17%)とそれぞれ答えた。

 「アルコール飲料をはじめとする食品に分かりやすくカロリーを表示することは、多くの人の飲酒などの食習慣を変えるのに効果がある可能性があります」と、同大学行動科学・健康学部のアンドリュー ステプトー教授は言う。

 英国では、すべての加工食品に栄養表示をすることが義務づけられているが、ノンアルコール飲料はアルコール度数などを表示する必要があるものの、カロリー表示は義務づけられていない。

 英国では、1日に摂取する総カロリーに占めるアルコール摂取の割合は、成人男性では9%、女性では5%に上るという。

 「アルコールから摂取するカロリーは多く、飲みすぎにより体重が増え、肥満やメタボリックシンドロームになる可能性が高いことを考えると、カロリーを含めた栄養表示をすることは重要です」としている。

アルコールの飲みすぎを減らす方法 3
アルコール飲料のポーションサイズを少なくする

 アルコール飲料の1杯の量を少なくすると、飲みすぎを減らすことができると、英国のケンブリッジ大学が発表した。

 研究グループは、イングランドの21の店舗で、大容量のワインをメニューからなくして、注文できないようにした。

 4週間後に、小容量のワインの売り上げは増加したが、販売されたワインは全体では7.6%減少した。

 「大容量のワインを購入できなくなると、人々は小容量のワインを選ぶようになり、最終的にアルコールの摂取量は減ったと考えられます」と、同大学行動健康研究ユニットのテレサ マートー氏は言う。

 「食品でも、レストランなどの外食で提供する料理のサイズを少なくすると、食べる量が減ることが示されています」。

 「アルコール飲料のポーションサイズを少なくするのは、アルコール消費量を減らす効果的な介入になり、国民の健康を改善するのに有用である可能性があります」としている。

健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて (厚生労働省)
Alcohol Intake May Be Key to Long-term Weight Loss for People with Diabetes (ペンシルバニア大学看護学部 2018年12月3日)
Alcohol Intake and Weight Loss During Intensive Lifestyle Intervention for Adults with Overweight or Obesity and Diabetes (Obesity 2018年11月13日)
Long working hours are linked to risky alcohol consumption (BMJ-British Medical Journal 2015年1月13日)
https://www.bmj.com/content/350/bmj.g7800 Long working hours and alcohol use: systematic review and meta-analysis of published studies and unpublished individual participant data (BMJ-British Medical Journal BMJ1月13日)
Long working hours are linked to risky alcohol consumption (BMJ-British Medical Journal BMJ1月13日)
The First Global Demonstration of Nonalcoholic Beverages Reducing Alcohol Consumption: A Randomized Controlled Trial (筑波大学 2023年10月5日)
Effect of provision of non-alcoholic beverages on alcohol consumption: a randomized controlled study (BMC Medicine 2023年10月2日)
Calorie labels on alcohol might help some drinkers maintain a healthier weight (ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2024年9月19日)
Potential impact of alcohol calorie labelling on the attitudes and drinking behaviour of hazardous and low-risk drinkers in England: a national survey (BMJ Open 2024年9月18日)
Removing largest serving sizes of wine decreases alcohol consumption, study finds (PLOS 2024年1月18日)
Impact on wine sales of removing the largest serving size by the glass: An A-B-A reversal trial in 21 pubs, bars, and restaurants in England (PLOS Medicine 2024年1月18日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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