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2023年12月12日
冬のお風呂は危険? 寒いと増える「ヒートショック」 糖尿病の人もご注意 7つの方法で予防

「ヒートショック」は、暖かい場所から寒い場所へ、逆に寒い場所から暖かい場所へ移動するなどして、温度が急激な変化し、血圧や心拍数が変化して体に悪影響が及ぶこと。
心筋梗塞や脳梗塞、不整脈などのリスクのある人や、高血圧・糖尿病・脂質異常症のある人は、とくに注意が必要となる。
日本医師会は、ヒートショックへの注意を呼びかける動画を公開し、予防するためのポイントを紹介している。
寒いと増える「ヒートショック」とは?
「ヒートショック」とは、暖かい場所から寒い場所へ、逆に寒い場所から暖かい場所へ移動するなど、温度が急激に変化した影響で、血圧や心拍数が大きく変化し、体に悪影響が及ぶこと。 たとえば暖かい室内から寒い脱衣所や浴室へ移動すると、寒さにより交感神経が刺激され、血圧が上昇する。さらには、浴槽でお湯につかると、血管は拡張し血圧が急降下する。すると、体に大きな負担がかかり、脳に血液が回らなくなり、脳貧血や失神を起こしやすくなる。 ヒートショックを起こすと、最悪の場合は浴槽で意識を失って、そのままおぼれてしてしまうこともある。心筋梗塞や脳梗塞、不整脈などのリスクのある人や、高血圧・糖尿病・脂質異常症のある人は、とくに注意が必要となる。 厚生労働省研究班の2013年度の調査では、入浴事故の死者数は1万9,000人と推定されており、その多くがヒートショックによるものと考えられている。死亡事故は1月や2月の冬場にとくに多く起きている。 ヒートショックは脱衣室や浴室など、お風呂関連だけで起こるものと考えている人も多いが、実は寝室や廊下など、さまざまな場面で起こりえる。 また、若い人でも動脈硬化を起こしやすい特徴のある人は、ヒートショックのリスクがあるので注意が必要になる。温度差が大きいとヒートショックの原因に こうして対策
パナソニックが、20代~60代の男女556人を対象に行った調査では、7割の人が「自身や家族のヒートショックが心配」と回答した。 その一方で、冬のヒートショック対策については「日常的に対策をしている」という人はわずか21%にとどまり、8割の人が対策をしていないことが示された。 ヒートショックは、家のなかの温度が低いと懸念されるが、9割の人は「冬に家のなかにいるにもかかわらず、寒いと感じることがある」と感じており、自宅の断熱性に満足している人も27%と少数だった。 東京都市大学人間科学部の学部長で教授の早坂信哉先生は次のようにコメントしている。
温度差が大きいとヒートショックの原因になります。なるべく温度差を少なくすることが重要です。また、夜寝ていてお手洗いに行きたくなった場合は、寝室から出ると廊下やトイレはさらに低く8℃ほどになります。トイレでは、いきむと血圧が上昇するおそれもあります。
光熱費が気になる昨今ですが、お布団から出たら一枚羽織る、スリッパを履くなど工夫をしましょう。
また、高齢者ほど湯たんぽや電気毛布など、お布団の中を温めるアイテムを使いがちですが、ヒートショックが起きる可能性が高くなるため、お部屋全体も暖めることが大切です。特に寒さが厳しい日はWHO推奨の18℃以上に保つことを心がけましょう。
光熱費が気になる昨今ですが、お布団から出たら一枚羽織る、スリッパを履くなど工夫をしましょう。
また、高齢者ほど湯たんぽや電気毛布など、お布団の中を温めるアイテムを使いがちですが、ヒートショックが起きる可能性が高くなるため、お部屋全体も暖めることが大切です。特に寒さが厳しい日はWHO推奨の18℃以上に保つことを心がけましょう。
ヒートショック対策
- 入浴前に脱衣所は暖房器具などで暖めておき、温度差をなくすことが重要。
- 食後は血圧が下がりやすくなる傾向があるので、食後すぐの入浴は避ける。飲酒をするなら、入浴後にする。
- 入る前にコップ1杯の水を飲み水分補給すると、脱水による血圧低下を防ぐことができる。
- 浴槽のふたをあけたり、シャワーでお湯張りすると蒸気で浴室が暖まり、温度差を減らすことができる。
- 浴槽に入る前に、手足などの末梢からかけ湯をする。少しずつ体を暖めることで、血圧の急降下を防ぐことができる。
- 長時間の入浴は体に負担をあたえ、のぼせやすくなるので、入浴はほんのり汗ばむ程度にする。浴槽から出る際は、急に立ち上がらずゆっくりと出ることも大事。
- 高齢者では、家族の見守りも重要。入浴前に周囲の方に一声掛けてから入浴するようにする。また同居者は、高齢者の入浴中は動向に注意し、異常に気付いた場合には声をかけるようにする。
ヒートショックへの注意を呼びかける動画を公開 日本医師会
日本医師会は、冬に向けて、ヒートショックへの注意を呼びかける動画「教えて! 日医君! 冬は特に要注意!ヒートショック」の公開を開始した。 動画は、約7分と気軽に視聴できる内容で、たかはしハートクリニック院長の髙橋利之先生が監修。 日本医師会の公式キャラクターである日医君が、▼日本におけるヒートショックの現状、▼ヒートショックが起きてしまう原因、▼日常生活の中でヒートショックを防ぐための対策、▼万が一、お風呂でぐったりしている人を見つけた場合の対処法などを、分かりやすく解説している。 日本では、外国に比べて浴室での死亡者数が多く、とくに高齢者や、心臓や脳、血管に持病がある人、高血圧、糖尿病、脂質異常症のある人は注意が必要としている。
教えて!日医君!冬は特に要注意!ヒートショック (日本医師会)
ヒートショックに関する正しい理解と対策方法を社会に広め、1人でも多くの人にリスクを回避してもらえるように、企業協働で推進する啓発活動を発信しているサイト
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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