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2023年12月13日

コーヒーが糖尿病や認知症のリスクを減少 脳が活性化し炎症が低下 血糖を下げるインスリンが働きやすくなる?

 コーヒーを飲む習慣は、認知症の発症リスクの減少と関連しているという調査結果が発表された。

 コーヒーを1日に2~4杯飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症リスクが21%低いことが示された。

 コーヒーを飲んでいる人は、血糖を下げるインスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性が低下し、2型糖尿病のリスクが低いという報告も発表されている。

コーヒーを飲んでいる人はアルツハイマー病のリスクが低い

 コーヒーをよく飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症リスクが低いという調査結果を、韓国の仁済大学などが発表した。

 研究グループは、コーヒーを飲む習慣とアルツハイマー病などの発症との関連を調べた11件の研究を解析。それらは米国・ハワイ・カナダ・イタリア・ポルトガル・日本・スウェーデン・フィンランドの6,121人を対象に調査したもの。

 その結果、コーヒーを1日に1~2杯飲むのを習慣としている人が多かった。さらにコーヒーを1日に2~4杯飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症リスクが21%低いことが明らかになった。

 ただし、コーヒーを1日に4杯以上飲んでいる人では、アルツハイマー病の発症リスクは1.04倍とむしろ上昇した。コーヒーを飲みすぎるのも良くないようだ。

 研究は、韓国の仁済大学のデジタルアンチエイジングヘルスケア研究所などのイリン スルタナ ニラ氏らによるもの。研究成果は、「Journal of Lifestyle Medicine」に掲載された。

 研究グループは、コーヒーの摂取によるアルツハイマー病に対する保護効果について、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールなどの生理活性化合物の影響を指摘している。

カフェインが認知症などに対して予防的に働いている可能性

 英国のアルツハイマー協会(AS)も、コーヒーなどに含まれるカフェインが、軽度認知障害や認知症に対して予防的に働いている可能性を指摘している。カフェインは、コーヒーや茶葉、カカオなどに含まれる天然の成分だ。

 米国のサウスフロリダ大学などが、65歳~88歳の高齢者124人を2~4年間調査した研究では、認知症を発症しなかった人では認知症を発症した人に比べ、血中に2倍の量のカフェインがあることが示された。

 ただし、カフェインが認知症の発症にどのような影響をもたらすのか、詳しいメカニズムは分かっていないという。

 カフェインの過剰摂取が、睡眠障害などを引き起こす危険性についても指摘している。カフェインが大量に含まれるエナジードリンクの飲みすぎにより、中毒死した例も挙げている。

 「コーヒーが認知症にもたらす影響を確かめるために、ランダム化比較試験を実施する必要があります。コーヒーを飲む人と飲まない人に分けて、どのような違いがあるかを長期間にわたり調査する必要がありますが、そうした試験は行われていません」と、同大学アルツハイマー病研究所のチュアンハイ ツァオ氏は言う。

 ツァオ氏は「コーヒーを飲む習慣がある人は、2型糖尿病、脳卒中、乳がんなど、老化にともない発症が増える疾患のリスクが低い傾向もみられます」と指摘している。

 マウスを使った実験では、カフェインは、神経を鎮静させる作用をもつアデノシンという物質が結合する受容体に結合し、その働きを阻害することが示されている。そのため、カフェインを摂取すると神経が刺激され、脳が活性化したり、炎症が軽減されやすくなるという。

コーヒーを飲んでいる人は糖尿病リスクが低下

コーヒーを飲むとインスリンの効きが改善

 コーヒーを飲む習慣のある人は、血糖を下げるインスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性が低下し、2型糖尿病の発症リスクが低い傾向がみられるという研究も発表されている。

 コーヒーを飲むことで、体の炎症のマーカーであるCRPも低下し、レプチンやアディポネクチンといった生理活性物質にも良い影響があらわれるという。

 アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質で、血糖や脂質の代謝の調節にも関連しており、抗炎症作用やインスリンの働きを高める作用などもあるとみられている。

 肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病のある人では、血中のアディポネクチン値が低下していることも多いという。

コーヒーの飲みすぎにも注意が必要

 この研究は、オランダのロッテルダム大学医療センターなどが、「英国バイオバンク」に参加した14万5,368人と、「ロッテルダム研究」に参加した7,111人のそれぞれのデータを解析したもの。

 「今回の研究では、コーヒーを飲む習慣が抗炎症作用を高めることと関連していることが示されました」と、オランダのエラスムス大学ロッテルダム医療センターで栄養疫学を研究しているトゥルーディ フォールトマン氏は述べている。

 「2型糖尿病の一部は、炎症性疾患とみられているので、このことは重要です」としている。

 ただし、カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経系が刺激され、めまい・心拍数の増加・興奮・震え・不眠症・吐き気などの健康障害が起こることもあるとしている。コーヒーの飲みすぎにも注意が必要だ。

 欧州食品安全機関(EFSA)は、コーヒーを1日に3~4杯飲む習慣は、ほとんどの成人にとって安全だが、飲みすぎには注意が必要としている。3~4杯のコーヒーに、カフェインはおよそ400mg含まれる。

Effect of Daily Coffee Consumption on the Risk of Alzheimer's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis (コーヒー科学情報研究所 2023年12月6日)
Effect of Daily Coffee Consumption on the Risk of Alzheimer's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis (Journal of Lifestyle Medicine 2023年8月31日)
Caffeine and dementia (アルツハイマー協会 2023年3月8日)
High blood caffeine levels in older adults linked to avoidance of Alzheimer's disease, USF-UM study reports (サウスフロリダ大学 2012年6月4日)
High Blood Caffeine Levels in MCI Linked to Lack of Progression to Dementia (Journal of Alzheimer's Disease 2012年6月4日)
Does coffee help or harm your heart? (ハーバード大学医学部 2023年8月1日)
New research reveals a potential mechanism for how coffee may reduce the risk of type 2 diabetes (コーヒー科学情報研究所 2023年3月22日)
C-reactive protein partially mediates the inverse association between coffee consumption and risk of type 2 diabetes: The UK Biobank and the Rotterdam study cohorts (Clinical Nutrition 2023年3月7日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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