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2023年11月06日
わずか20分のウォーキングで糖尿病や高血圧を改善 座ったままの時間の長い人は立ち上がって運動を
仕事中に座り続けている人は多く、1日に9~10時間を座ったまま過ごしている人も多い。
座ったまま過ごす時間の長い生活スタイルが続くと、血糖や血圧の値が上昇しやすくなり、死亡リスクが高くなることが知られている。
立ち上がって、毎日わずか20~25分の運動をするだけで、死亡リスクの上昇を抑えられることが、50歳以上の男女1万2,000人を対象とした大規模な調査で明らかになった。
ウォーキングの歩数を1日に3,000歩増やすと、とくに血糖値や高齢者の血圧値を下げるのに効果的であることも分かった。
座ったまま過ごす時間が長引いたら立ち上がって運動を
「1日で座ったまま過ごす時間が長い人は、意識して立ち上がって体を動かすことを習慣にすると、2型糖尿病や肥満の予防・改善につながり、健康寿命を延ばすことにつながります」と、デンマークのオーフス大学臨床疫学部のジェイコブ タープ氏は言う。 タープ氏が勧めるのは、活発なウォーキングや筋トレなど「中強度以上の活発な運動」(MVPA)を、1日に30分行うことだ。 「運動や身体活動を促進する取り組みにより、大きな健康上のベネフィットをえられます」と、タープ氏は指摘する。座りっぱなしの時間が長い人は死亡リスクが38%上昇
研究は、米国国民健康栄養調査(NHANES)の2003~2006年データや、ノルウェー全国身体活動調査(NNPAS)の2008~2009年のデータなどを使い、計1万1,989人の50歳以上の男女の座位時間と身体活動、死亡リスクなどの関連を調べたもの。 研究の参加者の一部は、活動量計を毎日10時間装着し、4日間以上の身体活動が記録された。 その結果、座りっぱなしの時間が1日12時間以上に及ぶ人は、1日8時間の人に比べて、死亡リスクが38%上昇することが示された。 その一方で、ウォーキングなどの活発な運動や身体活動を毎日22分以上行っていると、座りっぱなしの時間が長い人でも、死亡リスクは上昇しないことが分かった。歩数を1日に3000歩増やす血圧が低下
歩数を増やすと心臓病や脳卒中のリスクが低下
その結果、1日の歩数を3,000歩増やし、計7,000歩にすることで、参加者の収縮期(最高)血圧は7ポイント、拡張期(最低)血圧は4ポイント、それぞれ平均して低下することが分かった。 これは、全死因による死亡の相対リスクを11%、心血管疾患による死亡リスクを16%、心臓病のリスクを18%、脳卒中のリスクを36%、それぞれ減少するのに相当するという。 「運動療法には、降圧薬を使った薬物療法と同じくらいの効果があることが示されました」と、ペスカテロ教授は言う。 「薬による治療を受けている人も、それだけでは血圧が十分に下がらないことが多くあります。ウォーキングなどの運動を習慣として行うことで、さらなる血圧低下を期待できます」としている。 Daily 20-25 mins of physical activity may offset death risk from prolonged sitting (BMJ 2023年10月24日)Device-measured physical activity, sedentary time, and risk of all-cause mortality: an individual participant data analysis of four prospective cohort studies (British Journal of Sports Medicine 2023年10月24日)
Increasing Steps by 3,000 Per Day Can Lower Blood Pressure in Older Adults (コネチカット大学 2023年9月26日)
Increasing Lifestyle Walking by 3000 Steps per Day Reduces Blood Pressure in Sedentary Older Adults with Hypertension: Results from an e-Health Pilot Study (Journal of Cardiovascular Development and Disease 2023年7月27日)
Do the combined blood pressure effects of exercise and antihypertensive medications add up to the sum of their parts? A systematic meta-review (BMJ Open Sport & Exercise Medicine 2021年1月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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