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2023年09月28日

糖尿病の男性は「ED(勃起障害)」のリスクが高い　性の悩みは恥ずべきことではない　深刻な病気が隠れていることも

　ED(勃起障害)とは、男性が良好な勃起を維持できなくなった状態。

　糖尿病ある男性はそうでない男性に比べ、EDを経験する可能性が3倍高いことが知られている。

　糖尿病とEDのある男性は、心臓病などを発症するリスクが高いことも示されている。

　EDは治療できる。日本でも勃起不全治療薬の一部は保険適用になっている。

　ED(勃起障害)とは、文字通り男性が良好な勃起を維持できなくなった状態で、以前はインポテンスとも呼ばれていた。性交時に十分な勃起がえられなくなり、満足な性交を行えなくなると、不妊の原因にもなり深刻だ。

　日本では少子化が大きな問題になっており、EDによる不妊症は、子供がほしいカップルにとっても見過ごすことのできない問題となっている。夫婦を対象とした調査では、30%がEDの経験があると回答しており、けっして珍しいものではない。

　EDはさまざまな原因で起こるが、実は糖尿病とも関連が深い。加齢・糖尿病・肥満・運動不足・高血圧・喫煙・男性ホルモン(テストステロン)の低下・心理的なストレスなどが影響している。

　EDは、医療機関の泌尿器科などで治療できる。日本でも勃起不全治療薬の一部は保険適用になっている。

　英国糖尿病学会(Diabetes UK)によると、糖尿病ある男性はそうでない男性に比べ、EDを経験する可能性が3倍高い。

　「糖尿病の有無にかかわらず、ほとんどの人は人生のある時点で、性的な問題を抱えます。また糖尿病であるからといって、自動的にそうした問題が起こるわけでもありません」としている。

　「しかし、糖尿病とともに生きる男性は、性機能障害(セックス時の問題)が起こるリスクが高いことが知られています。これは糖尿病の合併症のひとつであり、高血糖、高血圧、脂質異常症なども影響しています」。

　血糖値が高い状態が長く続き、血流障害や神経障害、血管の損傷などが起きていたり、薬の影響や精神的なストレスが原因となっているなどの場合が考えられるという。

　「EDは局所だけの疾患ではなく、全身疾患のひとつとしてとらえるべきです。EDを自覚している人には、医療機関を受診することをお勧めします。全身疾患の前ぶれであったり、糖尿病や高血圧がみつかることもあります」としている。

　「EDの原因が何であれ、それを管理するための治療やカウンセリングを受けられることがあります。EDに苦しむ男性を助けるためのサポートも提供されています。あなたは決して孤独ではありません」と、同学会では述べている。

　「糖尿病が唯一の原因ということはないので、EDは恥ずべきことではありません。ほぼすべての男性は、人生のある時点でEDを経験しています。加齢、薬物療法、アルコールによっても引き起こされることもあります」としている。

　英国の男性を対象とした調査では、EDは40歳以上の男性の40%に影響を及ぼしているが、そのことを認知している男性はわずか10%しかいないことが示された。

　また、EDは糖尿病や心臓病などの深刻な基礎疾患が隠れている可能性を示す警告サインであることを知っている男性はほとんどいなかった。

　香港中文大学などの研究では、糖尿病とEDのある男性は、そうでない男性に比べて、心臓病を発症するリスクが1.6倍高いことが示されている。

　研究グループは、2,306人の男性を4年間追跡して調査した。その結果、EDがあり、糖尿病の罹病期間が長かったり、血圧やコレステロールなどの値が高い人は、心血管疾患を発症する割合が高かった。

　「勃起障害の発症は、冠状動脈性心疾患(CHD)の将来のリスクを知らせる警告サインでもあることを、患者さんも医療従事者も知っておくべきです」と、同大学のピーターチュン-イップトンは言う。

　「勃起不全と心血管疾患は、血糖値が高い状態が長く続くと引き起こされる、糖尿病の合併症です。糖尿病とともに生きる人は、血糖値などを良好に管理するために、かかりつけの医師や医療チームとよく相談するべきです」としている。

　米セントルイス大学の新しい調査では、40歳未満の若い男性でEDがある場合は、背後に糖尿病が隠れていることが多いことも示された。

　「EDをきっかけに、糖尿病が発見される場合もあります。糖尿病の潜在的なリスクを知り、早期発見し、生活スタイルの改善や治療を開始することで、将来の健康リスクを減らすことができます」と、同大学家族・地域医療学部のジェーンタッカー氏は言う。

　研究グループは、同大学が運営している米国中西部の大規模な医療データシステムを使い、糖尿病と診断されたことのない18～40歳の男性23万1,523人(平均年齢28.3歳)を追跡して調査した。

　その結果、EDのある男性はそうでない男性に比べ、2年間で糖尿病や糖尿病予備群と判定された割合が2.57倍高いことが分かった。

　「EDで医療機関を受診した男性は、糖尿病の検査も定期的に受けることをお勧めします」と、タッカー氏はコメントしている。

［ Terahata ］

日本医療・健康情報研究所

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