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2023年07月31日

間食は糖尿病の人に悪い? 「質の良い間食」は血糖値を改善 何を食べるかを選ぶことが大切

 質の良い間食、つまりカロリーや栄養バランスの良い食品を間食として利用するのは、むしろ健康に良いことが明らかになった。

 体に良い間食をとっていると、むしろコレステロールや中性脂肪などの血中脂質や、インスリンに対する体の感受性は改善するという。

 ただし、スナック菓子や菓子パンなどの「超加工食品」は、糖尿病を悪化させるおそれがある。勧められるのは、野菜や果物、ヨーグルトなどを組合せることだという。

「質の良い間食」は代謝や血糖値を改善

 「間食」は、朝・昼・夕の3食以外にとる、エネルギー源となる食べ物と飲み物のこと。その種類は、お菓子や菓子パンなどの嗜好食品、ジュースやコーラなどの清涼飲料、ファストフードやジャンクフード、野菜や果物などさまざまだ。

 間食を好む人は多く、米国では70%以上の人が1日に2回以上は間食をしているという。しかしその間食は、エネルギーのとりすぎや栄養バランスの乱れなどの原因になることがある。

 一方で、「質の良い間食」をとっていると、むしろコレステロールや中性脂肪などの血中脂質や、血糖値を下げるホルモンであるインスリンに対する体の感受性は改善することが、1,000人以上を対象にした調査で明らかになった。

 これは、米国栄養学会(ASN)の2023年の年次学術集会で発表されたもの。研究グループは、英国で実施されている世界最大規模の栄養学研究である「PREDICT研究」のデータを解析した。

間食は量や頻度よりも質が大切

 「研究では"高品質の間食"、つまりエネルギー量に対して栄養をバランス良く含む食品を間食として利用するのは、むしろ健康に良いことが示されました」と、キングス カレッジ ロンドンで栄養学を研究しているケイト バーミンガム氏は言う。

 食事の代わりに、菓子パン・ポテトチップス・クラッカー・クッキー・ケーキ・スイーツなど、糖質や脂肪を多く含むものを食べるのではなく、代わりのものとして、野菜・果物・ヨーグルト・ナッツ類などの加工度の低い、自然に近い食品を選ぶことを勧めている。

 また、加工食品を食べるときにも、食物繊維が多く含まれる全粒穀物を使ったものや、エネルギー量を抑えて、栄養バランスを調整し、塩分を少なくしてあるものを選ぶことを勧めている。

 「今回の調査では、間食は量や頻度よりも、その質の方が重要であることが示されました。食料品店で加工食品を購入するときにも、栄養ラベルをよく見ることが大切です」と、バーミンガム氏は指摘している。

 「間食をとるタイミングも重要で、たとえば夜遅くに間食をとるのは、明らかに健康に良くありません」としている。

 夜の9時以降に間食をとっている人は、昼間に間食をとっている人に比べ、HbA1c値・食後の血糖値、食後の中性脂肪値がすべて高めになることが分かった。

関連情報

間食は決して健康に悪いものではない

 「今回の研究は、間食は本質的には健康に悪いものではなく、何を食べるかに注意を向けることが重要であることを示すものです」と、バーミンガム氏は言う。

 間食は、1日のエネルギー摂取量の20~25%を占めているにもかかわらず、間食に関する研究はとても少ないことが課題になっているという。

 「PREDICT研究には多数の人々が参加しており、その間食行動について間食の量・質・頻度・タイミングなど、詳細な情報を収集できました。間食が健康にもたらす影響について徹底的に調査しています」としている。

 その結果、質の良い間食をとることは、心臓代謝の健康の指標となる血中脂質や、インスリンに対する体の反応を改善することに関連していることが示された。

 さらに、1日の3食と間食をとる時間の間隔を空けて、夜遅くに空腹を感じても食べすぎないことなども好ましい影響をもたらすという。

「超加工食品」にご注意
野菜・果物・ヨーグルトなどがおすすめ

 2型糖尿病とともに生きる人は、間食として、「超加工食品」を食べるのは勧められないことが、ハーバード大学公衆衛生大学院などによる別の研究で示された。

 「超加工食品」は、スナック菓子、菓子パン・総菜パン、カップ麺、ピザ・ホットドッグ、ケーキ・クッキー・ビスケット・パイ、ドーナツ・マフィンなどがある。

 これらの食品は、糖質や脂肪が多く含まれ、高カロリーであることが多い。反対に、野菜や果物、ナッツ類、さらにはヨーグルトなどの乳製品は、糖尿病リスクを減らすことにつながるという。

 研究グループは、米国で行われている大規模研究である「看護師健康調査」に参加した7万1,871人の女性、「看護師健康調査II」に参加した8万7,918人の女性、「医療従事者追跡調査」参加した3万8,847人の男性のデータを解析した。

 その結果、間食としてスナック菓子や菓子パンなどの「超加工食品」を食べていた人は、2型糖尿病の発症リスクが高かった。そうした食品を食べるのが10%増えるごとに、糖尿病リスクは12%高くなった。

 逆に、野菜や果物、乳製品を食べることは、糖尿病だけでなく、心血管疾患やがんなどのリスクを減らすことにもつながるという。

 とくにヨーグルトは、カルシウム・マグネシウム・カリウムなどの栄養素を含み、乳酸菌などの善玉菌も含まれ、腸内環境を改善することも期待できるという研究も報告されている。

 ただし、ヨーグルトに砂糖などを加えて甘くして食べるのは、カロリーをとりすぎてしまうので勧められないとしている。

Nutrition 2023 (米国栄養学会)
Is snacking bad for your health? It depends on what and when you eat (米国栄養学会 2023年7月24日)
Snacking Timing and Quality Is Significantly Associated With Cardiometabolic Health Outcomes: The ZOE PREDICT Study (米国栄養学会 2023年7月24日)
The Science of Snacking (ハーバード公衆衛生大学院)
Ultra-Processed Food Consumption and Risk of Type 2 Diabetes: Three Large Prospective U.S. Cohort Studies (Diabetes Care 2023年2月28日)
Starchy snacks may increase CVD risk; fruits and veggies at certain meals decreases risk (米国心臓学会 2021年6月23日)
A daily dose of yoghurt could be the go-to food to manage high blood pressure(南オーストラリア大学 2021年12月7日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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