ニュース
2023年07月28日
運動は週に1~2日でも効果が 週末のみの運動で心筋梗塞や脳卒中のリスクは低下 糖尿病の人は運動を

運動は、週に1~2日のみ行っただけでも、何もしないでいるのに比べ、大きな健康効果をえられることが明らかになった。
運動を週末などに集中して行っている人でも、運動不足の人に比べ、心筋梗塞・心不全・脳卒中などのリスクは低下した。
「仕事などで毎日が忙しく、運動をする時間をなかなかみつけられないという人も、あきらめてはいけません」と、研究者はアドバイスしている。
週末だけ運動をしている「週末戦士」でもOK
運動は、週に1~2日のみ行っただけでも、何もしないでいるのに比べ、大きな健康効果をえられることが、米国のマサチューセッツ総合病院(MGH)の調査で明らかになった。 運動を週末などに1~2日だけ、集中して行っている人は、運動不足の人に比べ、心臓の血管がつまる「心筋梗塞」、心臓の機能が低下して血液を全身におくりだせなくなる「心不全」、心臓のリズムに異常があらわれる「心房細動」、さらには「脳卒中」や「心臓発作」のリスクが低下していた。 「仕事などで毎日が忙しく、運動をする時間をなかなかみつけられないという人は、週の1~2日だけ、あるいは週末に集中して、活発に体を動かすことを心がけるだけでも、効果を期待できます」と、同病院心臓・不整脈センターのシャーン クルシード氏は言う。 多くの人に勧められるのは、「中強度以上の活発な運動(MVPA)」で、運動ガイドラインではこれを週に150分以上行うことが勧められている。 散歩くらいのゆっくりとした歩行は「低強度」で、MVPAはそれよりも強度を高めた運動。ゆっくりとしたウォーキングから少し速度を上げるとMVPAになる。呼吸が速くなり、心拍数が上がり、うっすら汗ばむくらいの運動だ。 しかし、この目標を達成できないという人も、あきらめる必要はないとしている。 「運動療法は行っただけ、効果を期待できます。何もしないでいるよりも、体を動かす時間を少しでも増やした方が良いのです」と、クルシード氏は指摘している。週末にまとめて運動している人は4割以上

週末だけ運動でも心不全は3分の1以上、心筋梗塞は3分の1、リスクが減少
「1日のうち座ったまま過ごす時間が長く、運動不足になっている人に比べ、週末だけ運動をしているという人では、心不全は3分の1以上、心房細動と脳卒中は5分の1、心筋梗塞と心臓発作は3分の1、それぞれリスクが減少しました」と、同病院心臓センターの共同所長であるパトリック エリナー氏は言う。 「今回の研究結果は、運動や身体活動を増やすための介入では、運動をたとえ週に1日や2日に集中して行った場合でも、心血管疾患の転帰を改善する効果を期待できることを示しています」。 「これは、仕事や家庭の都合で、運動の時間をみつけるのに苦労している人々にとって朗報となります。毎日忙しい生活スタイルをおくっている人も、週に1日~2日であれば、運動をする時間を作れるのではないでしょうか」としている。 研究グループは今後、週末だけ運動をしている「週末戦士」が、より広範に疾患のリスクを軽減できるかを調査する予定としている。 "Weekend Warrior" Physical Activity Provides Similar Heart-Related Benefits As More Regular Exercise (マサチューセッツ総合病院 2023年7月18日)Accelerometer-Derived "Weekend Warrior" Physical Activity and Incident Cardiovascular Disease (JAMA 2023年7月18日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
運動療法の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消
- 「ラジオ体操」で糖尿病を改善 取り組みやすく続けやすい運動 フレイル対策の効果を検証
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」
- 運動が糖尿病や肥満の人の脳を活性化 ウォーキングなどの運動が脳のインスリンの働きを改善
- 握力が低下している人は糖尿病リスクが高い 握力や体力を維持して糖尿病リスクを減少
- 糖尿病があると脳の活動が低下しやすい? 脳の老化は健康的なライフスタイルにより防げる