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2023年06月30日

【熱中症対策】熱帯夜による睡眠障害はキケン 熱中症に匹敵 夜の暑さにこうして対策

 1⽇の最低気温が25℃を上回ると、睡眠は悪化しやすいことが、東京⼤学や岡山大学などの研究で明らかになった。

 熱帯夜の睡眠障害による被害(健康ロス)は、熱中症による死亡(死亡ロス)に匹敵するという。

 熱中症対策では、昼間の暑さだけでなく、夜の暑さについても対策が必要としている。

 熱中症予防のための情報サイトが公開され、熱中症を防ぐために、それぞれの場所に応じた対策をとることが重要とアドバイスしている。

最低気温が25℃を上回ると睡眠は悪化しやすい

 1⽇の最低気温が25℃を上回ると、睡眠は悪化しやすいことが、東京⼤学や岡山大学などの研究で明らかになった。

 研究グループは、毎⽇の睡眠の質を計測する⾃記式質問票を開発し、⽇本の夏の都市部での住⺠の睡眠の質を調査した。

 その結果、熱帯夜の睡眠障害による被害(健康ロス)は、熱中症による死亡(死亡ロス)に匹敵することが分かった。日中の暑さだけでなく、夜の暑さについても対策が必要であることが示された。

 「健康ロス」と「死亡ロス」をひとつの指標で扱える障害調整⽣存年(DALY)で、熱帯夜による睡眠障害を定量化したのは、世界ではじめてとしている。

名古屋市での熱帯夜による睡眠障害と熱中症の健康被害の比較(2010~2014年)
1⽇の最低気温が25℃を上回ると睡眠は悪化し、その被害は熱中症の死亡に匹敵する

出典:岡山大学、2023年

熱帯夜による睡眠障害はキケン 熱中症に匹敵

 気候変動により、世界的に気温は上昇し続けており、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告では、将来にさらに気温が上昇し、極端な暑さが増加することが予測されている。

 気温の上昇は、直接の熱曝露を通じて、熱中症や睡眠障害を引き起こす。世界保健機関(WHO)は、直接の熱曝露による健康被害は、感染症よりも⼤きくなると推定している。

 一方、睡眠障害と熱曝露の影響についてはよく分かっていなかった。気温と睡眠の関係を調べた研究は多いが、死亡数などの広く⽤いられる健康被害の指標がなかったことが影響している。

 そこで研究グループは今回、毎⽇の睡眠の質を計測する⾃記式質問票と回答結果の解析⼿法を開発し、「障害調整⽣存年(DALY)」での評価を可能にした。

 さらに、夏の名古屋市⺠の睡眠を調査・解析したところ、1⽇の最低気温が25℃を上回ると睡眠は悪化し、その被害は熱中症の死亡に匹敵することが分かった。

熱中症を防ぐために必要なこと

 「熱中症」は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態をさす。

 厚生労働省は、熱中症予防のための情報サイトを公開しており、熱中症を防ぐために、それぞれの場所に応じた対策をとることが重要としている。

暑さを避ける、身を守る
室内では
  • 扇風機やエアコンで温度を調節
  • 遮光カーテン、すだれ、打ち水を利用
  • 室温をこまめに確認
  • WBGT値も参考に
体の蓄熱を避けるために
  • 通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
  • 保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
屋外では
  • 日傘や帽子の着用
  • 日陰の利用、こまめな休憩
  • 天気のよい日は、日中の外出をできるだけ控える
こまめに水分を補給する
  • 室内でも、屋外でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分、スポーツドリンクなどを補給する

 WBGT(暑さ指数)は、熱中症を予防するための指標。湿度、日射・輻射、気温などをとりいれている。環境省は、全国の最新の暑さ指数(WBGT)を公開している。

東京⼤学⼤学院新領域創成科学研究科
Loss of disability-adjusted life years due to heat-related sleep disturbance in the Japanese (Sleep and Biological Rhythms 2022年9月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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