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2023年02月15日

「ヨガ」は糖尿病の人にも良い 気軽にできて心臓病や脳卒中のリスクが減少 ストレス解消にも

 ヨガを行うことで、心臓病や脳卒中などのリスクを減らし、心血管疾患の予防につながる効果を期待できるという研究が発表されている。

 ヨガに取り組むと、体重や血圧、コレステロール、血糖値などが改善することも示された。

 身体的エクササイズの要素も含まれており、運動効果に加えて、リラクゼーションとストレス解消の効果も得られるという

 ヨガは、基本ポーズをおぼえれば初心者でも無理なくできる。

 自宅や職場で気軽にはじめられ、コロナ禍でテレワークやリモートワークをしている人も取り組みやすい。

「ヨガ」は初心者でも気軽に取り組める

 古代インドから発祥したヨガは、現代では身体的エクササイズの要素も取り入れられ、世界的に愛好者が多い。基本ポーズをおぼえれば初心者でも無理なくでき、自宅で気軽に取り組めるのも魅力だ。

 ストレッチ運動の要素が多く、ゆったりした呼吸に合わせて行うヨガは、リラックスやストレス解消の効果も期待できるという研究は増えている。

 ヨガに取り組む人が増え、エクササイズとして広く受け入れられるようになるにつれ、ヨガに関する研究は増えている。

 いくつかの基本ポーズや身体活動を組合わせて行うヨガにより、運動効果だけでなく、リラクゼーションとストレス解消の効果も得られるという研究が発表されている。

糖尿病の人のためのヨガ
Yoga With Adriene
ヨガは変化を生み出し、ストレスをやわらげ、体の変化を促すと解説

「ヨガ」にウォーキングと同等の運動効果

 欧州心臓病学会(ESC)の発表によると、ヨガに取り組むことで、活発なウォーキングやサイクリングなど、多くの人が行っている運動と同等の効果を得られる可能性がある。

 ヨガを行うことで、心臓病や脳卒中などのリスクを減らし、心血管疾患の予防につながる効果を期待できることが、計2,768人を対象に実施された37件の無作為対照試験を系統的に検証した研究で明らかになっている。

 「ウォーキングなどの有酸素運動が健康増進に役立つことは、多くの研究で示されていますが、運動が得意でなかったり、好きではないという人や、心臓病のリスクがある人や高齢者など、体に負担のかかる運動を控える必要のある人もいます」と、ハーバード公衆衛生大学院健康政策学部のミリアム フニンク教授は言う。

 「ヨガは潜在的に非常に有用な身体活動であり、工夫して取り組めば安全に行え、運動量を増やすことも期待できます」としている。

 研究でヨガに取り組んだ人は、平均して体格指数(BMI)が0.77、体重は2.32kg、それぞれ減少した。収縮期(最高)血圧も5.21mmHg、拡張期(最低)血圧は4.98mmH、それぞれ低下した。悪玉のLDLコレステロールも12.14mg/dL低下し、善玉のHDLコレステロールは3.20mg/dL上昇した。空腹時血糖値も5.91mg/dL低下した。

 「ヨガは、低コストで、いつでもどこでも誰でも行え、特別な施設や機器の必要はなく、運動療法としても費用対効果の高い戦略となる可能性があります」と、研究者は指摘している。

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「ヨガ」で高血圧を改善

 肥満や高血圧のある人に、ヨガに3ヵ月取り組んでもらったところ、収縮期(最高)血圧と安静時心拍数が低下し、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが減少したという別の研究を、カナダのラヴァル大学が発表した。

 とくに、ウォーキングなどの運動を習慣として行い、それにヨガを追加すると、心血管の健康を改善するのにより効果的だという。

 「高血圧や糖尿病、肥満などがあり、心血管疾患のリスクが高く、運動をしたことのない患者さんが、新たに運動や身体活動を開始するときには、より安全に行うようにするため、注意が必要となることがあります」と、ラヴァル大学心肺研究所のポール ポワリエ氏は言う。

 「ヨガは、種類・強度・時間・頻度・構成要素などは、人によってさまざまですが、初心者向けに考案されたヨガもあり、比較的安全に、楽しく取り組める身体活動と言えます」としている。

 研究グループは、高血圧やメタボリックシンドロームと診断された60人の患者に、3ヵ月の運動トレーニングプログラムに参加してもらった。

 参加者を2つのグループに分け、ヨガに取り組むグループには、1日30分間の有酸素運動を週5回行ってもらい、さらにヨガを15分間行ってもらった。

 その結果、ヨガに取り組んだグループは、収縮期(最高)血圧の平均が、研究の開始時には130mmHgだったのが、ヨガを続けた結果、119mmHgに下がった。安静時心拍数も低下した。

 ストレッチのみをしたグループでも血圧は低下したが、その効果はヨガがより高かった。ヨガに取り組んだグループは、10年間の心血管疾患のリスクを予測するスコアも、より改善していたという。

「ヨガ」にはリラクゼーション効果もある

 ヨガに取り組むことで、リラクゼーションとストレス解消の効果も得られ、ウェルビーイングも向上するという研究も発表されている。

 米国心理学会(APA)によると、ヨガに数習慣取り組むことで、うつ病の症状が改善する。ヨガを、現代の標準的な医療を補うものとして利用することで、メンタルヘルスをより改善できる可能性があるという。

 「メンタルヘルスの治療を補完・代替するものとして、ヨガを取り入れることは有望と言えます。ヨガは人気が高いのですが、その効果を実証的に確かめた研究は遅れをとっています」と、米サンフランシスコで活動し、退役軍人医療センターの部長などを務めたこともある精神科医であるリンジー ホプキンス氏は言う。

 研究グループは、健康やフィットネスを目的とするエクササイズとして欧米で人気の高い「ハタヨガ」に着目。23人の男性高齢者に、週2回のヨガのクラスに8週間参加してもらったところ、うつ病の症状が大幅に改善した。

 ヨガの楽しさを評価したスコアでは、ヨガに参加した人では平均9.4点(10点が最高点)が得られ、「他の人にも勧めたい」といったコメントも多く聞かれたという。

「ヨガ」をメンタルヘルスケアに役立てる試み

 米マサチューセッツ総合病院精神科のマレン ナイア氏らも、29人の成人を対象に、週2回以上のヨガに8週間取り組んでもらう研究を行い、やはりうつ病の症状が大幅に改善することを確かめた。

 ヨガに参加した人では、生活の質や楽観主義、認知機能、身体機能も向上していたという。

 ナイア氏は、「うつ病臨床研究プログラム(DCRP)」のヨガ研究部門のディレクターを務めており、「うつ病の治療法としてのヨガを活用する研究は、まだ予備段階にあります」とコメントしている。

 「ヨガは万能薬ではないにしても、訓練を受け認可されたセラピストにより提供される標準的なヨガ教室は、効果的で補完的なアプローチになる可能性があります」としている。

Yoga has the same potential as exercise to reduce the risk factors of cardiovascular disease (欧州心臓病学会 2014年12月16日)
The effectiveness of yoga in modifying risk factors for cardiovascular disease and metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials (European Journal of Preventive Cardiology 2020年8月29日)
Adding yoga to regular exercise improves cardiovascular health and wellbeing (Elsevier 2022年12月8日)
Impact of Yoga on Global Cardiovascular Risk as an Add-On to a Regular Exercise Regimen in Patients With Hypertension (Canadian Journal of Cardiology 2022年12月7日)
Yoga Effective at Reducing Symptoms of Depression (米国心理学会 2017年8月3日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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