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2022年10月21日

食後のわずか2分の運動でも糖尿病リスクを減らせる 座ったままの時間が長いのは危険

 2型糖尿病のリスクのある人は、食後に軽く歩くだけでも、糖尿病リスクを減らすのに役立つという研究が発表された。食後に2~5分、軽いウォーキングをするだけで、座ったまま過ごすのに比べ、良好な血糖管理につながるという。

 食後の軽い歩行や立位は、血糖値の急上昇を抑えるのに役立つことが明らかになった。「座ったままの時間が長引いたときは、それを中断して、立ち上がってとにかく体を動かすことが大切です」と、研究者は述べている。

運動をすると血糖値や血圧値が下がる

 運動を習慣として行うと、血糖や血圧のマネジメントが改善し、糖尿病とともに生きる人にとって大きなメリットを得られる。運動を続けると、血糖を下げるインスリンが効きやすい体に変わっていく。

 米国糖尿病学会(ADA)は、糖尿病のある人に、良好な血糖管理のために、ウォーキングなどの活発な運動を週に計150分行うことを推奨している。

 1回50分の運動を週に3回でも、30分の運動を週に5回でも、25分の運動を週に6回でも良い。1日のなかで10分間の運動を3回行うのも良いという。

 運動や身体活動の強度としては、たとえばウォーキングを行うときは、会話はできるけれど、歌うことはできないくらいのペースを勧めている。自分のやりやすいやり方で運動に取り組むことを勧めている。

食後にわずか2分間歩くだけでも血糖管理は改善

 しかし、「毎日が忙しい」「体に負担がかかる」「運動が楽しくないので続かない」などの理由で、運動をする時間をとるのが難しいという人も多い。

 英国のケンブリッジ大学とロンドン大学の研究では、30分のウォーキングを週5回行っている人は、2型糖尿病の発症リスクが26%低下することが判明した。しかし調査では、運動をする習慣をもたない人も44%に上ることが明らかになっている。

 そうした運動が苦手という人でも、座ったまま過ごす時間が長引いたときは、ときどき立ち上がって体を動かすと、血糖値が低下するという研究が発表された。

 「座ったまま過ごす時間が長引いたときは、ときどき立ち上がって、とくに食後は、わずか2分間でも歩いてみるだけで、驚くほど体に良い効果を得られます」と、アイルランドのリムリック大学体育・スポーツ科学部のエイダン バフィー氏は言う。

関連情報

座位時間が長引いたら立ち上がって軽い運動を

 たとえば、机に座ったりソファに腰を下ろしたりなど、座ったまま過ごす時間が長引いたときには、それを中断して、とくに食後にわずか2~5分の軽い運動をするだけでも、血糖管理を改善する効果を得られるという。

 研究グループは、座位時間が長いことによる弊害と、立ち上がって短時間の軽い運動を頻繁にはさんだ場合の、健康におよぼす影響について調査した、2型糖尿病や糖尿病予備群を含む7件の研究をレビューした。

 過体重や肥満の参加者を対象とした研究では、食後に長時間座っていることを中断して、立ちあがり軽い運動をすると、食後血糖値が低下することが示された。

 「仕事や余暇のときに、座ったまま過ごす時間が長引いた場合、頻繁に立ち上がってそれを中断し、ほんの数分間歩くだけでも、血糖値は低下します。食後に歩くと、血行が良くなり、消化が促され、頭もすっきりするのでお勧めします」と、バフィー氏はアドバイスしている。

食後の10分間のウォーキングが血糖上昇を抑える

 これまで、食後血糖値を下げ、糖尿病合併症を防ぐために、最低でも15分間のウォーキングを続ける必要があると考えられていた。しかし、最近の研究では、細切れの時間に軽い運動をするだけでも、1日になるべくそれを頻繁に行うことで、健康効果を得られることが分かってきた。

 2型糖尿病の人は、食後に10分間のウォーキングをすることで、食後の血糖値の上昇を抑えられるという研究を、ニュージーランドのオタゴ大学も発表している。

 「ウォーキングは食後に行うと、もっとも血糖値を下げる効果を得られることが分かりました。2型糖尿病の人が血糖管理を改善するために、食後の血糖値の上昇を抑えることは重要です」と、同大学人間・栄養学部のアンドリュー レイノルズ氏は言う。

 「とくに食事に炭水化物が多く含まれるとき、食後のウォーキングにより効果的に血糖値の上昇を抑えられます。食事の後に、時間が少し空いていれば、軽く歩いてみるなどして体を動かすことは、身体活動による優れた休憩になります」としている。

夕食後のウォーキングはとくに効果がある

 研究グループは、2型糖尿病患者41人に参加してもらい、(1)1日の中で時間を決めず30分歩く、(2)朝・昼・晩の食事の後にそれぞれ10分間歩く――の両方に2週間取り組んでもらった。

 参加者に、活動量計と5分毎に血糖測定する持続血糖測定器を7日間装着してもらった。研究は、1ヵ月間のインターバルをおいてどちらかの方法でウォーキングを行う、クロスオーバー比較試験として行われた。

 その結果、1日のうち時間を決めずウォーキングを行った場合に比べ、食後にウォーキングをすると、食後血糖値は平均して12%より低下することが明らかになった。

 参加者の多くは日中は座ったまま過ごす時間が長く、夕食で炭水化物をもっとも多く摂っていた。ウォーキングの効果は夕食後がもっとも大きく、血糖値は22%改善した。

数分から10分間のウォーキングならすぐに実行できる

 「運動を続けるのが難しいという人は、数分から10分間のウォーキングであっても効果はあるので、とにかく運動を始めることをお勧めします。そして運動をする時間は食後30分~1時間後が効果的です」と、レイノルズ氏は指摘する。

 「何もしないというのが、もっともリスクが高いので、とにかく体を動かすことを習慣化するべきです」としている。

 なお、運動に計画的に取り組むときは、かかりつけの医師などの医療従事者に、運動を安全に行えるか、どのように運動を行えば良いかを相談することを勧めている。

Weekly Exercise Targets The magic number: 150 (米国糖尿病学会)
The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis (Sports Medicine 2022年2月11日)
Short walks after meals may prove important tool in managing diabetes (オタゴ大学 2016年10月18日)
Advice to walk after meals is more effective for lowering postprandial glycaemia in type 2 diabetes mellitus than advice that does not specify timing: a randomised crossover study (Diabetologia 2016年10月17日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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