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2022年07月25日
運動をしている人は腎臓病になりにくい 糖尿病と高血圧は腎臓病のリスクを高める
運動を習慣として続けている人は、慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが大幅に低いことが、英国のブリストル大学が2,000人超を20年間にわたり追跡した調査で明らかになった。
CKDの適切な予防・治療を行わないでいると、生活の質の低下と死亡リスクの上昇、さらには医療費の増加につながる。「腎臓病の発症に、糖尿病と高血圧が大きく関わっています。これらの病気の治療をしっかり行うことも重要です」と、研究者は述べている。
ウォーキングなどの運動で腎臓病を予防・改善
「腎臓病を予防・改善するために、ウォーキングなどの運動を行うことはとても有益であることが、あらためて示されました」と、ブリストル大学医学部エビデンス統合部のセトル クヌートル氏は言う。 「運動のもたらすベネフィットについて、多くの研究が発表されており、運動の習慣化が奨励されているにもかかわらず、運動不足の人はいまだに世界的に多いのが現状です」。 「年齢、性別、慢性疾患、社会経済的な背景に関係なく、すべての集団で運動や身体活動への参加を促すために、さらに多くの政策を行う必要があります」としている。運動を習慣として続けると腎臓病リスクは大幅に減少
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが低下した状態や、尿のなかにタンパクが漏れでる状態(タンパク尿)の総称。日本でも成人の8人に1人がかかっているとされている。 CKDの発症に、糖尿病と高血圧が大きく影響し、肥満やメタボリックシンドローム、脂質異常症などもリスクを高める。 腎臓の機能が落ちてくると、早期の段階では無症状だが、進行すると体の余分な水分や老廃物を尿として体の外に排泄する機能が弱まり、むくみ(浮腫)、倦怠感・頭痛、貧血、息切れ、夜間尿など、さまざまな症状が引き起こされる。 同大学の新しい研究では、運動を習慣として行っている人は、体力も向上し、腎臓病のリスクを大幅に減らすことができることが明らかになった。 ただし、運動をしていない人や、心肺フィットネスが低く体力が低下している人、社会経済的な困難を抱えている人では、腎臓病のリスクは上昇した。体力が低下して、社会経済的背景も低い人は、腎臓病のリスクは2倍近くまで上昇した。体力がなく社会経済的地位が低いとCKDは1.88倍に増加
糖尿病や高血圧のある人は腎臓病予防の観点からも運動が必要
「CKDを予防するための運動ガイドラインは、現在のところ策定されていませんが、糖尿病や高血圧のある人でCKDのリスクが高いことは明らかです。そうした人に運動を奨励する指導が必要です」と、クヌートル氏は指摘する。 ウォーキングなどの有酸素運動の目安は、1日30分~60分、「楽である」から「ややきつい」と感じられる強度の運動を、週に3日~5日行うことを目標とする。1回10分の運動を、1日3回以上に分けて行っても良い。さらに、スクワットなどの筋力トレーニングを行う場合は、週2日~3日を目安にすると良いという。運動や身体活動にアクセスしやすい環境づくりも
さらに、社会経済的な困難を抱えている人でも、運動をよく行っている人では、CKDのリスクは低く抑えられていたことから、運動をする習慣は、多くの健康上のベネフィットをもたらすことが示された。 「社会経済的な背景が低い人々は、運動や身体活動にアクセスするのが難しい可能性があります。そうした人でも、より少ない費用で運動に参加できるようにするため、社会整備が必要です。政策立案者は、運動への参加に不平等が起こらないよう、新たに資源を投入する緊急の必要があります」。 「研究結果は、CKDの原因と結果については証明しておらず、運動習慣とCKDの発症のあいだの因果関係を解明するためには、さらなる研究が必要です。また、CKDを予防するための運動・身体活動の量や強度を明らかにする研究も必要です」と付け加えている。 People from low socioeconomic backgrounds could reduce chronic kidney disease risk with regular exercise, study suggests (ブリストル大学 2022年7月12日)High fitness levels offset the increased risk of chronic kidney disease due to low socioeconomic status: a prospective study (American Journal of Medicine 2022年7月8日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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