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2022年06月17日

魚が高血圧リスクを減少 EPA・DHAの効果 「魚を1日100g以上食べる」のが目安

 魚100g以上に相当するn-3(オメガ3)系脂肪酸を毎日摂取すると、高血圧のリスクが減少する可能性があるという研究を、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 魚には、EPA・DHAという、健康に良いとされる「n-3系脂肪酸」が豊富に含まれる。

 血圧を下げるために必要なn-3系脂肪酸の量は、1日に約3g以上だという。これは、サーモンであると110g~140gに相当する。

n-3系脂肪酸が高血圧リスクを低下

 n-3(オメガ3)系脂肪酸を、食品やサプリメントで摂取すると、高血圧のリスクが低下する可能性があるという研究を、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 n-3系脂肪酸は、二重結合をもつ脂肪酸で、血液の流れをスムーズにし、血栓ができるのを防ぎ、心血管疾患や脳卒中などのリスクを下げるのに役立つと考えられている。

 日本人を対象とした調査でも、魚などからn-3系脂肪酸を多く摂取している人は、虚血性心疾患のリスクが低下することが明らかになっている。

 n-3系脂肪酸には、EPA・DHA・α-リノレン酸などがある。EPA・DHAは、サバやイワシなどの青魚に多く含まれ、α-リノレン酸は、植物油の大豆油やアマニ油などに多く含まれている。n-3系脂肪酸は、クルミなどのナッツ類にも含まれる。

1日魚100g以上を目安に食べると効果を期待できる

 「平均的な成人は、魚などに含まれるn-3系脂肪酸を、1日3g以上摂取すると、血圧を低下する効果を得られる可能性があることが示されました。これは、サーモンであると110gから140gに相当します」と、中国のマカオ科学技術大学のシンジ リー氏は言う。

 「ただし、n-3系脂肪酸の効果を高めるために、どれだけの量を摂取すればよいかについては、個人差もあり正確には分かっていません。また、食品だけでなく、サプリメントでも効果を得られるかを確かめるために、より多くの研究が必要となります」としている。

 代表的なn-3系脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、サケ・マグロ・イワシ・マス・ニシン・カキなどの脂肪の多い魚などに含まれている。

 魚を食べる頻度が高くない人の多くは、サプリメントでDHAとEPAを組み合わせて摂取している。魚油のサプリメントには平均的に、1錠あたり約300mgのn-3系脂肪酸が含まれているが、製品によって用量は大きく異なる。

 米国国立衛生研究所は、健康のために年齢と性別に応じて、成人は1日に1.1~1.6gのn-3系脂肪酸を摂取することを推奨している。

 アメリカ心臓学会(AHA)も、調理済みの魚を週に2サービング(85g~113g)、とくにサーモンなどの脂肪の多い魚を食べることを推奨している。

関連情報

n-3系脂肪酸を毎日3g以上摂取すると最高血圧は4.5mmHg低下

 研究グループは、1987年~2020年に世界中で発表された、22歳~86歳の計5,000人近くを対象に、血圧とn-3系脂肪酸(DHAとEPAを個別に、あるいは組み合わせて)摂取させ、血圧への影響を調べた、71件の臨床試験の論文を分析した。参加者は平均10週間、食事および/またはサプリメントにより、n-3系脂肪酸を摂取した。

 その結果、次のことが明らかになった。

  • EPAとDHAを1日2~3g摂取した人は、摂取しなかった人に比べて、収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧が平均して2mmHg低下した。
  • n-3系脂肪酸を毎日3g以上摂取すると、血圧や血中脂質の高い人は、さらに血圧を下げる効果を得られる可能性がある。
  • n-3系脂肪酸を毎日3g以上摂取すると、高血圧のある人では最高血圧は平均して4.5mmHg低下し、高血圧のない人でも平均して約2mmHg低下した。
  • 同様の変化は、血中脂質が高い人と45歳以上の人で多くみられた。

サプリメントや健康食品の効果は十分に確かめられていない

 「多くの研究は、食品から摂取するEPAやDHAについてではなく、魚油のサプリメントについても報告しています。サケやマグロなどの魚油が多く含まれる魚を定期的に食べることができない人は、代替手段としてサプリメントを利用できる可能性があります」と、リー氏は言う。

 ただし、たとえば米国食品医薬品局(FDA)は2019年に、EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸が含まれる食品・栄養補助食品に対し、"高血圧や冠状動脈性心疾患のリスクを減少する可能性がある"という、特定の健康強調表示をすることを許可すると発表したものの、「エビデンスは決定的なものではなく、まだ一貫性のある結果は得られていない」と注意を促している。

 「今回の研究でも、EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸が、高血圧と診断された人々で、血圧を下げることで、心臓病のリスクを減らす可能性が示されました」と、リー氏は言う。

 「しかし今回の研究は、信頼できるエビデンスを追加するのに役立つものですが、FDAの規制と同じで、サプリメントや健康食品のn-3系脂肪酸についての健康強調表示を支持する根拠となるものではありません。魚などは良質なタンパク質の供給源でもあります」。

 対象とした研究は、血圧の測定方法の違いや、n-3系脂肪酸を食事またはサプリメントから摂取したかで違いがあった。「今後もより多くの研究が必要となりますが、n-3系脂肪酸をより多く摂取することが、心血管疾患を発症するリスクの高い人にとって有益である可能性は高いと言えます」と結論している。

About 3 grams a day of omega-3 fatty acids may lower blood pressure, more research needed (米国心臓学会 2022年6月1日)
Omega‐3 Polyunsaturated Fatty Acids Intake and Blood Pressure: A Dose‐Response Meta‐Analysis of Randomized Controlled Trials (Journal of the American Heart Association 2022年6月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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