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2022年06月02日
野菜や果物の「抗酸化物質」に認知症予防の効果 糖尿病の人の認知症を予防
抗酸化物質は、緑色の葉野菜や緑黄色野菜、色鮮やかな果物などに豊富に含まれている。
血中の抗酸化物質のレベルが高い人は、認知症を発症する可能性が低いことを、米国神経学会(AAN)が発表した。
野菜や果物に含まれる抗酸化物質であるルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチンの血中レベルの高いことは、認知症の発症が数十年遅くなることと関連しているという。
抗酸化物質は体に良いことが知られているが、脳の健康にも良い影響をもたらす可能性が示された。
体内で増えた活性酸素を除去して糖尿病を改善
ヒトの体は、酸素を利用してエネルギーを作りだしているが、酸素を利用すると活性酸素も同時に生じる。この活性酸素は細胞を傷つけ、動脈硬化の原因になり、糖尿病や脂質異常症なども悪化させる。 活性酸素を取り除く抗酸化の働きは、加齢にともない低下していく。そのため処理しきれなかった活性酸素は体内にたまり、より毒性の強いものへと変わっていく。 体内で増えた活性酸素を除去していくことが、老化や、がん、2型糖尿病などの予防・改善につながると考えられている。そこで注目されているのが、 抗酸化物質だ。 抗酸化物質とは、活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑える物質のこと。代表的な抗酸化物質として、ポリフェノール、カロテノイド、ビタミンA、C、Eなどがある。 関連情報抗酸化物質が酸化ストレスから脳を守っている?
「加齢にともなう認知症や認知機能の低下を抑えることは、健康上の大きな課題になっています」と、国立老化研究所(NIA)で健康格差について研究しているメイ ベイドゥン氏は言う。 「認知機能の低下には、思考力の遅延、注意力の不足、記憶力の低下、複数のことを同時に処理する能力の低下、言葉を思い出せない、名前を覚えることが難しいといった症状があります」。 「抗酸化物質は、細胞損傷を引き起こすおそれのある酸化ストレスから、脳を保護するのに役立っている可能性があります」としている。 研究グループは、45~90歳の男女7,283人を対象に、身体検査と面接、抗酸化物質の血中濃度を測定する血液検査のデータなどを分析した。追跡期間は平均16~17年間で、最長26年間。 抗酸化物質については、ビタミンA、C、Eと、カルテノイド類の血中濃度を調べ、認知機能の低下や認知症との関連を調べた。緑黄色野菜・葉野菜・果物の抗酸化物質が認知症リスクを低下
抗酸化物質の予防効果を確かめる長期の研究が必要
2型糖尿病の人は、血糖コントロールが良好でないなどの危険因子があると、認知症を発症するリスクが高く、認知機能の障害や、記憶力の低下などのリスクも高いことが知られている。危険因子を改善できれば、認知症などの発症リスクを抑えられると考えられている。 野菜や果物など、抗酸化物質が豊富に含まれる食品を十分に摂ると、2型糖尿病のリスクが低下するという研究も報告されている。 「濃い緑色の葉野菜や緑黄色野菜、オレンジ色の果物など、色鮮やかな食品を豊富に取り入れた食事スタイルは、認知機能の低下や認知症の発症リスクを低下させる可能性があることが示されました」と、この研究を支援したNIAのルイージ フェルッチ氏は述べている。 なお、ベイドゥン氏は、「今回の研究は、血中の抗酸化物質レベルの測定回数が少なく、生涯にわたり調査したものではありません。抗酸化物質を摂取することで、認知症から脳を保護できるかどうかを確かめるために、さらなる研究が必要です」と、付け加えている。 「抗酸化物質と脳の健康の関連について知るためには、抗酸化物質の摂取量を正確に管理し、長期のランダム化比較試験を実施する必要があります」としている。 Higher antioxidant levels linked to lower dementia risk (米国神経学会 2022年5月4日)Association of Serum Antioxidant Vitamins and Carotenoids With Incident Alzheimer Disease and All-Cause Dementia Among US Adults (Neurology 2022年5月4日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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