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2021年12月03日

糖尿病網膜症に対策 糖尿病の人が視力を維持するために 1年に1回は眼科を受診

 糖尿病の三大合併症のひとつである「糖尿病網膜症」は中途失明の原因の第2位だ。糖尿病の人は、眼科を定期的に受診して、検査を受けることが大切になる。

 網膜症を発症しても、適切な治療に取り組んでいれば、一生を通じて良好な視力を維持していくことは可能だ。

 「糖尿病とともに生きる人が良好な視力を守るために、できることは多い」と、注意が呼びかけられている。

糖尿病網膜症は中途失明原因の第2位

 糖尿病網膜症は、血糖値が高い状態が続くことで、目の奥にある光を感じる神経の膜である網膜の血管が傷つき、視力の低下や喪失などがあらわれる病気。糖尿病の三大合併症のひとつで、日本でも中途失明原因の第2位になっている。

 網膜症を悪くしないために、ふだんの血糖コントロールが重要となる。指標となるHbA1cを7.0%未満に維持することを目標に、高血圧や脂質異常症の治療、禁煙なども行う必要がある。

 また、網膜症になってしまっても、早い段階で発見し、網膜の血管が詰まった部分にレーザー光線を当てる「網膜光凝固術」などの適切な治療を受ければ、大きな出血を予防できる。

 糖尿病とともに生きる人は、目の見え方などが正常と思っていても、少なくとも1年に1回は眼科を受診するようにしたい。網膜症を発症しても、適切な治療に取り組んでいれば、一生を通じて良好な視力を維持していくことは可能だ。

 日本では、日本糖尿病眼学会が内科医と眼科医の連携を促進するために作成したツールである「糖尿病眼手帳」が利用されている。日本糖尿病協会が監修している「糖尿病連携手帳」にも、糖尿病網膜症の記入をする欄がある。どちらも糖尿病網膜症の状態を共有するために活用できるものだ。

 自分の目の状態が気になる人は、まずは主治医に相談するのが良い。

糖尿病とともに生きるすべての人が視力を維持するために

 米国網膜専門医協会(ASRS)によると、糖尿病網膜症は800万人の米国人に影響を及ぼしており、その数は2050年までに2倍に増えると予想している。

 米国では、糖尿病を発症してから年月を過ぎると、糖尿病ともに生きる人の半数以上が糖尿病網膜症を経験するという。

 視力低下などの自覚症状は、網膜症が重症になるまで出てこない場合が多い。同協会の調査では、40歳以上の米国人の多くは、糖尿病網膜症の症状や、視力を脅かす危険性について、十分な知識をもっていないことが示された。

 「物がかすんで見えたり、歪んで見える」「視野に点やゴミのような影が見える」「視野に見えないところがある」「小さな虫が飛んでいるように見える(飛蚊症)」といった、糖尿病網膜症の症状について知っている人は半数以下だった。

 そこで同協会は、11月に「糖尿病性眼疾患啓発月間(Diabetic Eye Disease Awareness Month)」を実施している。「糖尿病網膜症は失明の原因になりますが、予防が可能です。そのために、目の検査を定期的に受け、早期に発見し治療を行うことが重要です」と呼びかけている。

 「糖尿病網膜症の治療は進歩しており、糖尿病患者さんが壊滅的な状態になるケースは減ってきました。しかし、糖尿病とともに生きるすべての人が視力を維持するためには、必要な情報を身に付けることが必要です」と、同協会理事長のフィリップ フェローネ氏は言う。

 糖尿病には1型、2型などのタイプがあるが、どのタイプの糖尿病であっても糖尿病網膜症を発症するリスクはある。また、糖尿病の罹病期間が長ければ長いほどリスクは高くなる。さらには、血糖コントロールが良くない期間が長いほどリスクは上昇する。リスクを高めるそのほかの要因として、高血圧、腎臓病、脂質異常症などが挙げられる。

血糖コントロールと、目の検査を定期的に受けることが大切

 糖尿病網膜症の治療としては、網膜症光凝固(レーザー治療)がある。網膜出血は、網膜に脆弱な新生血管ができることで起こるので、これができるのを予防したり、すでにできた新生血管を固めたりするのがレーザー治療だ。

 それ以外にも、硝子体内(眼球の内部の大半を占めるゼリー状の組織)に薬剤を注入する治療や、硝子体手術など、治療は進歩している。

 「適切な目の治療を受けられるようにするために、検査を定期的に受けることが重要です。眼科医よる散瞳検査(瞳孔を薬で大きく開いて眼底の隅々までチェックする検査)などを定期的に受けることが必要です」と、フェローネ氏は語っている。

 「糖尿病網膜症の発症または重症化を抑えるために、健康的な生活スタイルを続けることも大切です。糖尿病患者さんが良好な視力を守るために、できることは多いのです」としている。

 健康的な生活スタイルとして、▼血糖値・血圧・コレステロールのコントロール、▼健康的な体重を維持する、▼医師より処方された糖尿病の治療薬をきちんと服用する、▼定期的に目の検査を受ける、▼タバコを吸っている人は禁煙する、▼運動を習慣として行い、体を活発に動かすことなどを勧めている。

 「血糖コントロールを良好に維持するのに、困難がともなうこともあります。しかし、コントロールを続けることが、自分の視力を守るためのカギになります。もしも症状があらわれた場合は、主治医と眼科医にすぐに相談し、糖尿病による悪影響を最小限に抑え、網膜の損傷をもとに戻すための専門的なケアを受けてください」と、フェローネ氏は強調している。

Diabetic Eye Disease: Awareness of Risks, Symptoms Can Save Your Sight(米国網膜専門医協会 2021年11月1日)
Americans in the Dark on Diabetic Retinopathy Symptoms, Risks, Survey Finds(米国網膜専門医協会 2020年10月29日)

Eye Health - Focus on Diabetes(米国糖尿病学会)

公益社団法人 日本糖尿病協会
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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