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2019年10月01日
肥満解消のためにメンタル面でのサポートも必要 肥満を解消するための8つの方法

「肥満を解消できないのは、決して患者の努力や能力が不足しているからではない」――肥満にストレスや不安などのメンタル面の因子が影響していることが、研究で明らかになった。
「肥満の心理的側面についても理解し、より良いサポート方法を開発する必要があります」と、研究者は指摘している。
「肥満の心理的側面についても理解し、より良いサポート方法を開発する必要があります」と、研究者は指摘している。
肥満によるイメージ低下の問題も大きい
世界保健機関(WHO)によると、世界の3億人以上の成人は体格指数(BMI)が30以上の肥満で、10億人以上はBMIが25以上の過体重だ。北米、英国、東欧州、中東、太平洋諸島、オーストラリア、中国などで、肥満率は1980年から3倍以上に上昇している。
肥満とメンタルヘルスは相互に影響しあうことが多くの研究で示されている。肥満のために自己イメージが低下したり、社会的イメージが低下すると感じる人は多く、それが不健康な食事や運動不足をさらに助長するおそれがある。
「肥満を解消できないのは、決して患者の努力や能力が不足しているからではありません。肥満にはさまざまな複雑な原因がからんでいるのです。肥満治療に携わる医療者は、肥満の心理的側面についても理解する必要があります」と、英国のベッドフォードシャー大学の臨床心理士であるエンジェル チャター氏は言う。
たとえば、幼年期や人生の重大な局面で、手に負えない課題やトラウマを抱えて苦しんだ経験のある人は、肥満に対するインセンティブをつくりにくくなる傾向があるという。また、貧困な生活をおくる人々は、健康的な食品を手ごろな価格で入手しにくく、食事の選択肢が少なくなるおそれがあり、肥満の影響を受けやすい。
肥満は糖尿病を悪化させる大きな原因でもある。肥満になると動脈硬化が進みやすくなり、糖尿病の合併症である狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなる。
肥満者に対するメンタル面でのサポートも必要
「肥満対策のために、患者個人の問題だけでなく、生物学的、心理的、社会的な原因も理解する必要があります。そうすることで、行動変化に向けたアプローチが可能になり、体重コントロールを成功させることができるようになります」と、スウェーデンのヨーテボリ大学病院のマリアンヌ サリバン氏は言う。
サリバン氏らの研究によると、肥満の人では、そうでない人に比べ、うつ病の発症率が3~4倍に上昇する。研究者は、肥満の人に対するメンタル面でのサポートの必要性を指摘している。
「私たちがどのように考え、感じているかが、行動に大きく影響します。たとえば、悲しみ、不安、ストレス感情があると、多くの人は食事で通常よりも多く食べるようになります。これらの感情に対処する介入をしないと、肥満を長期的に改善するのは難しくなります」と、サリバン氏は言う。
ストレスが食事や運動などの生活スタイルに大きく影響する。たとえば、家族や親しい友人の喪失、人間関係でのトラブル、失業、病気など医療上の問題に直面するなど、感情的に消耗するような出来事があると、多くの人はそこから回復するのが難しくなり、気が付かないうちに食べ過ぎたり、運動不足に陥りやすくなる。これらの習慣が定着すると、変更するのが難しくなる。
肥満を解消するための8つの方法

● 食事の記録をとる |
● 食べることに集中する |
● 食事の一食分の量を減らす |
● ストレスの原因を解消する |
● 家族や仲間のサポートを得る |
● 女性の「悪い日」をみつける |
● 生活を少しずつ変えていく |
肥満を引き起こしている感情的な要因を安定させるために、生活のできることから部分的に改善していった方が上手くいきやすい。
● 専門家の治療を受ける |
Swedish obese subjects (SOS) - an intervention study of obesity. Two-year follow-up of health-related quality of life (HRQL) and eating behavior after gastric surgery for severe obesity(International Journal Of Obesity 1998年1月27日)
Help us show how psychology can prevent poor health(英国心理学会 2019年9月16日)
Psychological perspectives on obesity: Addressing policy, practice and research priorities(英国心理学会)
[ Terahata ]
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