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2019年09月30日

HbA1cの変動を抑えると糖尿病合併症のリスクが低下 血糖コントロールの安定は重要

 血糖コントロールの変動を抑えることで、合併症と死亡リスクを大幅に減らせることが、英国の研究で明らかになった。一方で、HbA1cの変動幅があると、死亡リスクは2倍以上に上昇する。良好で安定した血糖コントロールを維持することの重要さが、あらためて示された。
HbA1cは血糖コントロールの指標
 研究は、英国のダンディー大学のユアン ピアソン教授と、シェユ リー氏らによるもので、詳細はスペインのバルセロナで開催された欧州糖尿病学会(EASD)の年次学術集会で発表された。

 HbA1cは過去1~2ヵ月の血糖値の平均を反映する。糖尿病の診断は、血液の検査でわかる血糖値とHbA1c値が基準より高いかどうかをみて行われる。

 HbA1cは血糖コントロールの指標にもなる。医療機関でHbA1cを測定することは、血糖コントロールの良悪を判定するための標準的な方法だ。糖尿病合併症の予防のための目標はHbA1c 7.0%未満。

 ただし、HbA1cの測定ごとに変動がある患者もいれば、来院ごとに安定したHbA1cを示す患者もいる。しかし、HbA1cの変動が、患者の予後の変化にどう関連するかは不明だった。

 そこで研究チームは、新たに2型糖尿病と診断された患者のHbA1c変動と心血管イベントおよび微小血管合併症との関連を調べた。
HbA1cの変動が高いと合併症のリスクが上昇
 研究チームは、スコットランドの患者調査データベースである「スコットランド ケア インフォメーション(SCI)」に登録された、新規に糖尿病と診断された患者を追跡して調査した。対象となったタイサイド地方とファイフ地方の糖尿病患者数は4万4,000人に上る

 糖尿病の診断から5回以上のHbA1c測定を行い、HbA1c値の変動が0.5%以上の場合を変化数とする「HbA1c変動スコア(HVS)」を作成。

 糖尿病合併症について、主要な心血管イベント(MACE:全死因死亡、心血管死、冠動脈疾患(CAD)、虚血性脳卒中、心不全)に、糖尿病網膜症(DR)、糖尿病神経障害(DPN)、糖尿病足潰瘍(DFU)、慢性腎臓病(CKD)の発症を調べ、HVSとの関連を評価した。

 その結果、糖尿病合併症の発症リスクは、HbA1cの変動が低い(0〜20%)グループでもっとも低く、変動が60%を超えるグループで上昇することが分かった。これは、HbA1cの測定ごとに変動幅が0.5%を超えると、合併症のリスクが上昇することを示している。

 HbA1cの変動が低い(0~20%)グループに比べ、もっとも高い(80~100%)グループでは、MACE、全死因死亡、心血管死亡の3つのリスクが2.4倍に上昇することも分かった。さらに、冠動脈疾患のリスクは2.6倍に、脳卒中のリスクは2倍に、心不全、DPN、CKDのリスクは3倍に、DFUのリスクが5倍に、DRのリスクが7倍にそれぞれ上昇した。
良好で安定した血糖コントロールが重要
 「検査ごとにHbA1cの変動幅が高いと、糖尿病による全死因死亡、心血管イベント、微小血管合併症のリスクが上昇することが分かりました。良好で安定した血糖コントロールを維持する重要さがあらためて示されました」と、リー氏は言う。

 なお、HbA1cの変動の原因として、食事や運動などの生活スタイルの変更、糖尿病治療薬の変更、糖尿病治療の中断、治療の全般的な質など、さまざまなことが考えられるという。

 「一般的に、HbA1c値が高い患者さんでは、HbA1cの変動幅も高い傾向がみられます。合併症を抑制するために、高血糖を改善し、HbA1cの目標値を達成することが重要です。HbA1cの変動を抑えること自体が、直接に合併症のリスク軽減につながるかはまだ確信をもてませんが、HbA1cが変動があると合併症の発症が増えることは、臨床の経験からも指摘されています」と、リー氏は付け加えている。

Patients with high blood sugar variability much more likely to die than those with stable visit-to-visit readings(Diabetologia 2019年9月18日)
[ Terahata ]

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