ニュース
2015年08月05日
男性が父親になると肥満になりやすい 子育てとの両立が課題
- キーワード
- 糖尿病予備群
子供ができた若い父親は肥満になりやすいことが、米国のノースウェスタン大学の研究で明らかになった。「男性にとって家庭をもつ時期は、健康上の問題をかかえやすい時期である。適切なヘルスケアを提供できる体制が望まれる」と研究者は指摘している。
男性は家庭をもち子供ができると体重が増えやすい
男性は家庭をもち子供ができると、体重が増え、BMI(体格数)が上昇しやすいことが、米国の1万人以上を対象とした大規模調査で明らかになった。
「もしもあなたが若い父親であれば、子供たちが残したピザを食べて片付けるべきではない。父親になることは、体重とBMIの増加という代価をもたらすおそれがあることを知っておくべきだ」と、研究者は指摘している。
研究チームは、年齢が25~34歳の父親である男性3,425人と父親でない(子供がいない)男性6,828人を対象に調査した。
1994年に開始された「全米若年者健康調査」は、米国の若者を12歳から30歳超まで追跡して、健康状態の変化などを調べている大規模研究で、20年間続けられ1万253人が参加している。
今回の研究は、父親になることと体重やBMIといったバイオマーカーの変化の間に関連があることを明らかにしたはじめての研究だ。
子供の誕生により父親のBMIは2.6%増加
「過去の調査では、結婚によって男性の体重が増えることが示されています。結婚して父親になることは、男性の健康に大きな影響をもたらすことは明らかです」と、ノースウエスタン大学フェインバーグ医学部のクレイグ ガーフィールド氏は言う。
男性が体重を増やし、BMIが上昇することは、2型糖尿病、がん、心臓病などの発症リスクが高まることを意味する。
調査の結果、子供が生まれた後に子供と一緒に住んでいる男性ではBMIが平均で2.6%増加していた。これは、身長が180cmの男性では2kg程度の体重増加に相当する。
一方で、子供がいない男性では、体重減少幅は身長が180cmの男性で600g超に相当する程度だった。
なお、子供が生まれた後に子供と一緒に住んでいない男性でも、BMIは平均で2%増加していた。
子供ができると父親の生活スタイルは大きく変化する
子育てで忙しい男性は医療機関の受診頻度が低い
自分の健康管理が不十分な男性でも、子供の医療のために小児科医とは近しい関わりをもつことが多い。子供に保険診療を受けさせるために、子供に付き添って小児科医を訪れる頻度が高くなる。
「このことには、子供と父親の健康を管理する上で重要な意味があります。小児科で家族ぐるみで栄養カウンセリングやメンタルヘルス教育を提供できれば、父親の健康状態を改善できる可能性があります」と、ガーフィールド氏は指摘する。
父親になることは、男性の人生の発達段階において重要な意味がある。男性にとって多くのことが変化する神秘的な瞬間となるが、健康上の問題をかかえやすい時期でもあることを社会に認知させる必要もあるという。
「子育てで忙しい世代の男性は一般的に医療機関を受診する頻度が低いので、どうすれば適切なヘルスケアを提供できるかを考えることが課題となっています」と、ガーフィールド氏は述べている。
Fatherhood Makes Men Fat(ノースウェスタン大学 2015年7月21日)Longitudinal Study of Body Mass Index in Young Males and the Transition to Fatherhood(American Journal of Men's Health 2015年7月21日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病予備群の関連記事
- 日本人がどれだけ運動・身体活動をしているかを調査 若年・中年・女性は運動不足が多い
- 子供の頃から肥満対策が必要 学校で座りっぱなしの時間が減ると子供の肥満は改善 糖尿病を予防
- 「低カロリー甘味料」が過体重や肥満の人の体重管理を改善 糖尿病リスクも高めない 欧州肥満学会議が発表
- 「ヨーグルト」が糖尿病リスクを減らす ジャンクフードから置き換えると糖尿病リスクは低下
- 子供の肥満は成長してから糖尿病などのリスクに スマホのスクリーンタイムが長い子供は高リスク
- 若いときの強いストレスは年齢を重ねてから糖尿病や肥満のリスクを高める 軽い運動をするとリスクは減少
- 糖尿病の人に「糖質制限ダイエット」は良い? 植物性食品を取り入れると成功しやすいことが判明
- 中年期に肥満・メタボがあると認知症リスクが上昇 "隠れメタボ"の人も糖尿病リスクが高い 体重の3%減少を目標に
- 【世界糖尿病デー】2型糖尿病リスクは35歳から急激に上昇 運動は「万病の薬」 歩くことからはじめてみよう
- 糖質量からお店や商品が探せるアプリ「ドコカボ」〜開発者の赤坂さん夫妻に聞く[PR]