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2015年06月04日

夜勤シフトは睡眠障害リスクを高める 糖尿病リスクも上昇

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糖尿病予備群
 夜間に働く労働者は、睡眠障害に陥る可能性が高く、その結果、肥満や2型糖尿病などの健康問題を抱えやすい傾向があるという研究が発表された。
夜勤シフトに従事している人は睡眠の問題を抱えやすい
 「現代社会では、夜間シフト、フレックス、ローテーションなどで働く労働者は多い。夜間に働く労働者は、特に睡眠に問題を抱えやすいので、適切なケアが必要だ」と、ウィスコンシン大学のマージョリー ギブンス氏は言う。

 ウィスコンシン大学の研究チームは、「ウィスコンシン健康調査」に2008〜2012年に参加した1,593人のデータを解析した。生活スタイルと肥満、糖尿病の発症などの関連を調べた。医師の診断を受けたり、HbA1cが6.5%以上であると糖尿病と判定した。

 その結果、過体重と判定された割合は、日中に働いている人が34.7%だったのに対し、夜勤シフトに従事している人は47.9%だった。

 また、睡眠障害に関しても、不眠症(16.3%対23.6%)、不十分な睡眠(42.9%対53.0%)、勤務時間中の眠気(24.4%対31.8%)など、夜勤シフトに従事している人の方が睡眠の問題を抱えやすいことが示された。

夜間シフトの多い看護師でも糖尿病の発症率が上昇
 ハーバード公衆衛生大学院が、夜間シフトの多い看護師を対象とした調査でも、同様の結果が示されている。

 研究チームは、42-67歳の6万9,000人以上を対象とした「NHS(看護師健康調査)I」と、25-42歳の約10万8,000人を対象とした「NHS II」のデータを解析した。

 その結果、夜間シフトのローテーション勤務が1〜2年間就いた看護師では、日中勤務のみの看護師に比べ、2型糖尿病発症リスクが上昇していることが判明した。

 糖尿病の発症リスクはローテーション勤務期間に比例して上昇し、ローテーション勤務が3〜9年の女性では20%、10〜19年の女性では40%、20年以上の女性では58%、それぞれリスクが上昇していた。

体内時計リズムの乱れが糖尿病や肥満のリスクを増加
 研究者は、夜間に働く労働者が睡眠障害に陥りやすい背景として、体内時計リズムの乱れを挙げている。

 「体内時計のリズム」とは「概日リズム(サーカディアン・リズム)」のことで、この体内時計が乱れると睡眠障害が起こりやすくなる。一般的には、朝寝坊や夜ふかしを繰り返したり、夜勤の仕事に就いている人などで、体内時計が後ろにずれることで起こる。

 体内時計が乱れると、朝になっても体内時計が目覚める状態でないため、朝起きられなかったり、睡眠不足のために脳や体の睡眠への欲求が強くなり、日中に強い眠気に襲われるようになる。

 睡眠障害により、代謝にも変化が生じ、肥満や糖尿病を発症しやすくなるという。

 「夜間の勤務には、仕事によるストレスが多いという要素もある。こうした因子が全てに関与している可能性が考えられる」と、ギブンス氏は述べている。

 「質の良い睡眠を十分にとることで、糖尿病などを予防できる可能性がある。保健従事者は夜間の勤務に従事している労働者に対し注意を払う必要がある」と、注意を促している。

Shiftwork Can Affect Your Health(Sleep Health 2015年5月18日)
Rotating night shift work linked to increased risk of type 2 diabetes in women(ハーバード公衆衛生大学院 2011年12月6日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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