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2013年10月18日

ADAが新しい食事ガイドラインを発表 食事療法の個別化を提唱

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医療の進歩 食事療法
 米国糖尿病学会(ADA)は、新しい「食事療法に関する声明」を発表した。「糖尿病患者の食事スタイルは多様であり、ひとつだけのやり方が正しい食事療法とはいえない。医師や管理栄養士が、個々の患者の生活スタイルに合わせて指導を行うべきだ」と強調している。
すべてにフィットするものはない
個々の患者に合わせた食事指導を奨励
 ADAが今回発表した「Nutrition Therapy Recommendations」は、10月9日付けで医学誌「Diabetes Care」に掲載された。前回(2008年)から5年を経た改定で、最新の科学的なエビデンスにもとづき策定されている。

 今回の改定で強調されているのは、「個人の好み、文化背景、生活習慣、治療目標など、糖尿病患者の背景はさまざまなので、個々の患者に合わせて食事指導を行うべき」とし、「すべてにフィットするもの(One Size Fits All)はない」とした点だ。「食事療法は糖尿病治療の基本であり、すべての患者が行うべき。患者自身が積極的に自己管理や教育に関わり、食生活の見直しを含む治療プランに医療者と共同で取り組むことが重要」と強調している。

 「糖尿病患者の食事スタイルには、さまざまな食事スタイルがあり、健康にあらわれる効果も多様であることが示されています。“このやり方が正しい”と限定するための科学的な根拠は不足しています。そのため、最新の糖尿病の食事療法ガイドイランでは、1種類の食事スタイルのみを推奨してはいません」と、ミネアポリス心臓研究財団のジャッキー バウチャー氏は話す。

 食事療法の目的は、血糖値や、コレステロール値などの脂質異常、血圧値を改善することが目的で、そのための方法は個々の患者によって適正化される必要があるという。

 地中海式ダイエットや、菜食主義ダイエット、低糖質ダイエット、低脂質ダイエットなど、さまざまな食事法があるが、重要なことは、患者の食習慣や嗜好などの生活スタイルに適合していて、食事療法を続けられることだという。「行いやすい食事療法を選択して、それをより健康的に変えていく方法が実際的だといえます」と、バウチャー氏は言う。

 「糖尿病と診断されたからといって、好きな食品を食べられないわけではないし、慣れ親しんだ食文化を楽しめくなるわけでもありません。望ましいのは、糖尿病患者が医師や登録栄養士(RD)の適切なアドバイスを受けて、個々に適正化された食事療法を行うことです」と、ワシントン大学医療センター糖尿病ケアセンターのアリソン エバート氏は話す。

 新しいガイドラインでは、主に次のことが示されている――

  • 糖尿病患者に理想的な炭水化物の摂取量に関しては確証がない。炭水化物(糖質)については、個々の患者の生活スタイルに合わせた指導を行うべきである。
  • 脂質、炭水化物、ナトリウム(塩分)の過剰な摂取は、明らかに糖尿病の治療では障害となる。
  • 炭水化物は、砂糖や果糖などを控え、野菜、全粒粉、野菜、大豆類、豆類、乳製品など多様な食品から摂取した方が良い。
  • 過体重や肥満の患者では、健康的な食事を維持しながら摂取カロリーを調整することで、減量がもたらされる。そのために、食事や運動を含め、生活スタイル全般を見直す必要がある。
  • 糖尿病患者に理想的な脂質の摂取量に関しては確証がない。ただし、不健康な脂質(飽和脂肪酸やトランス脂肪酸)を減らし、健康的な脂質(不飽和脂肪酸)を摂取した方がよい。
  • ビタミンやミネラルなどのサプリメントについては、糖尿病患者に有益という根拠がないので勧められない。
American Diabetes Association Releases New Nutritional Guidelines(米国糖尿病学会 2013年10月9日)
Nutrition Therapy Recommendations for the Management of Adults With Diabetes(米国糖尿病学会 2013年10月9日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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