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2013年08月12日

日本人患者で欧米型肥満が増加 BMI23以上からスクリーニングを開始

 初診時で肥満が認められる2型糖尿病患者が日本で増えており、若い世代ほどその傾向が強まっていることが、20年にわたる研究であきらかになった。アジア糖尿病学会(AASD)の機関誌「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に5月15日付けで、朝日生命成人病研究所の櫛山暁史氏らが発表した。「日本人の肥満の増加に対応するために、糖尿病のスクリーニング検査は"BMI23以上"から開始するのが適当だろう」と指摘している。

 研究チームは、朝日生命成人病研究所附属病院で2型糖尿病患者と診断された患者について、肥満と血糖コントロール状態の関連を調査した。同病院は東京丸の内近辺の勤務者を中心に、都内全域から年間300人程度の2型糖尿病患者を診断している。

 診療時期によって対象者をグループA(25年前、1986〜1987年、平均年齢52.2歳、n=453)、グループB(15年前、1996〜1997年、同52.6歳、n=547)、グループC(5年前、2006〜2008年、同52.7歳、n=443)の3グループに分けた。それぞれの患者の体格指数(BMI)、未治療の期間、HbA1c(NGSP)などを比較した。

 初診時の平均HbA1c値は、グループAは7.3±1.7%、グループBは7.6±1.7%、グループCは8.3±2.2%で、経年でHbA1c値が上昇していることが示された。HbA1cが8.4%以上の比率も、グループAは30.2%、グループBは34.7%、グループCは49.9%と経年で増えている。BMI25以上の肥満の割合も、グループAは24.7%、グループBは32.0%、グループCは43.1%と、近年になり際立って増えている。

 従来から、日本人は遺伝的には、欧米人に比べてインスリン分泌能が低く、痩せていても2型糖尿病を発症しやすいとされているが、最近では欧米型の肥満が増えている。国民健康・栄養調査では、日本人の体型は世代別にみて、若年女性を除くと経年的に肥満が増加している傾向が示された。男性の肥満(BMI25以上)の比率は1977年には15.6%だったが、2007年には30.4%と倍増した。

 BMI25以上の肥満の割合は、25年前のグループAでは国民健康・栄養調査と同程度であり、肥満2型糖尿病は多くなく、インスリン分泌低下が主因だったと考えられる。世代が進むにつれ肥満は増えており、15年前のグループBでは特に40歳未満でBMI25を超える肥満者が75%を超え、5年前のグループCでは40〜49歳でも肥満者が75%を超えた。「肥満2型糖尿病は少なくとも15年前から比較的若い世代で増えはじめ、現在では50歳未満で大勢を占めるに至っている」と、研究者は指摘している。

 BMIごとのHbA1cの分布をみると、グループAではBMIとHbA1cに相関がみられないが、グループCではBMI23以上の患者で血糖コントロールが不良な例が顕著に増えている。年代別にみると、若年における血糖コントロール不良は15年前から出現し、5年前には顕著になった。いずれの時点でも最初の異常指摘から診断までの期間は短いほどHbA1cは低かった。

次は...日本人の糖尿病の欧米型へのシフトが始まっている

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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