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2013年07月01日

週末の「寝だめ」がインスリン感受性を改善

キーワード
糖尿病予備群
第73回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会
 睡眠をとることが大切であることは分かっていても、「仕事が忙しくて十分な睡眠時間をとれない」という人は多い。週末の「寝だめ」は、糖尿病予防の観点からは効果があるという研究が、第73回米国糖尿病学会(ADA)(6月21日~25日、シカゴ)で発表された。
週末の「寝だめ」は糖尿病予防につながる
 「質の良い睡眠を毎日とることが大切であることはあきらかですが、現実には仕事や生活の忙しさで、睡眠不足が続いているという人は多くいます」と、ロサンゼルス生物医学研究所のピーター リュー博士は話す。

 実験には、平均年齢29歳の健康な男性19人が参加した。参加者の平日の睡眠時間は平均6.2時間だった。時間に余裕のある週末には、睡眠時間は平均2.3時間増え8.5時間になった。

 参加者に週末の3夜を研究所で過ごしてもらい、ランダムに次のパターンの睡眠をとってもらった。▽平日より多い10時間の睡眠をとる、▽平日と同じ6時間の睡眠をとる、▽10時間をベッドで過ごしてもらうが、夜間ずっと騒音の多い環境にしてあり、浅い眠りしか得られない。

 4日目の朝の空腹時に血液検査を行い、血中インスリン値と血糖値を測定し、インスリン感受性がどれだけ変化しているかを調べた。

 その結果、参加者が3夜連続して10時間の睡眠をとった場合は、十分な睡眠をとれなかった場合に比べ、インスリン感受性は良好だった。

 インスリンは血糖値を下げるホルモンだ。インスリン感受性が低下した状態が続くと、血糖値が下がりにくくなり、血糖値を正常状態に戻すためにより多くのインスリンが必要となる。血糖値が上昇するために2型糖尿病を発症する危険性が高まるだけでなく、心臓病のリスクも高くなる。

 「平日に睡眠不足が続いている場合でも、週末に十分な睡眠をとればインスリン感受性は改善し、2型糖尿病の改善に役立つ可能性があることが示されました」と、リュー博士は述べている。

 ただし、週末の「まとめ寝」は応急処置的な解決策であり、基本となるのは、毎日の睡眠の質を高めることだいう。

Getting Enough Sleep could Help Prevent Type 2 Diabetes(ロサンゼルス生物医学研究所 2013年6月18日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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