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2013年07月01日
1型糖尿病のスクリーニング検査 残存β細胞を保護
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- 1型糖尿病 糖尿病の検査(HbA1c 他)
体格指数(BMI)、年齢、空腹時血中Cペプチド、24時間尿中Cペプチド、血糖値などの変数をもとに「リスクスコア」を作成することが考えられている。このうち血中Cペプチド値と血糖値は経口ブドウ糖負荷試験で得られる。
Sosenko教授らは、別の疫学研究「TrialNet Natural History Study(TNNHS)」のデータをもとに、「DPT1リスクスコア(DPTRS)」を作成した。このスコアの目的は、膵臓の自己抗体を遺伝因子としてもっている患者を早期に特定し、1型糖尿病の発症を予防あるいは遅延することだ。
DPTRSの閾値9.0を超えた子供では、2年間の1型糖尿病のハザート率は、DPT-1(n=90)でe0.88、TNNHS(n=69)で0.77だった。DPTRSで1型糖尿病の発症を予測できる可能性が示唆された。
「1型糖尿病を発症するリスクの高い患者を早期発見できれば、内因性インスリン分泌能が残存している段階で治療を開始できます」と、Sosenko教授は話す。
子供の正常血糖値は低い傾向があり、成人の基準では耐糖能が正常であっても、子供ではリスクが高い場合があるという。例えば、経口ブドウ糖負荷試験で成人では正常とされる血糖値135mg/dLは、8歳の子供では150mg/dLに相当する。年齢を考慮して基準を作らないと、リスクの高い子供を見落とす可能性がある。
この研究では1型糖尿病の遺伝因子を識別するために、新生児の膵島抗体の進行と1型糖尿病の発症の関連を調べている。
一親等に1型糖尿病歴のある932人を含む生後4.5ヵ月以下の小児8677人を登録し、4歳までに3ヵ月ごとに血液試料を収集し、膵島細胞への自己抗体がいつ起こったか検出した。355人で自己抗体を確認、86人が2011年7月までに1型糖尿病を発症した。
「1型糖尿病の発症には、食事や感染症、アレルギーなど罹病歴などさまざまな要因が関連しています。環境要因を識別し、発症リスクの高い人を特定できれば、予防措置を施すことができます」と、ワシントン大学のWilliam Hagopian准教授は話す。
2型糖尿病の増加の背景には、肥満や高齢化などの共通する要因があるが、1型糖尿病は生活習慣と関連なく発症し、また低収入の途上国では調査が難しく十分な資料が集まっていないことが、正確な状況把握を難しくしている。
1型糖尿病では、インスリンが絶対的に欠乏するので、生命を維持するために強化インスリン療法が不可欠だが、途上国ではインスリンは高価な医薬品であり、適正な治療が行われてない現状がある。
「途上国ではインスリン製剤や他の医療資材の費用は年間2.5〜3万円程度ですが、ラテンアメリカ、サハラ以南のアフリカ・アジアの途上国では、一般的な家族の収入の30〜40%に相当します」と、国際インスリン財団(IIF)のJohn Yudkin会長は話す。
低収入の途上国で、1型糖尿病を含めたNCDs(非感染性慢性疾患)の患者を支援するためのプロジェクトを、IIFと国際結核肺疾患連合、世界保健機構が共同で進めているという。
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