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2011年01月13日
雑穀の効果・効能 注目度が上昇中のつぶつぶ食品
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スーパーなどで「雑穀ブレンド」、「十穀入りご飯」などと書かれた食品をよく目にするになった。雑穀とは、アワ、キビ、ヒエ、ソバ、はと麦、大麦、黒豆などの穀物や豆類の総称。市販の五穀米などの雑穀ブレンド品には、これらに玄米を加えたものがある。
最近では、外食や中食でもごはんに雑穀や玄米を加えて売られることも多い。「食事を主食からコントロールしたいから、雑穀入りにしよう」という声を聞くこともある。雑穀の実際の効果や効能はどのようなものなのだろうか――。

戦後豊かになると主食は白米に代わり、雑穀は食卓にのぼることは少なくなり生産量は激減した。以前は「米の代りに食べるもの」といったマイナスのイメージをもつ人が多かったが、最近は栄養価の高い健康的な食品として見直されている。
でんぷん質とたんぱく質が主な栄養素である白米に比べて、雑穀は食物繊維やミネラル類、抗酸化作用があるとされるポリフェノールが豊富だ。雑穀をご飯に交ぜて炊くだけで、同じ量であっても低カロリーになる。手軽に食物繊維やミネラルを補給できる、サプリメントのように利用できる食材として注目を集めている。
これらの中でも効果がはっきりしているのが食物繊維。成人で1日に食物繊維を18g以上をとることが勧められているが、2009年に発表された国民健康・栄養調査の結果によると、日本人の平均摂取量は14.2gで目標に届いていない。特に20〜40歳代ではかなり少ない。
白米に混ぜて炊くだけで調理できる簡便さも支持されており、雑穀を数種類ブレンドして分包したものがスーパーマーケットなど身近なところでも買えるようになった。例えば白米に市販の雑穀ブレンドを1袋分(20〜30g)を混ぜて炊くと、1食分(約150g/炊くと茶わんに軽く1.5杯程度)で食物繊維を約1.0〜1.5g多くとれる。白米のみの場合に比べ食物繊維を3〜4倍も多くとれる計算になる。
アワ | 食物繊維3.4g |
---|---|
日本全国で広く栽培されている。ビタミンE、B1、B6、ナイアシン、カリウム、亜鉛を多く含む。他の雑穀に比べ鉄が特に豊富。黄色い色素はポリフェノール。 | |
キビ | 食物繊維1.7g |
日本全国で広く栽培されている。ビタミンB1、B6、亜鉛、ナイアシンが豊富。黄色い色素は抗酸化性のあるポリフェノール。 | |
ヒエ | 食物繊維4.3g |
寒冷地や高地でも栽培でき、日本最古の穀物のひとつ。ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、カリウム、リン、亜鉛などを含む。パサパサとした食感のため、料理に使いやすい。 | |
ソバ | 食物繊維3.7g |
蛋白質やビタミンB群、ミネラルのほか、ソバ特有の成分でポリフェノールの一種であるルチンを含む栄養価の高い食品。 | |
はと麦 | 食物繊維0.6g |
食用のほか薬用にも利用されていた歴史がある。蛋白質が豊富。独特の硬めの噛みごたえで雑穀らしさがある。 | |
大麦 | 食物繊維9.6g |
食用に利用されているのは主に六条大麦。麦を蒸して押しつぶして、食べやすく加工したものが「押麦」。食物繊維、特に水溶性繊維の含有量がとても多いのが特徴。 |
精白されていない玄米も健康的とされるが、硬くて咀嚼に時間がかかり、白米のほうが食感や味覚が良いという声も聞かれる。雑穀は混ぜ具合を工夫すれば固くならず、むしろおいしく食べられる。米といっしょに炊くと見た目も華やかになり、独特の弾力やプチプチした食感も味わえる。
雑穀をごはんに混ぜて炊くだけでなく、おかずのかさを増す素材として使う方法もある。雑穀を野菜炒めやスープ、リゾットに入れたり、ゆでてサラダなどに混ぜれば、食感にアクセントが出るだけではなく、低カロリーで歯ごたえも加わり満足感を得られやすい。
体にうれしい効果を期待できる雑穀だが、むやみに多くとればいいというわけではない。食物繊維の摂取量を急に増やすと、かえって下痢や便秘になることもあるため注意が必要だ。慣れるまでは、1日の摂取量は大さじ2杯(25g)程度を目安にするのが良いだろう。
ご飯やパンなどの炭水化物の多い食品を食べると、体内で消化吸収される過程で多くはブドウ糖に変えられ、体を動かすエネルギー源になる。余分なブドウ糖はインスリンのはたらきで肝臓や筋肉組織などでグリコーゲンに変換されいったん貯蓄される。体を動かすなどしてエネルギーを消費するときは、グリコーゲンを分解しふたたびブドウ糖を作りだし、血液中に供給する。
ブドウ糖の代謝の異常が進行すると、膵臓からのインスリンの分泌が不足したり、血糖値上昇に対する反応が鈍くなり分泌のタイミングが遅れ、血糖値が高くなる。肥満、運動不足、高脂肪食、ストレスなどが原因でインスリン自体の効きが悪くなっていることも多い。
食後高血糖を改善するために効果的なのは、やはり食事と運動だ。食事では少し工夫することで、血糖値が上がるのを抑えやすくなる。「食事では野菜から食べはじめる」、「よく噛んで食べる」、「食品は食物繊維の多いものを選ぶ」、「消化・吸収の遅い食品を選ぶ」といった工夫が役立つ。
関連情報
食後高血糖はグリセミック指数(GI)で対策(糖尿病NET)
「日本食品標準成分表2010」発表 5年ぶり改訂(糖尿病NET)
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