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2010年11月17日
インスリン治療を50年以上継続している患者さんを表彰 第8回「リリー インスリン50年賞」
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日本イーライリリーは、インスリン治療を50年以上継続している糖尿病患者を表彰する第8回「リリー インスリン50年賞」の表彰式を、世界糖尿病デーに先立ち11月10日に開催した。

インスリン治療 50年の道のり
「糖尿病の治療は、昔はこんなに大変だった」
「糖尿病の治療は、昔はこんなに大変だった」

第8回「リリー インスリン50年賞」受賞者
田中榮子さん(神奈川県、インスリン治療歴54年)
加藤知子さん(東京都、インスリン治療歴52年)
南木典子さん(東京都、インスリン治療歴50年)
他の2名の受賞者については、ご当人の希望により情報未公開。
詳細は日本イーライリリーの患者さん向け糖尿病情報サイト「Diabetes.co.jp」で近日に公開される予定。過去の受賞者や主治医インタビューなどを見ることができます。
インスリン自己注射も血糖自己測定もできなかった
50年前にはインスリン治療は、注射器とインスリンの入った小瓶(バイアル)を使い行われていた。注射針は太く長く大変な痛みが伴った。また、注射器と注射針をそろえて、ガーゼで包んで鍋で10分間くらい煮沸消毒してから注射していた。
特に糖尿病小児の患者や家族にとって、糖尿病とともに生きることは大変な苦労が伴った。現在は多くの患者が加入している患者会は当時はなく、糖尿病に対する社会的な理解も普及していなかった。周囲の人たちの温かい気配りで治療を続けられても、就職や進学のときに適切な理解を得られないことも多かった。
50年前はインスリンの自己注射は原則として認められておらず、患者は医療機関に通いインスリン注射を行っていた。近所に医療機関がなければインスリン治療を続けるのが難しいので、「病院の近所に引っ越した」という患者もいる。インスリン自己注射が公認され健康保険に適用されたのは、1980年代に入ってからのことだ。
当時は血糖測定は大きい病院でしかできなかったので、多くの医師は尿糖をみながら治療をしていた。また、日常での血糖値を知ることのできる便利な血糖自己測定器も、その当時はなかった。
日常で行う血糖自己測定により、患者は自分の血糖値を知り、インスリン注射量を決められた範囲内で調節し、より良好な血糖コントロールを目指すことができる。その血糖自己測定は1986年に健康保険に適用された。
また、過去1〜2ヵ月の平均血糖を反映するHbA1cは、血糖コントロールの指標にも用いられており、糖尿病と診断するための検査項目に加えられ糖尿病療養に欠かせない。そのHbA1cの測定法が開発されたのは1970年代。現在では健康診断などでも広く普及しているHbA1c検査は、50年前にはもちろんなかった。
糖尿病医療の進歩の歴史について、下記ページで詳しく知ることができる糖尿病医療の歩み 私の糖尿病50年(後藤由夫 先生)
インスリン注射と血糖自己測定(池田義雄 先生)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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