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2010年05月31日

糖尿病学会が5ヵ年のアクションプランDREAMSを発表 糖尿病の克服を目指す

 日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝・東京大学教授)は、糖尿病を早期発見・治療できる体制の構築などを目指し、第2次対糖尿病戦略5ヵ年計画を新たに作成、活動目標を示した「アクションプラン2010(DREAMS)」をあきらかにした。5月27日〜29日に岡山で開催された「第53回日本糖尿病学会年次学術集会」で発表した。

 糖尿病およびその合併症の撲滅に向けて、同学会は2004年に「対糖尿病5ヵ年計画」を策定、糖尿病の研究・診療の向上に一定の成果を上げてきた。今回新たに策定した「第2次対糖尿病戦略5ヵ年計画」でも、糖尿病の罹患率・合併症の減少と効果的な治療を目指す。
5年間で糖尿病患者数の減少に転じ、死亡者数を減少させる計画

日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏
 日本の糖尿病患者数は2007年調査で約890万人と推計されており、年間約30万人ずつ増加している。国民医療費は30兆円を超え増え続けており、糖尿病と関連する疾患の医療費は約15%を占め、さらに死因別の死亡数割合では約30%を占めている。

 第2次計画策定の背景について、日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏(東京大学教授)は、「糖尿病患者の約半数が定期的な治療を受けておらず、定期的な治療を受けている患者でも、およそ3分の2がコントロール不良であり、腎症・網膜症・神経障害・心筋梗塞・脳卒中などの糖尿病合併症の危険にさらされている」と説明。

 糖尿病とその合併症が増加している要因として、「食生活の変化や運動量の低下などの社会的背景に加えて、(1) 糖尿病有病者が自らを糖尿病と認識していない、(2) 糖尿病と認識していても未受診あるいは定期通院していない、(3) 血糖コントロールをはじめ合併症を予防するための適切な治療がなされていない、(4) 食事療法や運動療法の継続が困難である、(5) 糖尿病を根治する薬物療法が存在しない」を指摘している。

 同計画にもとづく「アクションプラン2010(DREAMS)」の今後5年間の目標は、以下の6項目

  1. 糖尿病の早期診断・早期治療体制の構築(Diagnosis and Care)
  2. 研究の推進と人材の育成(Research to Cure)
  3. エビデンスの構築と普及(Evidence for Optimum Care)
  4. 国際連携(Alliance for Diabetes)
  5. 糖尿病予防(Mentoring Program for Prevention)
  6. 糖尿病の抑制(Stop the DM)
 上記アクションプランの一環として、同学会は11年ぶりに糖尿病の診断基準の改訂を決定した。糖尿病型の判定に新たにHbA1cの基準を設け、血糖値とHbA1cを同日に測定しその両方が糖尿病型であれば1回の検査で糖尿病と診断可能とした。今回の改訂により糖尿病の早期診断と早期治療の開始が可能となり、糖尿病とその合併症を減少できると期待している。新しい診断基準は7月1日より施行される。

関連情報
糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会(糖尿病NET)

日本糖尿病学会アクションプラン2010(DREAMS)
  1. 糖尿病の早期診断・早期治療体制の構築(Diagnosis and Care)
    • 日常診療や国民を対象とする検診・健康診断などで血糖値とHbA1cの双方の測定が実施され、糖尿病がより早期に診断されて、直ちに適切な治療が開始されるようにする。
    • 糖尿病の早期診断・早期治療の実現のため、行政・医師会などの関連団体と協力して、職域・地域における診療ネットワークの構築と拡充を推進する。
    • 全国の一次医療圏毎に糖尿病専門医が1人以上存在することを目指して、糖尿病専門医を適正に増加させる。

  2. 研究の推進と人材の育成(Research to Cure)
    • 糖尿病を根治する薬剤・再生医療などの治療法について、前臨床段階までの研究を遂行する。
    • 本学会や日本糖尿病協会、糖尿病センター(国立国際医療研究センター、国立京都医療センター)がイニシアティブをとって、行政・企業などに対する働きかけや寄付活動などを精力的に進め、糖尿病の病態・病因や治療法に関する公的および民間の研究費を増加させる。
    • 効果的な研究費の配分により、効率的な研究成果の達成とさらなる若手研究者の育成に注力する。

  3. エビデンスの構築と普及(Evidence for Optimum Care)
    • 我が国における糖尿病やその合併症の発症・進展の実態を大規模臨床研究により明らかにする。
    • 大規模臨床試験などにより、心筋梗塞・脳卒中などの合併症の発症を抑制可能な、血糖・血圧・脂質などのコントロール目標を決定する。
    • 全ての医療従事者と国民に対して、これらのコントロール目標に関する知識の普及を図る。

  4. 国際連携(Alliance for Diabetes)
    • 海外の糖尿病の研究・診療に携わる団体(IDF、ADA、EASD、AASDなど)と協調・連携して、疫学や治療法に関する国際共同研究、糖尿病に関する国際共同キャンペーンなどの啓発活動を推進する。
    • 我が国を含めた東アジア地域の糖尿病の特性を明らかにし、東アジア地域の特性に基づいた効果的な治療法・予防法を確立する。

  5. 糖尿病予防(Mentoring Program for Prevention)
    • 個々人に最適化可能な食事・運動などに関する生活習慣改善プログラムを開発し、これを糖尿病患者のみならず国民全体に広く普及させることにより、我が国における糖尿病・メタボリックシンドロームの発症を予防する。

  6. 糖尿病の抑制(Stop the DM)
    • 2015年の時点で糖尿病患者数の増加を減少に転じさせる。
    • 2015年の時点で糖尿病関連の死亡者数を現在より減少させる。

社団法人日本糖尿病学会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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