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2010年06月04日
若い世代の食生活改善が課題 平成22年版食育白書
- キーワード
- 食事療法
内閣府が「平成22年版食育白書」を公表した。食育の認知度は高まりをみせているものの、特に若い世代で食生活に関して改善すべき点が少なくないという。

第1部は「若い世代の食生活の改善」をテーマとして、20歳代、30歳代の若い世代に焦点を当て、食生活の現状と企業や地方公共団体での食生活改善への取組みを紹介している。また、第2部では、2009度に講じた、家庭、学校、保育所、地域での食育推進施策の状況について紹介している。
白書では、食育への関心が高い人ほど、「バランスの良い食事」をとり、「食事の量とバランス」を理解している傾向があり、朝食を毎日食べる人の割合が高いことが示された。
主な内容は次の通り
- 「食育」という言葉を知っていた人の割合は75.8%。2005年調査の52.6%に比べ23%上昇した。
食育への関心は全体に高まっている。ただし20歳代〜30歳代の若い世代は他の年代に比べ関心度が低く、20歳代男性は5割未満。特に若い世代の食生活では栄養の偏りや朝食の欠食など改善すべき点が少なくない。 - 食育への関心が高い人ほど、主食・主菜・副菜の3つをそろえたバランスの良い食事をとり、「1食の適量とバランス」を理解し、食事に対する満足度も高い傾向がある。
- 朝食を「ほとんど毎日食べる」人の割合は85.6%。
年代別・性別にみると、朝食を「ほとんど毎日食べる」人は60歳代男性(92.4%)、70歳以上男性(97.5%)、60歳代女性(95.3%)、70歳以上女性(95.3%)で高く、20歳代男性(51.4%)、30歳代男性(64.8%)、20歳代女性(68.5%)で低い。 - 朝食を毎日食べる人の割合は、男女とも未婚者より既婚者の方が高くなり、労働時間が長いほど低くなる傾向がある。
- 通勤時間が短い人ほど朝食を毎日食べる傾向がある。また、「余暇・休養や家族との関わりに当てたい時間を、かなり仕事でとられる」という人は朝食を食べない傾向がある。
- メタボリックシンドロームの予防や改善のために適切な食事や運動を「半年以上継続的に実践している」という人の割合は年々増えているが、33.3%と3人に1人にとどまる。
- 全ての都道府県が食育推進計画を作成しているが、市町村では37.3%(653市町村)。ただし、教育ファームの取組を計画的に行っている市町村の割合は19.4%で、前年度の9.2%に比べ増えている。
若い頃の食習慣は成人してからも大きく影響することから、学校における食育の指導内容の充実も検討されている。
白書では大学、企業、地方公共団体などで行われている特に若い世代の食生活の改善をはかるために取り組まれている具体的な活動内容も紹介している。
とりあげられた事例は、京都大学生協の「みんなで朝ごはんプロジェクト」、奈良女子大学の「朝食食べてダイエット」、大王製紙や日立の栄養指導の実施例、岡山県の「外食世代の健康づくり推進事業」、大阪府藤井寺保健所の「食環境整備連絡会議」など。
平成22年版食育白書(内閣府ホームページ)
第1部 食育推進施策の現状と課題
- 第1節 食育推進施策の基本的枠組と動向
- 食育推進施策の基本的枠組
- 食育推進施策の展開
- 第2節 食をめぐる意識と実践の現状
- 国民の食育に関する意識
- 食育推進基本計画の目標と現状
- 食育推進施策の評価
- 第1節 若い世代の食生活の現状
- 第2節 若い世代の食生活改善のための取組事例
第2部 食育推進施策の具体的取組
- 第1節 生活リズムの向上等
- 子どもの基本的な生活習慣の状況
- 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進
- 望ましい食習慣や知識の習得
- 第2節 子どもの肥満予防の
推進 - 第3節 妊産婦や乳幼児に関する栄養指導
- 妊産婦等に対する栄養指導の充実
- 乳幼児の発達段階に応じた栄養指導の充実
- 第4節 家庭や地域における栄養教諭を中核とした取組
- 第5節 青少年及びその保護者に対する食育推進
- 第1節 学校における指導体制の充実
- 第2節 学校における指導内容の充実
- 第3節 学校給食の充実
- 学校給食の現状
- 地場産物の活用の推進について
- 3 米飯給食の一層の普及・定着に向けた取組
- 4 伝統的な食文化を継承した献立の活用
- 第4節 保育所における食育の推進
- 子どもの育ちを支える食育−養護と教育の一体性の重視−
- 食を通した保護者への支援
第3章 地域における食生活の改善等のための取組の推進
- 第1節 栄養バランスが優れた「日本型食生活」の実践
- 第2節 「食事バランスガイド」等の活用促進
- 「食生活指針」の活用促進
- 「食事バランスガイド」の活用促進
- 第3節 専門的知識を有する人材の養成・活用
- 管理栄養士・栄養士の養成・活用
- 専門調理師・調理師の養成と活用
- 第4節 健康づくりのための取組の推進
- 健康づくりと食育推進
- 医学教育等における食育推進
- 第5節 食品関連事業者等による食育推進
- 第6節 ボランティア活動による食育推進
- ボランティアの取組の活発化がなされるような環境の整備
- 食生活改善推進員の健康づくり活動の促進
- 第7節 食文化継承のための取組の推進
- ボランティアにおける取組
- 伝統文化の継承や文化活動の活性化等における取組
- 行事やシンポジウム等における我が国の伝統ある食文化等の紹介や体験の盛り込み
- 専門調理師等の活用における取組
- 知的財産立国との連携
第4章 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等
- 第1節 都市と農山漁村の共生・対流を通じた都市住民と農林漁業者の交流の促進
- グリーン・ツーリズム等を通じた都市住民と農林漁業者の交流の促進
- 都市部での体験農園や農山漁村での滞在型市民農園の整備等の推進
- 「農山漁村の郷土料理百選」の取組
- 第2節 農林漁業者等による体験活動の促進
- 第3節 地産地消の推進
- 第4節 バイオマス利用と食品リサイクルの推進
- バイオマスの総合利用
- 食品リサイクルと食品ロスの削減
- 第1節 リスクコミュニケーションの充実
- リスクコミュニケーションの積極的な実施
- リスクコミュニケーションの適切かつ効果的な手法の開発
- 第2節 食品の安全性に関する情報提供
- 第1節 調査、研究等の実施
- 「日本人の食事摂取基準」の作成・公表、活用
促進 - 国民健康・栄養調査の実施、活用
- 3 栄養・食生活と健康に関する研究と科学的根拠の蓄積
- 4 農林漁業や食料の生産、流通、消費に関する統計調査の実施・
公表
- 「日本人の食事摂取基準」の作成・公表、活用
- 第2節 食品情報に関する制度の普及啓発
- 食品表示の適正化、
表示 制度の普及・定着 - 特色のあるJAS規格の普及啓発
- 食品表示の適正化、
- 第3節 海外の食育に関連する状況、国際交流の推進等
- 食育の海外展開
- 海外における食生活の改善等
- 3 国際的な情報交換等
- 参考1 食育関連予算の
概要 - 参考2 食育基本法(平成十七年法律第
六十 三号) - 参考3 食育推進基本計画(平成十八年三月三
十一 日食育推進会議決定)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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今年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」