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2009年12月14日
膵島移植で「インスリン離脱」 高度医療評価会議で「条件付き適」と評価
膵島組織の分離が課題となっており、同会議では膵臓を調達した後の保存状況や、膵島の分離での純度と回収率は、実施者の手技が大きく影響しており、膵島分離・移植の経験のない医療機関で膵島の分離ができるかが不明と指摘された。そこで実施条件として、移植の実施経験のある施設のみを許可し、経験のない施設を除外して再度申請が望ましいとされ
膵島移植は、1974年に世界で初めて実施され、日本では2003年に国立干葉東病院で実施されて以来、京都大学など複数の施設で臨床研究として実施されており、日本での移植の成功率は世界的にみても高い。移植後は正常血糖値を維持するのにインスリン注射が不要となる「インスリン離脱」が報告されており、1型糖尿病患者にとっては究極の治療法といえる。臓器移植に比べると大がかりな手術を必要とせず、患者にとって身体的な負担が少ないというメリットがある。
同会議では膵島移植を「有用性は高く、推進すべき医療技術である」とされたが、現在の段階では課題は少なくない。臓器提供には本人の意思表示が必要だが、今年7月に改正臓器移植法が成立し、本人の意思が不明な場合でも家族の承諾で臓器提供ができるようになる。現状では提供者(ドナー)が少ないために膵島を集めるのが困難であることや、現在の技術では複数回の移植が必要であること、インスリン離脱率は移植後数年がたつと減少していくことなどが課題になっている。
同日承認された「EAS人工内耳挿入術」は、低音部に残存聴力を有するものの、高音域の聴取能が悪い「高音急墜あるいは漸傾型の聴力像を呈する両側性の高度感音難聴患者」が適応症。残存聴力を温存するためにEAS人工内耳を使う。この治療法であると低音部の残存聴力を壊さずに活用することが期待できるという。
第12回高度医療評価会議資料(平成21年12月9日開催)(福祉医療機構)
膵・膵島移植研究会・膵島移植班
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