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2009年10月29日

脂肪細胞のホルモン「レプチン」が血糖値を下げる 生理学研究所

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医療の進歩
 脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンが、脳の視床下部の「満腹中枢」と呼ばれる部分に働きかけ、交感神経を介し糖の利用を高めることを、マウスを使った実験でつきとめたと発表された。

 レプチンが視床下部の受容体を介して摂食を抑制し、エネルギー消費を亢進し、結果として血糖値を下げることは知られているが、そのメカニズムについて解明されていない部分が多い。

 自然科学研究機構・生理学研究所の箕越靖彦教授らの研究グループは、マウスの脳内に微細な注射針でホルモンを入れ、反応を調べた。

 その結果、食事や睡眠など本能を担う場所である視床下部で、レプチンが腹内側核(満腹中枢)に作用し、POMC(プロオピオメラノコルチン)神経と呼ばれる摂食調節神経などの神経回路を活性化させることが分かった。褐色脂肪細胞、心臓、筋肉での糖の取り込みを促し、血糖の上昇が抑えられるとみられている。

レプチンが作用する満腹中枢の神経回路
 レプチン受容体とそのシグナル伝達の関連が解明できれば、高血糖を防ぎ糖尿病や肥満を予防・治療する治療法の開発につながる可能性がある。

 この研究は文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われ、米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes」オンライン版に発表された。

Distinct effects of leptin and a melanocortin receptor agonist injected into medial hypothalamic nuclei on glucose uptake in peripheral tissues
Diabetes; doi:10.2337/db09-0638, 2009

大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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