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2008年05月21日
短期の血糖コントロール状態がわかるグリコアルブミン検査
- キーワード
- 医療の進歩 糖尿病の検査(HbA1c 他)
糖尿病の治療では、血糖コントロールの状態を知るための検査として、過去1〜2ヵ月の血糖コントロール状態が反映されるHbA1Cがもっともよく使われている。しかし、今年4月の診療報酬改定で、より短期的な治療効果を知ることのできる「グリコアルブミン」なども同時に測定できるようになった。今後はこれらの検査を行う例も増えそうだ。
グリコアルブミンで何がわかるのか
糖尿病の血糖コントロールの指標には、HbA1C、グリコアルブミン、1,5AGなど、いくつかの種類があり、それぞれに特徴がある。

HbA1Cは赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化産物で、全体のヘモグロビンの何%あるかを測定する。検査時から過去1〜2ヵ月の血糖コントロール状態を反映する。日本糖尿病学会の診断基準に採用されており、もっともよく用いられている。基準値は4.3〜5.8%。

グリコアルブミンは、アルブミンの糖化産物。検査時から過去約1ヵ月(とくに直近の2週間)の血糖値が反映される。基準値は11〜16%。
アルブミンは、浸透圧を維持する働きや、ホルモン、栄養素、薬剤成分などを運搬する働きなどをしているタンパク質。アルブミンの一部が血液中のブドウ糖と結合するとグリコアルブミンになる。血糖値が低ければグリコアルブミンの量は減少し、高ければ増加する。HbA1Cの半減期は約1カ月なのに対し、グリコアルブミンは約17日と短く、短期的な治療効果の確認に有効な検査法とされている。
検査の種類を使い分けると、
血糖コントロールの状態を多角的に知ることができる
保険診療では、HbA1C、グリコアルブミン、1,5AGの検査のうち、いずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみが認められている。今年4月の診療報酬改定で、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等に対しては、いずれか1項目を月1回に限り別に実施することが認められるようになった*。
血糖コントロールの状態を多角的に知ることができる
グリコアルブミンの特徴は、早く大きく動くこと。HbA1C検査ではわからない1〜2週間の血糖コントロール状態がわかる。今後は糖尿病の治療で、グリコアルブミン検査が行われることが増えるだろうとみられている。
グリコアルブミン検査により、例えば薬物療法を始めた患者では、薬がどれだけ効いているかという短期的な治療効果を知ることができる。食後血糖値は心筋梗塞などの心疾患の発症に関連が深いとみられており、グリコアルブミンは食後の血糖コントロール指標としても注目されている。HbA1Cが血糖コントロール指標になりにくい糖尿病妊娠や腎不全の患者にも有用とみられている。
検査結果がその日のうちにわかる場合も
2006年の診療報酬改定で「外来迅速検体検査加算」が新設された。外来患者の初診または再診時に検体検査を行い、その日のうちに検査結果に基づいて診療が行われれば認められる。2008年の改定で、検査の対象項目にグリコアルブミンが追加された。
* 厚生労働省サイトの掲載ページ
第1節検体検査料
D005 血液形態・機能検査
(8) 「9」のヘモグロビンA1C (HbA1C)、血液化学検査の「14」のグリコアルブミン又は同区分「17」の1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。(保医発第0305001号)
第1節検体検査料
D005 血液形態・機能検査
(8) 「9」のヘモグロビンA1C (HbA1C)、血液化学検査の「14」のグリコアルブミン又は同区分「17」の1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。(保医発第0305001号)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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