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2008年01月28日
再生医療の切り札「万能細胞」 1型糖尿病根治に向けて
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幹細胞は細胞分裂を経て、さまざまな組織に成長する細胞。病気の治療に大きな可能性を秘めており、失った組織や器官を細胞を増殖し作りなおす「再生医療」への応用が注目されてい
1型糖尿病は自己免疫(免疫機能が自分のからだに対して働くこと)などで、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されて発病するタイプの糖尿病で、生活習慣と関係なく発病する。1型糖尿病の治療は、体外からインスリンを補うインスリン療法と、膵臓や膵島を移植する方法がある。膵臓や膵島の移植は、インスリンが不要になるなど根治療法になるが、提供者不足が大きな課題となっている。β細胞に相当する細胞を幹細胞の分化によって増やすことができれば、移植を行いやすくなる。
移植された細胞や組織は体内で免疫による拒絶反応を引き起こす。ヒトの幹細胞が発見され、患者自身の細胞から作った細胞を移植できるようになれば、拒絶反応を引き起こすことは少ないと考えられているが、1型糖尿病の多くは膵島に対する自己免疫疾患なので、自分の細胞を元にした場合でも拒絶反応が起こり、新しく作られた細胞が破壊されてしまうおそれがある。研究者らはより多くの研究が必要だとしている。

科学技術振興機構プレスリリース
患者自身の細胞から作ったiPS細胞からβ細胞を分化誘導する方法が開発されれば、1型糖尿病など多くの疾患に対する移植療法を行いやすくなると期待されている。
文部科学省、厚生労働省などはiPS細胞の研究を国家戦略と位置付け、研究を支援する態勢の整備を進めており、今年1月には京都大学と大阪大学が、iPS細胞を心臓病の治療に活用する研究を共同で行う研究センターを設置すると発表した。戦略では、iPS細胞を利用した再生医療の実現を目指し、全国の再生医療の専門家らが参加する研究者ネットワーク組織「iPS細胞研究コンソーシアム」の創設などが計画されてい
また、慶応大学と国立病院機構大阪医療センターは今月、iPS細胞を200種類近く作製して保管し、人への移植など臨床応用に向けた研究を始めることをあきらかにした。
Cell, Volume 132, Issue 2, 197-207, 25, 2008(英文・概要)
ヒトの皮膚から万能細胞(iPS細胞)作製に成功(科学技術振興機構)
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