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2008年01月25日

英政府の肥満対策 減量に成功したら賞金をあげます

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英政府が発行している冊子
「健康な体重、健康な生活」
 英国でも肥満は深刻な問題になっており、英政府の昨年の発表によると、2050年までに英国民のほぼ60%が肥満になる可能性があるという。成人だけでなく子供の肥満も増えている

 そこで英政府は肥満対策として、新たに3億7,200万ポンド(約790億円)を投入すると発表した

 肥満が深刻なのは大人だけではない。英国の2歳から15歳の子供の18%は肥満で、14%は過体重だという。肥満が要因となる2型糖尿病も増えている。英国糖尿病協会(Diabetes UK)の2007年の発表によると、英国の糖尿病人口は232万人、有病率は3.7%と年々増加している。

 肥満は耐糖能(血糖を処理する能力)障害、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)の原因となり、動脈硬化を促進する。対策を施さなければ、医療経済にも深刻な影響を及ぼすことになる。

 英政府が発表した肥満対策の主な内容は次の通り

  1. 子供の健康増進に向けた対策
     肥満を早期発見し、学校での料理実習を必須とするなど、健康的な食事や運動を促進する教育を学校や家庭で行う。母乳育児を推進する。

  2. 健康的な食事や食品の選択の推進
     健康的な食事についての知識を普及する。食品にエネルギーや栄養をわかりやすく表示した食品ラベルを貼り、消費者が選びやすくする。外食など食品産業にも協力を求める。

  3. 生活への運動習慣の取り込み
     生活に運動を取り入れやすい町づくりを進める。モデルとなる「健康タウン」を指定し、ウォーキング・ロードなどインフラを整備する。大人だけでなく子供にも、家庭でのテレビゲームなどの遊びよりも、運動やスポーツを奨励する。

  4. より健康的な生活習慣への誘導
     産業界で労働者が生活改善に取り組みやすい制度を取り入れるための調査を実施する。個人が取り組みやすくするために財政的な支援も行う。

  5. 個々に保健指導を実施
     健康的な生活習慣についての知識を普及し、減量に取り組みやすいプログラムを開発する。
 英政府は肥満対策としてユニークな試みを始める。減量に挑戦し目標を達成した人に金券や現金を支給する制度を近く試験的に導入する予定だ。金銭的な「動機付け」が肥満対策に効果があるかを確かめるねらいがある

英国政府の政策「Healthy Weight, Healthy Lives(健康な体重、健康な生活)」(英文)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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