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2026年03月12日

3月13日は「世界睡眠デー」 睡眠と糖尿病に関する研究&イベントを紹介

 3月13日は、世界睡眠学会が制定した「世界睡眠デー」。2026年のテーマは「Sleep Well,Live Better(質の高い睡眠で、より良い生活を)」1)
 糖尿病の治療や予防において、食事と運動が「両輪」であることは広く知られているが、近年、これらに並ぶ大事な要素として「睡眠」の重要性が改めて注目されている。睡眠は単なる時間の「量」だけでなく、その「質」や「体内時計」との関連についても研究が進みつつある。
 世界睡眠デーを前に、最新のメタ解析論文が示す睡眠と糖尿病の密接な関係をお伝えするとともに、国内で開催予定の関連イベントについてもご紹介したい。

睡眠時間が5時間以下の男性は、糖尿病発症リスクが2倍以上にも

 睡眠は単なる休息の時間ではない。体内での血糖調節を担うホルモンである「インスリン」の働きを整え、健全な糖代謝を維持するための大切な時間でもある。

 慢性的な寝不足はインスリンの効き目を悪くすることが分かっており、その状態が続くと糖尿病の発症リスクが高まるだけでなく、血管へのダメージが蓄積し、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患のリスク上昇にも直結する。

 また糖尿病を持つ人は、持たない人に比べて睡眠時間が不足したり過剰になったりする可能性が高く、それが代謝コントロールの低下と関連していることもわかっている。

 ある大規模な追跡調査によれば、睡眠時間が5時間以下の層は、7~8時間の層と比較して2型糖尿病の発症リスクが男性で2.07倍、女性で1.07倍という報告がされている2)

 その背景には、睡眠不足が交感神経を過剰に緊張させ、糖代謝に関わる神経内分泌系や自律神経機能に障害をもたらすというメカニズムが存在する。睡眠を削ることは、自ら血糖値を下げにくい体質を作り出すだけでなく、将来的な合併症のリスクを高めることにもなりかねない。

「8時間を超える長い睡眠」「質の悪い睡眠」と糖尿病の関係

 ただ、「睡眠不足が良くないのであれば、長く眠れば良い」というわけではない。睡眠時間と糖尿病リスクの関係は単純な比例関係ではなく、短すぎても長すぎても2型糖尿病の発症リスクが高まることが2025年に発表されたメタ解析論文3)で以下のように示されている。

• 1日7~8時間の睡眠の層:発症リスクが最も低い(基準)。
• 1日7時間未満の睡眠の層:発症リスクが18%上昇。
• 1日8時間を超える睡眠の層:発症リスクが13%上昇。
• 睡眠の質が悪い層:発症リスクが50%上昇。特に50歳以上は139%、BMI25未満の層は85%上昇。
•「8時間超睡眠」×「睡眠の質が悪い」層:発症リスクが115%上昇。
•「7時間未満睡眠」×「睡眠の質が悪い」層:発症リスクが69%上昇。

 「寝過ぎているのに眠りが浅い」という組み合わせが、あらゆる睡眠パターンのなかで最大の糖尿病リスクとなることは注目に値する。

「昼寝」は逆効果になる可能性

 睡眠不足の場合、足りていない分を昼寝で取り戻そうと考える人は多いかもしれない。しかし研究の解析結果はその期待を否定した。

 夜間の睡眠が7時間未満の人が、その不足分を補うために「1時間以上の昼寝」を習慣的に行っている場合、2型糖尿病の発症リスクは 71%上昇することが示された。これは、同じ睡眠不足でも昼寝をしない人よりリスクが高い結果となっている。

 さらに、昼寝は「頻度」にも注目だ。研究論文は、30分を超える昼寝が発症リスクを7〜20%高めること(昼寝時間が長くなるにつれ上昇)、そして週に4回以上昼寝をする習慣がある人は、昼寝をしない人に比べてリスクが 39%上昇することを明らかにした。

 長時間の昼寝はさらなる睡眠の質の低下を招いて負の連鎖を生みかねず、糖尿病の発症リスクにとっては逆効果となるのだ。良好な糖代謝を維持し、将来の糖尿病発症を防ぐ観点からは、昼寝に頼るのではなく、夜間に「適切な時間」かつ「質の高い睡眠」を確保することが不可欠なのである。

糖尿病発症リスクが低いのは「朝型」タイプ

 同論文3)では、朝型・夜型といった体内時計のタイプも健康を左右する重要因子とも述べられている。

 夜型の傾向が強い人は、朝型の人に比べて2型糖尿病の発症リスクが59%高い。これは、自身の持つ生物学的なリズムと社会生活のスケジュールが乖離する「社会的時差ボケ」が生じやすく、ホルモンバランスや代謝の乱れを招きやすいためと考えられている。さらに詳細な分析によると、発症リスクは年齢や体格によって増幅されることが判明した。

•55歳以下の夜型層:夜型による悪影響をより強く受けやすい。
•肥満(BMI 30以上)の夜型層:肥満と夜型が重なると、発症リスクは8.4倍に跳ね上がる。

 一方で、朝型の傾向が強い人は、2型糖尿病の発症リスクが 18%低いことがわかった。ただし、この「朝型の恩恵」はBMI30未満の層にのみ認められ、肥満がある場合にはその効果が打ち消されてしまう。

 夜型の生活は、ホルモンバランスの乱れや夜食などの不健康な習慣を招き、インスリンの働きが悪くなる、体重が増える、睡眠の質が低下するなどの事態に陥りやすい。

 体内時計を朝型に引き寄せるには「起きたらすぐに日光を浴びる」「夜は早めに部屋の照明を落とし、スマホを控える」といった習慣が有効である。もし体内時計をすぐに変えるのが難しくても、適正な体重を維持し、規則正しい食事や、深く眠れる環境づくりを心がけるなど、糖尿病のリスクを抑える生活習慣を少しずつ実践していくことは可能なはずだ。

 これまで述べてきたとおり、睡眠の長さや質、そして朝型/夜型の生活はすべて健康に直結している。「世界睡眠デー」(13日)や「春の睡眠の日」(18日)がある3月は、全国で睡眠関連のイベントが行われる時期。この機会を自分の眠りを見直すきっかけにしてみてはいかがだろう。

「世界睡眠デー」を機に自分の眠りを改善しよう

 下に記載の内容は当日までに変更される可能性があるので、参加する場合は事前に公式情報の確認を。

寝っころプリ by NELL(東京都)

睡眠ブランド「NELL(ネル)」による期間限定イベント。寝ながら撮影できるプリ機「寝っころプリ」で寝相を可視化する体験企画や、マットレスの体験ブースなどが設けられる予定。質の高い睡眠を得るためのヒントが見つかるかも。
場所: 六本木ヒルズ 大屋根プラザ(東京都港区六本木6丁目10-6)
日時: 3/12(木) 13:00~19:00 、3/13(金)・14(土) 11:00~19:00
参加条件: 4歳以上
詳細NELL公式ホームページ

眠り展(愛知県)

「青森ヒバ」の特性を生かした製品を手がける「Cul de Sac - JAPON(カルデサックジャポン)」による展覧会。抗菌・防虫・消臭作用をはじめ、心を落ち着かせる香りを持つ青森ヒバの原木やチップ、ベッドなどが会場内に配され眠りに誘われる感覚を体感できる。
場所: STUDIO 894ギャラリー(愛知県瀬戸市薬師町1)
日時: 3/7(土)~5/10(日) 10:00~17:00 ※定休日:火曜(祝日の場合は営業)
詳細カルデサックジャポン公式ホームページ

UCC サンプリング(東京都)

『UCC おいしいカフェインレスコーヒー』シリーズのリニューアル発売に合わせて、夜のコーヒー飲用シーンを提案する製品展示とサンプリングイベントを開催。
場所: 二子玉川 蔦屋家電(東京都世田谷区玉川1丁目14-1)
日時: 3/7(土)~3/21(土) 10:00~20:00
詳細UCC公式ホームページ

御宿コトブキ(兵庫県)

兵庫県・湯村温泉郷の「御宿コトブキ」では、「春の快眠月間」を実施。「快眠セラピー」付の宿泊プランで使える公式サイト限定クーポン配布や、睡眠特化型客室の宿泊者へのオリジナル快眠入浴剤のプレゼントなど、睡眠の質を向上する体験が得られる。※料金は公式サイトをご覧ください。
場所: 御宿コトブキ(兵庫県美方郡新温泉町湯156-4)
期間: 3/1(土)~3/31(月)
詳細PR TIMESプレスリリース
御宿コトブキ公式ホームページ

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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