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2026年05月11日

日本人の「睡眠リテラシー」は世界最下位、「睡眠離婚率」は世界一

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの医療機器を手掛けるレスメド株式会社は「レスメド 世界睡眠調査2026」の結果を発表1)
 世界13か国、3万人を対象とした大規模調査により、日本人の睡眠時間の短さは4年連続で世界最下位であることや、睡眠不足が糖尿病などの慢性疾患に直結するという認識が世界に比べて低い現状、さらにはパートナーと一緒に寝ない「睡眠離婚」率が世界一であることなどが明らかになった。

日本人の平均睡眠時間は6時間23分 世界で最も「眠らない国」

 調査結果によると、日本人の平均睡眠時間は「6時間23分」であり、調査対象国の中で最短、4年連続最下位となった。日本の回答者で最も多かったボリュームゾーンは「6時間(34.4%)」であり、世界全体の主流である7〜8時間を大きく下回っている。また、「週に1日も熟睡できていない」と回答した日本人は8.3%に上り、世界平均の5.1%と比較しても、睡眠の質に深刻な問題を抱えている。


糖尿病・心血管疾患リスクへの認知不足 睡眠リテラシーに大きな課題

 糖尿病ネットワークの読者にとっても看過できないのが、睡眠と慢性疾患の関連性に対するリテラシーの低さである。
 「質の高い睡眠が健康寿命を延ばす」ことを知っている日本人の割合は63%(世界平均 84%)にとどまった。さらに、「睡眠不足が糖尿病や心血管疾患などの慢性疾患のリスクを高める」という事実を認識している割合は、日本は60.3%と、世界平均の77.1%を大きく下回り、どちらも世界最下位という結果であった。

 睡眠不足や睡眠の質の低下は、インスリンの効き目を悪くさせ、血糖管理に悪影響を及ぼすことが多くの研究で示されている。睡眠と糖尿病の関係については本サイトでもたびたび取り上げてきたが、直近ではこちらの記事「3月13日は「世界睡眠デー」睡眠と糖尿病に関する研究&イベントを紹介」を公開しているのでぜひご一読いただきたい。

 今回の調査により、日本においては睡眠が疾患予防の重要なファクターであることの認識が遅れている実態が浮き彫りになった。

無理して出勤することで仕事のパフォーマンスが低下している可能性

 労働環境における課題も顕著である。「質の悪い睡眠で疲れがとれず病欠したことはあるか」という問いに対し、日本の回答者の61.5%が「病欠したことは全くない」と回答(世界平均 29.6%)。これは、日本人が疲れていても無理をして出社し、「プレゼンティーズム」に陥っている可能性を示している。プレゼンティーズムとは、WHO(世界保健機関)によって提唱された概念で、心身が不調なまま仕事をすることで労働パフォーマンスが低下している状態を指す。

 職場の理解についても、「上司が健康全般を気にかけてくれる」と回答した日本人は26.4%(世界平均 46.4%)、「職場の文化が休息と回復を優先している」も24.8%(世界平均44.1%)にとどまっており、休息を優先しにくい社会構造が、糖尿病リスクを高める生活習慣を助長している懸念がある。







日本の「睡眠離婚」は57.2%と世界一 就寝中の健康SOS見逃しリスクも

 今回の調査で最も日本と他国の違いが表れたのは、週に何回パートナーと別々に寝ているかを問う質問だった。日本では毎晩パートナーと別々の部屋やベッドで寝る「睡眠離婚」の割合が57.2%と、世界で最も高いという調査結果となった。
 睡眠環境を分けることは互いの安眠を守る一助にはなるが、糖尿病との合併も多い「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」などのサインを見逃すリスクを孕んでいる。パートナーのいびきや無呼吸は、SASの重要な発見の契機となるが、寝室が別になることで、これら健康のSOSが放置され、疾患の見逃しを招く恐れがある。



睡眠の大切さを「認識」し、「行動」へ移すことが重要

 本調査から、日本は他国と比較して圧倒的にパートナーと別々で寝る「睡眠離婚」の割合が高く、睡眠時間が短いにもかかわらず、睡眠に対する健康意識(睡眠リテラシー)が低いこと、また、睡眠不足がもたらす労働生産性の低下や、職場におけるサポート不足が課題となっていることが明らかになった。

 レスメド社の最高医療責任者であるカルロス・M・ヌネス医学博士は、「睡眠が健康の基盤であるという認識が高まるだけでは不十分であり、具体的な支援やケアへのアクセスを改善し、意識を行動へと導く必要がある」と指摘している。

 糖尿病治療においても、食事・運動と並んで睡眠の質を確保することは重要である。自身の睡眠状況を客観的に把握し、睡眠の質が悪いという意識を少しでも持つなら睡眠環境と生活リズムの改善を。

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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